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ディンの紋章 ~魔法師レジスの転生譚~  作者: 赤巻たると
第四章 エルフの峡谷編
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第五話 族長と孫娘


 破天荒な女性と分かれた後。

 しばらく歩き、族長のいる屋敷へと到達した。


 屋敷は無駄に広く、とても立派な作りをしている。

 風格のあるゆったりとした木造建築だ。

 族長が風流人なのか、結構な作りだな。

 イザベルは屋敷を指さして、説明してくれる。


「さて、ここが族長の屋敷だよ。基本的に話のわかる人だから、緊張しなくていいと思う。

 あと……まあ、気をつけて」

「……気をつけて?」


 これまた含みのある言い方だな。

 まあ、しつこく聞くのも何だ。

 特に質疑は行わず、俺とイザベルは大屋敷に入った。


 しかし、族長はどんな人なんだろうか。

 イメージだと、痩せ体型で理知的で、悪口は言うけど根は素直、って感じなんだけど。

 俺の予感はだいたい当たるからな。


 間違いない。

 きっと箴言でエルフを導く長老的な人が出てくるはず。

 そう思って、イザベルの背中を追う。


「うん、ここだね」

「この戸の先か。質素な部屋だな」

「族長はエルフの中で差をつけないからね。何でも皆で公平に分かち合ってるよ」


 ほほぉ、素敵な族長さんじゃないか。

 ますます話の分かりそうな好々爺が出てくる予感。

 いける、追い風が俺に味方している。


 一つ咳をして、俺は服装を整えた。

 そして、いざ戸を開く。

 ――開いた。


 俺は一歩踏み込むと、威勢よく挨拶をする。


「お初にお目にかかります。レジス――」

「ウリィィイィィイイアアアアアアアアアアアアアアアア!」


 空気を震わせる怒号。

 そして、眼前に迫り来る筋肉ダルマ。

 大柄の爺が、拳を振りかぶっていた。


 筋骨隆々、虎視眈々。

 万物を捻り潰しそうな一撃が、俺に襲いかかって来た。

 思わず絶叫してしまう。


「どわぁああああああああああああ!」


 アレク直伝の逃走ステップを発動。

 間一髪で拳を回避する。

 更に、追撃を避けるために床をゴロゴロ転がった。


 その時、頭からゴガンッ、という音がした。

 どうやら、部屋の中にあった机の足に頭をぶつけたようだ。


「ぐ、ぐぉおおおお……」


 しかし、倒れている場合ではない。

 涙目で頭を擦りつつ、殴りかかって来た人物を見た。


 鳶色の短髪が、薄く頭を覆っている。

 獰猛さを感じさせる、鷹のような瞳。

 恐ろしい事この上ない。


 しかし、その老人がエルフであることは間違いないようだ。

 耳に特有の尖りが見てとれる。


 謎の爺の一撃は、確かに壁を打ち砕いた。

 だが、その代償も大きかったな。

 壁の素材が妙に固いのか、腕が抜けなくなっている。

 悪戦苦闘して引き抜こうとしているが、微動だにしない。

 しばらくして、老人がギロリと睨んでくる。


「そこのお前ッ!」

「は、はい……」


 思わず脊髄反射で返事をしてしまう。

 鋭い声だ。年の割に腹から声が出ているな。

 爺は馬鹿でかい怒声で、いきなり自己紹介を始める。


「儂はジャックルと言うものだ! エルフの峡谷の7代目族長をやっている!

 お前は何者だッ、名を名乗れ!」

「れ、レジス・ディンです」


 名前を聞くなら、さっきの名乗りを止めるなよ。

 いきなり殴りかかってきやがって。

 ジャックルと名乗った爺は、俺の姿をじっくり見る。

 そして俺の背後にイザベルの姿を認めて、急に敵意を消失させた。


「そうかッ、客人だったか! 殴りかかったことを詫びよう、悪かったな!」

「そ、そうですか……」


 なんだ、よく分からん謝罪をされたぞ。

 まあ、敵意があったわけじゃないみたいだな。

 この様子から判断するに、誰かが入ってくるか確認する前に殴ったってことか。


 何という火薬倉庫だ。

 着火したら屋敷ごと吹き飛びそうな気がする。


「ところで、お前をイザベルの知人と見込んで頼みがある!

