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プロローグ

 ここ、県立緑ヶ丘高校はこのあたりでは有名な進学校である。生徒731名、教員18名。魔術使いはいない。いたって普通の学校である。

 ちょうど廊下を二人組の女子が歩いている。

「アンタまたふったの~?」

「いや~…。だってさ~」

 そう会話をするのは2年A組の椹野ふしのあおい木下きのした樹奈きなである。葵の答えに少しながら不満を持ったのか樹奈は少しながらふてくしていたが、すぐに気が変わったらしい。両手を上にあげて背伸びして

「まっ…いいけどさっ」

と不明瞭ながらも返事をする。やがて教室が見えてくるといきなり樹奈が駆け出した。樹奈は教室に入るとすぐそこにいる人に「おっはよ~」と軽い挨拶をする。葵はそのあとを追いかけるようにしてゆっくりと教室へ入る。

「おはよう」

 樹奈と同じように挨拶をする。挨拶をした相手は柄谷からたに糸雨しうである。この三人はいつも仲良しなグループだ。

「おはよう…」

 糸雨は元気がないのか素っ気のない返事をする。いつものことなのか二人はその後、それほど追求しなかった。すると、いきなり樹奈が話を切り出してくる。

「そうそう‼今日からこのクラスに転校生が来るんだってさ~!」

 反応を少し期待している樹奈に対して固まる二人。それに不満なのか樹奈は頬を膨らませ不満気な顔をする。

「まっ、いいけどさっ」

 一度気が抜けた感じになったが、すぐに笑顔になりそう言った。やはりこの学校のやつらの考え方が分からない。首をかしげても、観察していても行動が読み取れない。まるで猫のようだ。

「…あのぉ~。東…くん…ですよね?」

 後ろをみると二十代後半とおもしき女性の姿があった。首から紐を下げている。紐に括り付けられている紙には「教員:沢村さわむらいおり」と書かれている。このことからこの人は先生ということになる。

「なにか…ご用でしょうか?」

 そう聞いたはずなのだが、返ってきた答えが

「なんで…教室を覗いていたんですか…?」

だった。会話が全く持って成り立っていない。ここは、相手の立場を尊重しその疑問に答えることにした。

「それは…」

 言葉が詰まってしまう。さすがに観察対象の観察などと言えば警察への引き渡しになりかねない。その場合、総長に迷惑となり「釈放手続きめんどい」などと言われて一時間ぐらい愚痴に付きあわされそうなのでなんとかしてこの場を治めなければならない。

「それは、男の夢を叶えるためです‼」

「へ?」

 前見た本で女性は男の熱い友情に心引かれるときく。この場合、こんなことでも言えばなんとかなるだろうと思っていたのだが読みが外れたらしく反応に困っている先生。しょうがなく、分かりやすくもう一度言った。

「漢探しです!」

「ちょっと職員室まで来てもらえるかしら?」

 俺は先生に引っ張られて職員室に来た。なにをするのかと思えば、先生が怒り出したのだ。はてさて、俺が何を間違えたのだろうか?そしてどうして怒られているのかさっぱり理解できない。

「一体、どんな教育をなさっていたのか親御さんの顔が見てみたいですね」

「私には親はおりません。引き取り人ならおりますが…。」

 先生の顔は中国の伝説の生物の龍のように火を噴く。なにかまずい回答でも言ったか理解にとても苦しむ。

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