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人質人材派遣派遣株式会社  作者: なかじまこはな
人質人材派遣
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やっつけ仕事2

電源を何故切って寝なかったんだよう~自分のバカ!


このまま無視しようにも着信は執拗に鳴り響く。


隣の人に迷惑だよね…


仕方なく電話に出る。


「遅い!」


モシモシのもさえキム兄は言わせてくれなかった。


「…すみません」


謝るしかない…そんな気がする。


「ハンコ持って来てくれんか?昨日言うの忘れとった」


あぁ…ハンコね…。


キム兄の声は朝からでも元気で大きい、ゆえに電話は耳につけたりしない…そんな事したら鼓膜が破壊される。


「聞いとるんか?」


返事を返さない僕にイライラしてるのか口調が怒っているようだ。


いや…元からこんな口調だ、この人は。


「聞いてます…」


僕は返事を返しつつ、ふと仮病を使おうと考えが過ぎった。


「あの…すみません、今日なんですが…昨日、窓、開けぱなしで寝たせいで熱が3…8度あって…無理そう…です」


なるべく、元気なさそうに、具合悪そうに装う。


39度は流石に言い過ぎだと思い38度にした。


キム兄は電話の向こうで黙り込む…ヤバイ…バレた?


ゴクリッと唾を飲む。


「そうか…ならワシは39度じゃ」


アッサリとバレてしまった。


この人にはもう…嘘もごまかしも利かないんだな…と改めて実感したよ。


「遅刻したら殺す」


それだけ言うとキム兄は電話を切った。



ぜっったい~殺される~!!


僕は身支度を10分以内で済ませ、駅までダッシュした。


駅まで3分の場所に住んでる事を今日ほど喜んだ事はない。


あんなにグズグズと布団にいたのに時計の針が7には電車に乗れたんだから。


人間、追い込まれたら何でも出来るんだなぁ。


こんな感動的な事をあんなヤクザな人に教えられるのも複雑だ。


博多駅には6分でついた。


殺されずに済みそう…


急ぎ足で階段を降りる僕に下から昇ってくるオヤジがぶつかって来た。


その衝撃で肩にかけてた僕のリュックが落ちる。


ぶつかったオヤジは謝るどころか振り返りもせずに走り去った。


なんか…腹が立つ!


あれが大人!


相手を気にしない。


謝らない。


これが大人なら子供も平気で真似をするよ。


不愉快になりながらリュックを取る為に少し体勢を落とした瞬間に、


「ちょっと人のパンツ見てんじゃねー」


と上から声が。


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