 ――頼まれてくれるな!?」


 ほお。

 殴ろうとした相手に頼みとは。

 中々愉快な思考回路をしているようだな。


 隣のイザベルを見る。

 彼女は諦めたように首を振っていた。

 こいつめ、こんなのが出てくるんなら予め言っとけと。


 いや、意味ないか。

 少なくともこの爺に限っては、下調べをしていても意味がなさそうだ。

 むしろ知らなくてよかったレベルである。

 こんな超弩級の地雷がいると事前に聞いてたら、即行で下山してたと思うもの。


 まあいい。

 殴りかかられただけでへそを曲げるほど、俺も狭量ではない。

 とりあえず、その依頼内容を聞くとしよう。


「で、なんですか?」


 咳払いをして尋ねる。

 すると、ジャックルという爺はふんぞりがえって大声を上げた。


「――腕が抜けん!

 抜くのを手伝ってくれ! イザベル、お前も手伝うのだ!」


 自分でめり込ませといて人任せかい。

 どんだけ強く殴ったら抜けなくなるんだ。


 憎しみのパワーか。

 憎しみのパワーを俺に向けたのか。

 しかもよく見たら、あちこちの壁に大穴が空いてるし。


 どうやら、来訪者を手当たり次第に殴ってるみたいだな。

 何その理不尽な試練。まだ十二の試練を突破したほうがマシだよ。

 族長のやることじゃないだろうに。


 色々と言いたいことはあるが。

 とりあえず、助けないことには話が進まない。

 俺とイザベルは、ジャックルを壁から引き剥がしにかかったのだった。

 

 

 

      ◆◆◆

 

 


 一悶着の後。

 俺とイザベルは、テーブルを挟んでジャックルと向き合っていた。

 疲れのせいか、半日ぶりに腰掛けた気がする。


 登山中も休憩を挟んだりはしたのだが、やはり根本的な体力回復には至らない。

 こうやって座れることに感謝だな。

 そんなことを考えていると、そっと目の前にカップが置かれた。

 

