やっつけ仕事6
「彼女はヨーコさん、アタシと同じ経理担当」
マミさんが紹介してくれた。
て、…マミさん。経理だったんですか?
今更にそう思いながらヨーコさんによろしくと頭を下げた。
「昨日はごめんなさいねぇ~私が休みだったからコーヒー自分でいれたんでしょ?嫁入り前の娘は気が利かなくてね~」
とヨーコさんはニコニコと笑いながらにコーヒーを入れて来てくれる。
あぁ…マトモなスタッフが居たぁぁ。
僕は感動しながらコーヒーを受け取った。
「ヨーコさん、ワシにも」
キム兄が手を挙げてアピール。
「コーヒーの前に…この領収書は通せませんねぇぇ」
とヨーコさんはキム兄の前に領収書を置く。
「なんでじゃ?」
キム兄はキョトンとしている。
「何でもかんでも領収書切ればいいってもんじゃなかでしょもん!実費で払って下さいね」
ヨーコさんは…キム兄を迫力で圧している。
本当に怖い人は、ヨーコさんじゃ?
1番マトモだと思ってただけに…ちょっとショックだった。
「マミさんからも何とか」
「出来るわけなかろうが」
はい…即答です。
「なんとかならんかのぅ」
キム兄はまだブツブツ言っているが経理二人は無視している。
「…あの、印鑑…」
なんかその雰囲気を壊したくて僕は印鑑を怖ず怖ずと出した。
「そうじゃった」
キム兄は机の引き出しを覗き込むと、
「書類…どこやったかのう?」
ゴソゴソと引き出しをあさりだす。
「まさか…無くしたとか言わんよねぇ」
とマミさんが嫌そうな顔をしている。
「無くしたらどうなるん?」
キム兄の素朴な疑問に、「くらす!」とマミさんは即答。くらすは殴るの方言……それを迷いのない答…
凄すぎですマミさん。
そう考えていると、ドアが開く音がした。
「あら、宇実ちゃん」
ヨーコさんがドアの方へ微笑みかける。
何気に振り向くと、駅で見た巨乳…
いや、女性が居た。
「ご苦労さん」
キム兄も巨…いや、女性に声をかける。
「大変だったねぇ、大丈夫だった?」
女性は僕に笑いかけてくる。
「…はい、」
僕は微笑みよりも女性のスイカのような胸元に目がいってしまった。
男の子だもん、神様許してくれるよね。
と願う。