やっつけ仕事3
えっ?パンツ?
僕はキョトンとなり顔を上げる。
目の前に短いプリーツにチェック柄のスカートと、そこから覗く太ももがあった。
へ?
「また見やがった、このスケベ」
その声の持ち主は、ミニスカの女子高生でパンツ見たと言ったのもこの女子高生。
もっと顔を上げると女子高生が3人居た。
もう、この瞬間から関わりたくないと本能が彼女らを拒絶する。
が、彼女らが見逃すわけがないと次の瞬間の言葉でわかった。
「コイツ、スカートの中覗きやがったスケベ野郎でーす」
とパンツを見たと言った女子高生が、駅を行き交う人達に聞こえるように大声で言ったからだ。
女子高生はお世辞にも可愛いとは言えず、頼まれても君のパンツは見たくないと胸張って言えるくらいだ。
でも、そんな事は通用しないわけで。
この瞬間から痴漢野郎へと僕は変わってしまったのだ。
しかも無実で。
「見てないし」
そう女子高生に言っても通じる訳がない事くらい僕にも分かる。
でも、見てもいないパンツのせいで一生痴漢野郎のレッテルははられたくはない。
強気に出よう!
「だから見てないって、リュック拾っただけだよ」
なるべく強気に…頑張って言ったのに。
「はぁ?拾う振りしてスカートの中覗いたんだろ?」
と大声で返される。
言い返せば言い返す程に僕は不利になる…そう直感した。
時計をチラミすると、時間が無い。
キム兄に殺される!
僕は焦った。
「黙ってないで何とか言えよ、この痴漢野郎!」
調子に乗ってるのかバカなのか女の子は大声でそう言った。
過ぎ去って行く人々には僕は痴漢野郎としてインプットされてるんだろうなぁぁ。
泣きそうになる。
明らかに僕が不利である。
彼女の言う通り、リュックを拾う振りしてスカートの中を覗こうと思えば覗けるし。
でも、どうせならグラビアアイドル並の美少女のパンツが見たい。
いや、そうじゃなくて!
見てないのに見たと言われてるこの状況から助けてくれる人って、周りを見ても、皆…見て見ぬふり。
笑って行く人もいる。
冷たい…
都会の人は冷たい。
「駅員呼ぼうぜ」
女子高生の友人の一人がそう言った。
「はっ?」
バカかコイツは…