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人質人材派遣派遣株式会社  作者: なかじまこはな
人質人材派遣
22/35

コードネームは日當です6

「…今までが異常だったんだよ、四六時中一緒だったし、それに彼女がバイト始めたって言ってただろ?バイトが忙しいんじゃない?」


坂元君と彼女のユキちゃんは知らない人がいないくらいにイチャイチャカップル。


学食だろうが、教室だろうが…手を繋ぎ腹立つくらいにイチャイチャ…前は羨ましいと思ってたけど、自分が彼女にフラれた後は…ムカついて仕方なかった。


世の中のカップルなんて皆別れちまえばいいんだ!と思ったもん。


「坂元君…もうすぐ誕生日だろ?彼女その為にバイト頑張ってるんじゃない?」


僕がそう言うと坂元君の顔はパア~と明るくなる。


「そうか、そうだったんだ」


坂元君はさっきとは打って変わって笑顔…と言うか気持ち悪いくらいにニヤニヤしはじめた。


アホくさ…やっぱり帰れば良かったな。僕はコーラを一気飲みする。


「なんか元気出たよ、日當に話して良かった」


別に僕じゃなくても誰でもそう言ったよ。僕の心のイライラとモヤモヤが溢れ出しそうだっ。


「あ、そういえば日當、バイトの面接どうだった?」


「バイト?」


人質人材が頭を過ぎる。


「百均のさ、どうだった?」


あぁ、そっち…人質人材に入る前に博多駅にある百均に面接行ったんだった…と思い出す。昨日の事なのに…何日も経った気持ちがした。


「落ちた」


「えっ?マジで?日當なら受かりそうだったのに残念だなぁ」


百均のバイトを教えてくれたのは坂元君で、彼はそこで働いてる。


「別にいいよ」


「じゃあさ、新しいバイト紹介しようか?」


…そう言ったのは坂元君じゃなく。一学年上の男性の先輩がいつの間にか僕らのテーブルに来ていた。


座っていい?とかも無しに先輩は僕の横に座る。


「すげぇ金になるんだ」


先輩はたまに見かける人で、あまり良い噂は聞かない。女遊びも派手!金髪でブランド物に身を包み、耳にピアス…つけすぎる香水に鼻をつまみなくなる。


ホストをしているから女からの貢ぎ物だと自慢しているのを聞いた事もあった。


「ホストとかですか?」


僕はホストの勧誘かと思っていた。


「バカ、違うよ」


先輩は笑う。


バカ?初めて話すのにバカ?なんかムカつく。


「お前にはホストは無理、顔はまぁ~イケる方だけど地味だし、女慣れしてない」


ケッ、自分は女慣れしてるとでも言いたいのかな?


「時間も短いし、ただ…荷物を運ぶだなんだ」


めっちゃ怪しいやん!心で思わず叫んだ。


「いや…結構です、自分は新しいバイト見つけたんで」


僕は速攻でお断りを入れた。


「新しいバイト?どうせ時給何百円なんだろ?この運ぶだけで10万は貰えるんだぞ、明らかにこっちが良いだろ?」


10万…そんなのに飛び付くのは無知な奴だけだ!田舎者の僕にだって怪しいと分かるよ。


「本当に結構ですから」


僕は頑なに断ったけど、それによって事態が悪化しつつあった。


今まで愛想良かったホストな先輩は「あっ?」と1番ムカつく返事を返した。


返事は「はい?」か「えっ?」と返せと親に習わなかったのかな?


因みに僕は習った。


「よく聞こえなかったんだけど?…今、結構ですとか言った?」


僕の肩に肘をつき、まるで一昔前の不良みたいな圧力をかける。


でも、ちゃんと聞こえてるんだよね…結構ですと聞き返したからさ。


「…はい。」


僕がそう返すと坂元君の目は(お前、後から大変だぞ…)と言わんばかりに、「ほら、先輩が薦めてくれてるし」と…多分、彼は巻き込まれたくないのだろうな…僕よりテンパっていた。


でも、絶対に無理。


「本当に結構ですから」


「ちょっ、日當…」


坂元君の目はおもいっきり…バカ、空気読め!と言っている。


「へぇ…せっかく、良い仕事を教えてやるって言うのにさ」


先輩の声は低い。何故、断るだけでこんなにも威嚇出来るのかな?


「せんぱーい、悪いッス、そいつは俺がもう仕事紹介してるんスよ」


と聞き慣れぬ声が僕の後ろから聞こえ、直ぐに振り返る。


今風のチャラ男…それが彼の印象。


ホスト先輩と負けないくらいのブランド物に身を包んだ男性が居た。


「な、日當」


今、初めて会ったばかりの男性は僕の名前を知っている。誰?直ぐに名前を聞きたかった。


「…フン、お前か」


先輩はこの男性を知ってるのか嫌そうな顔をする。


「今からそのバイト行くんです、ホラ、早く立てよ遅刻するぜ」


と僕の腕を掴むと引っ張り上げた。


「えっ?ちょっと…」


待って下さい…と言う事なく、僕は彼に腕を引っ張られ食堂を出るハメに。


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