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救済の糸

作者: 神林 醍醐郎

・救済の糸



天上から糸が垂れ


白雲で紡がれた糸が垂れ


蒼褪めた男は涙を垂れ


朝露に濡れた糸に触れる



かつて 男は 蜘蛛を救った


水溜りに溺れる 蜘蛛を救った


蜘蛛は 雲上にて 清らかなる乙女に姿を変え


かつての恩を返さんと 一筋の糸を下ろした



夢敗れた男は 糸を巻く


痩せこけた首に 糸を巻く


幾重にも 幾重にも 糸を巻く



乙女は 垂らした糸に重みを感じ


真白い指で 手繰り寄せる


報恩の糸を 手繰り寄せる



男のつま先は 地を離れ


その病める魂は 世を離れ



青空の打ち寄せる 白雲の岸辺


乙女の元に 上げられた時


男は既に 息絶えていた



その安らかな亡き顔は


白雲に溶け 見えなくなった

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