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人質人材派遣派遣株式会社  作者: なかじまこはな
人質人材派遣
28/35

まじめな仕事6

「そうよ、意外かしらね?こんなにお嬢様な雰囲気出してるのに」


ヨーコさんからは…残念ながらその雰囲気は見受けられなかった。ごめんなさい。


「ヨーコちゃん、アタシの先輩になるやね」


「はっ?」


マミさんの言葉に僕の声は大きくなってしまいそのせいで、マミさんの怒りのオーラを感じてしまった。


「ちょっと、日當…今のはっ?は何やきさん、お嬢様に見えんちゅうとや?」


マミさんは怒りのオーラを放ち、僕にゆっくりと近付いてくる。僕は一歩づつ、後ろへと下がる。


死を覚悟した瞬間かも知れない。


「アンタのその極道みたいなオーラと言葉遣いじゃ、見えないわね」


とヨーコさんが阻止してくれた。


「でも、マミさん…お嬢様なら働く必要はない…んじゃ?」


人間、死を覚悟したら何でも言えるんだよなぁ…つい、聞いてしまった。


「お嬢様だったのは高校までよ、親父の会社が倒産したとよ、それに今は子供居るしさ…母子家庭は何かと大変とよ」


しまったぁぁぁ…なんて事聞いてしまったんだろう。


きっと聞いちゃいけなかったんだ。謝らなきゃ…僕がごめんなさいのごを言おうとした時に、「チーィス」とツッチーさんとトミーさんが来た。


「何がチーィスじゃ、遅刻じゃ!」


キム兄がツッチーさんに睨みを利かす。


「えっ?5分前ですよ」


ツッチーさんは時計を確認した。


「アホか、10分前行動じゃろうが、罰としてスクワット100回」


「はぁ?またすぐ無茶を言うんだから」


とツッチーさんは嫌そうな顔をしている。


「日當くん、こんにちは。昨日楽しかったね」


トミーさんが僕に笑いかけてくれた。


トミーさんは笑うと女の子みたいに可愛くなり、つい照れ笑いをしたくなる。


「日當キモい」


その様子を見ていたマミさんが露骨に嫌そうな顔をした。


「ボーイズラブとかよそでやってよ」


「違います!」


僕は慌てて否定、そして…謝るタイミングを逃した。


「あ…だからチェ」


「あー!もう!」


キム兄がチェリーと言う前に僕は大声出して、阻止した。


「ホンマ、日當はうるさいのう…よし、役者は揃ったけん出掛けようか、ヨーコさん何時ものようにサポートよろしく」


キム兄の言葉に何が起きてるか僕には分からず、ちょっとおいてけぼり状態。


ツッチーさんやトミーさんはグリさんと何か話ながら会社を出て行く。


宇美さんとヨーコさんはパソコンの前に座って何かカチカチとやっている。


「ほら、アンタも行くよ」


と僕はマミさんに手を引っ張られた。


「えっ?」


僕は訳が分からずキョトンとなる。


「ホンマとろいなぁ日當は…仕事欲しいんじゃろ?」


とキム兄も車の鍵を持ちドアの前に立つ。


仕事…きっとまた、わけわかんない仕事内容なんだろうな…でも、ミクちゃんの為!僕は頑張るんだ!


「はい」


僕は元気に返事を返し、キム兄の後を着いて行く。



◆◆◆



「今から仕事説明するけえ、ペンとメモ出しんしゃい」


運転をしながらキム兄が偉そうな態度で言う。


ちなみに助手席はグリさんで車はキャンピングカーで驚いた。


こんなのアメリカのドラマか映画でしか見た事がない僕はもう、キョロキョロと周りを見てしまう。


凄い、小さいキッチンもあるし、数人寝るスペースもある…へ~、へ~凄い。これがあったら友達とキャンプとか…。


「日當聞いとるんか!ペンとメモはどうした!」


キム兄の怒鳴り声で現実に戻った。


ペン?メモ?僕は慌てて、バッグを探る。


「ホンマ、日當はトロイのお」


あぁ…何回言われたかな、この台詞。


「あの、あの、何するんですか?」


「だから、今から説明する言うとるじゃろうが!」


まるで、野獣のごとく威嚇するキム兄…うぅ、苦手だやはり。


「お前、本当にあの…言い過ぎ」


ツッチーさんが笑っている。





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