やっつけ仕事5
「は?バカじゃない!アンタがめくったんだろ」
女子高生も負けてはいないが、僕的にはマミさんの勝利のような気がした。
「バカはアンタら、今ね~博多駅周辺でさ…今みたいにパンツ見ただろと絡んでお金取るバカな女子高生4人組が居るって聞いてんだよねぇ…アンタらでしょ?被害者に聞いたら一発だろうけどさ、警察行く?」
マミさんはニヤリと笑う。
駅員もあっ!と言う顔をして僕ではなく女子高生の腕を掴んだ。
「離せよ」
パンツ見たと騒いだ女子高生が駅員に捕まると、友人3人は女の子を見捨て一目散に走り出した。
「女の友情って所詮そんなモンよね…アンタも友達選んだ方が良がねぇ…アイツらは絶対にアンタを庇わない」
マミさんは女子高生にそう言って微笑むと僕の手を取り歩き出す。
「ちょっと待って、その男の子からも事情聞かなきゃ」
駅員が止めに来たが、
「こっちは汚いパンツ見せられた被害者やし、それにコイツはパンツ見る度胸はなか」
とマミさんはキッパリと言ってくれた。
「でも、一応…」
駅員さんが僕らに近づいて来た時に、
「その男の子は本当にリュック拾っただけですよ」
優しそうな女性が間に入った。
駅員は女性の登場に顔を赤くして俯く。
女性の胸元に目がいってしまったみたいだ。
女性はかなり胸が大きく…スイカ…そう、スイカを胸に乗せてるみたい。胸元が開いた服のせいで、駅員は目のやり場に困っているようだった。
「私が証言してもいいですよ」
女性は優しく微笑む。
駅員がドギマギしている間に僕はマミさんに腕を引っ張られ改札を出た。
「あ、あの…ありがとうございました」
僕はマミさんの後ろ姿にお礼を言う。
「トロイ奴」
マミさんはそう言って鼻で笑った。
でも、何故かムカつかない。
マミさんらしい…そう思えた。
彼女がサクサクと歩いてくれたお陰でバイトには遅刻せずに済んだ。
ドアを開けると、
「何でしょうか?」
とみた事もない年配のおば…いや、女性が居た。
「あ、このコ客じゃなかよ、新しいバイト」
とマミさんが年配の女性に声をかける。
「あぁ、聞いてる~日當くん?」
女性はニッコリと微笑んだ。
年齢は僕の母よりかなり上だった。