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ココロ

作者: 碧井うみ

長年愛用していた心がボロボロになった

困ったなあ

私は心の修理屋さんに、心の修理を頼んだ


おじさんおじさん

私の心、見てちょうだい


おうそうかい、どれどれ


おじさんは虫眼鏡を使って、すぐに私の心を覗き込んだ


うーん、こりゃあ困ったなあ


どうしたの、おじさん?


こりゃあもうだめだな

修理してもいいが、それよりも新しいものにしたほうがいいよ

修理より新品を買ったほうが、安く済みそうだ

どうするね?お嬢ちゃん?


私はうーんと唸った



この心は、私が生まれたときから使っていた大切なもの

でも、確かにもうだいぶ古くなってしまったわ

お友達はみんなピカピカのココロをもっているし…



私はちょっと迷ったけれど、もうボロボロの心を持っているのはしんどいな、と思った


おじさん、私、新しいのにする!


おお、そうかいそうかい、それがいいよ

そのモデルはもう古いからね

ピカピカの高性能なココロを売ってあげよう



おじさんはココロがいっぱい置いてある棚に私を案内した

私が今まで持っていた心とは違って、最新式のココロは、みんな丈夫そうにピカピカと光っている


これなんかどうだい?優しそうなココロ


おじさんは外見がピンクに塗られたココロを持ってきて言った


うーん…


じゃあ、これはどうだい?賢そうなココロ


今度は、青色に塗られたココロ


うーん…


納得いかないようだね。じゃあ、お嬢ちゃんにとっておきを見せてあげよう


おじさんは棚の中でも一番ピカピカした、銀色のココロを持ってきた


これはね、プラチナでできているんだ

他のココロなんかより、ずっとずっと丈夫だよ

きっとこの先一生使えるだろうね


私は思わず「わあ!」と口にした


おじさん!私、これがいい


おじさんはにっこりと笑った



プラチナでできた新しいココロは、最初、ほんの少し冷たかった

でも、そんなのはすぐに気にならなくなった

私の新しいココロは、転んでも、殴られても、針で刺されても、ちっとも痛くなんてなかった






銀色で、ピカピカの、私の新しいココロ

今日からどうか、よろしくね






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