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おばあちゃんは冒険者  作者: ファタル
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ギグルシュカに帰還

大変長らくお待たせいたしました。

詳しくは活動報告に書いてますが、もろもろの事情で1年も空いてしまい、待って下さっていた心の広い読者様には感謝するばかりです。

自分の体調や周りの状況も落ち着いてきましたので、これからは最低でも月1、2回の不定期で更新していけたらなと思っています。

「よお。おかえり。ホロ。ジェーン。」

「ただいま。」

「…おう。ただいま。」



 まっすぐギグルシュカを目指した馬車は、夕方には街についていた。

 顔なじみの門番に声をかけられ、ジェーンはいつも通りに、ホロは疲れた顔をして答えた。



「おお。ホロ。今回は大変な時にご苦労さん。薬は無事届いたかい?」

「ああ。帰りは軽いから、飛ばしてきた。早く嫁さんの顔がみたいよ。」

「ははっ。そうか。はいよ、通ってくれ。嫁さんに労ってもらいな。」



 いつものやり取りにも疲れたホロの様子に、門番は素早く手続きをすると馬車を街に入れた。

 中も一応あらためられたが、幾つかの薬の籠に袋が積んであるだけなので、問題はなかった。



 しばらく街中を進み、ホロの薬屋の所までくるとたおやかな美女が店の前に立っているのが見えた。

 ホロの妻のジェシカである。



「おかえりなさい。先生もご無事で良かった。」



 ホッとした顔で出迎えるジェシカに、ホロの顔がようやくほころぶ。

 それを見て大丈夫そうだと思ったジェーンはホロに馬車をそのまま納屋に停めるよう言う。



 納屋といっても、ほとんど馬車置き場兼、馬小屋である。

 木の板で囲って屋根を付けた粗末なものだが、外からは見えないようになっている。



 ジェーンは納屋に入ると、侯爵とアルタイトの術を解いた。

 光の反射を調節して、鏡のように周りを移して姿を隠していたのだ。



 これもジェーンの結界の使い方の一つで、盗賊たちが捕まった以上は馬車にはる必要も無くなったので、侯爵たちの周りにはっていたのだ。

 侯爵は目を輝かせていたが、アルタイトは不機嫌さを隠しもしないでふてくされていた。



「なぜ私がこのようなことを…。」

「あんたがそれだけ嫌がるなら、目くらましの効果はありそうだね。しばらく静かにしておくれ。一度、店の中に入るよ。」



 アルタイトの様子に自分の作戦が上手くいきそうだと察したジェーンは、馬車小屋から店の中へ入るルートに二人を案内する。

 木の板を張り合わせた壁と一体化するように作られたドアは一見壁にしか見えない。



 貴重な薬草を仕入れた時にむやみに情報が流れないようにするため、秘密裏に店に運び込むためにホロが作った力作だ。

 留守を任される奥さんの安全のためにと試行錯誤するホロを見て、ジェーンも認識阻害の魔法陣を刻んで手助けをしたのだが、こんなところで役に立つとはさすがに当時は思いもしなかった。

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