まじめな仕事2
「いえ、あの…東区って」
「また、言った」
ツッチーさんがまた笑う。
「東区は同じ会社だけどリーダーが違うんだ…ウチはキム兄さん」
「えっ?キム兄が社長じゃないの?」
トミーさんの言葉に僕は驚く。
てっきりキム兄があの変な会社の社長だと思ってたから。
「違うよ、キム兄さんは博多区のリーダー」
「区で別れてるんですか?」
「う~ん、そう言う訳ではないんだけど、ただ営業所が博多区と東区にあって、キム兄さんだけでは手が回らないから、別のリーダーが居るんだ」
へぇ~と思った。
「ただね、リーダー同士あまり仲良くないからさ、僕たちまでなんか向こうには負けたくないってなってるんだ…それに半年にこなした仕事内容でバイト料も変わるし」
「えっ?更に貰えるんですか?」
「貰える、かなりね」
ツッチーさんがニヤリと笑う。
確かにツッチーさんはブランド品を沢山身につけてるもんなぁ。
「東区のリーダーってどんな人?」
「デカイし、迫力あるよ…でもリーダーよりも腰ぎんちゃくみたいな奴らが嫌な奴」
デカイ…迫力…キム兄以外にデカイ人が!
◆◆◆
色んな話をして皆と別れた。久しぶりに長く友人と話した感じがする。
僕は大人しい方で、つるむという事はしない。別に友人が居ないとかじゃなく、ただ…しないだけ。
久しぶりに話して夜の道を一人歩く。田舎に居る時もよく自転車で夜中の散歩していた…。
まあ…その度にお巡りさんに補導されたり…自転車泥棒と間違われたりしたけどさ。
都会に来てからは夜中出る暇がない…星が見えないせいもあるけど…本音は、都会は物騒だから。
ふと…目にパトカーが映った。
なんか…嫌な予感…足を早めた。
「ねぇ、君…」
案の定…声をかけられる。
最悪…。
◆◆◆◆
ピピピッ
アラームの音?
携帯を手にするとメール。
名前を見て跳び起きた。フラれた彼女の名前。
彼女からのメール…わあぁ…!!ドキドキした。
なんでメール?ドキドキした指で彼女の名前をクリックした。
メールには…今日食堂に来て…相談があるの…と書いてあった。
未練がましい?
それが何か?
◆◆◆
約束の時間…食堂に僕は居た。
未練がましいとか言われてもいい。
相談に乗ってって言われたら乗るしかないじゃん?…って、誰に言い訳してるんだよ…僕。