「どうぞ」

「あ、どうも」


 ふと横を見ると、エルフの少女……というより幼女が柔らかい微笑みを浮かべていた。

 どうやらお茶を淹れてくれたらしい。

 トテトテ、と危なっかしげにお盆を運んでいる。


「わたし、セシルっていいます。お爺ちゃんの孫です」


 セシルと名乗った幼女は、ペコリと頭を下げる。

 赤色の混じった鳶色の髪。

 ニコニコと、表情豊かに笑顔を振りまいてくる。


 天真爛漫な雰囲気を放っているな。

 あどけない顔はまるで天使のようだ。

 思わず庇護欲が掻き立てられてしまう。


 そう、これだよ。

 小さい子供はかくあるべきだよ。

 久しぶりに幼子の本気を見た気がする。

 のじゃー、のじゃー言ってやかましい娘とは違い、内面と外面が釣り合っているからな。

 やはり本物は違った。


 そんなセシルと打って変わって、族長であるジャックルは鬼のように顔をしかめていた。

 この爺の孫娘であるということを除けば、文句なしに満点だ。

 というより、マイナス要素なんて関係なしに可愛い。

 セシルと名乗った幼女は、俺の顔を見て興味深げに目を輝かせた。


「わー、黒い髪ー。珍しいです、初めて見ました」

「ああ、あんまり見かけないよな」


 なぜか知らんが、俺の髪色は黒である。

 魔法遺伝学によると、遺伝上たまに発生する色らしいけど。

 発生条件とか確率とかは忘れたな。


 前に書物で読んだ気もするんだが……思い出せない。

 黒い髪は、この大陸では比較的少ない傾向にある。

 あまり世間を知らない人だと、普通に驚いたりすることもあるとか。


 もっとも、今までに相対してきた連中は、あまり髪色を指摘して来なかったな。

 俺への憎しみが先行して、それどころではなかったのかもしれない。

 腐敗貴族の器の小ささに辟易する。


 それにしても、俺の予想は大外れだったか。

 エルフの族長ってのは、もっと線が細くて知的なイメージだったのに。

 何でこんな筋肉の化身が出てくるんだ。


 まあ、悪い人じゃないっぽいし。

 外見をとやかくいうのも野暮だろう。

 少し見方を変えれば、剛毅な雰囲気に満ちていて、懐も深そうに見える。


 しかし、彼の全身から吹き出る闘志と筋肉が、全てを台無しにしていた。

 爺……もといジャックルは、茶を一口で飲み切ると、イザベルに食って掛かる。


「それでイザベルよ! 久しぶりに帰ってきたと思えば、なんだこの男は!」

「……うるさいなぁ。爺様のそういう所が苦手だよ。

 もう少し小さい声で喋ってくれないかな」

「そうか、悪かった」


 イザベルが耳をふさいだのを見て、ジャックルはすぐに小声になる。

 その間に、セシルが茶のお代わりを注ぐ。

 ジャックルはその様子を、緩んだ顔で見ていた。


 やはり孫が可愛いのはどこでも一緒か。

 セシルは一礼して、またトテトテと部屋の外へ去っていった。

 非常に和むな。思わず頬が緩んでしまう。


 しかし、ジャックルはすぐに疑念を思い出したのか。

 再び茶を飲み干すと、イザベルに詰め寄った。


「それでイザベルよ! お前こんな人間を――」。

「うるさいって言ったよね。数秒前のことも思い出せないの?」

「ぐ、ぬぬ。すまんな。昂るとつい声が出てしまう」


 イザベルの声が剣呑になったな。

 しかも、珍しくキレかけてる。

 どうやらジャックルは、気を抜くと声が大きくなってしまうらしい。

 なんとか彼に喋らせまいと、イザベルは俺の紹介をする。


「私が数年前に、王国西部の視察に行ったよね。

 あの時、実は山賊に襲撃されたんだ」

「聞いておらんぞ」

「言ってないからね」


 言ってなかったんですかイザベルさん。

 ナチュラルにジャックルの神経を逆なでしかけてるぞ。

 イザベルは過去を振り返り、時折なぜか頬を染めながら、簡単に経緯をまとめた。

 

「その時、恥ずかしながら結構苦戦しちゃってね。

 うっかり危機に陥っちゃったんだ。

 でも、レジスは私を助けてくれて――。

 それ以来の付き合いになるかな。うん」


 まあ、俺がいなくても切り抜けてそうだったけどな。

 しかし、助けになったというのは、あながち間違いではないか。

 魔力を使い切った後に失神という、今思い出しても情けない幕切れだったけどな。

 俺にとっての黒歴史だよあの件は。

 イザベルの話を聞いて、ジャックルは心底驚いたようだ。


「なんと、人間がそんな律儀な真似を。

 レジスと言ったな。エルフに力を貸してくれたこと、代表して儂が礼を言おう」

「いや、大したことはしてないですよ。

 俺もイザベルに助けられてばっかりで……」


 俺が謙遜すると、ジャックルは鼻高々に胸を張った。

 そして、我が娘を自慢するかのようにイザベルを持ち上げる。


「そうだろうそうだろう。イザベルはエルフ随一の才覚を持っているからな」

「いや、爺様。エルフで最強なのはアレクサンディ――」

「その名前を出すでない!」


 特に理由のない怒声がイザベルを襲う。

 しかし、彼女も対応には慣れたもので。

 すぐさま耳をふさぎつつ、鬱陶しそうに族長を見やった。


「……爺様のアレクサンディア嫌いは相変わらずだね。

 子供の時に、稽古と称して虐められたのをまだ根に持ってるんだ」

「違う、違うぞ! 儂はエルフの規律を、奴が蔑ろにしている所に腹を立てておるのだ!」


 ああ、爺さん。

 アレクに虐められてたのか、可哀想に。

 あいつの泰然自若さは、総本山でもお構いなしみたいだな。

 さっきのエルフに対する挑発を見たら、だいたい分かるけど。

 怒り心頭のジャックルに対し、イザベルが油に火を注ぐようなことを言う。


「そうそう、アレクサンディアも峡谷に来てるよ」

「なんだとぉおおおお!? 奴め、また儂に恥をかかせに来おったな!

 皆の者、戦じゃッ! 出会えー、出会えーッ!」


 ――沈黙。

 部屋の中を、一陣の風が通り抜けた。

 当然誰も呼応する者はいない。

 虚しい雰囲気の中、イザベルが苦言を呈する。


「……もう既に皆向かったよ。知らないのは爺様だけじゃないかな」

「そ、そうか……。なぜ誰も知らせんのだ」


 ジャックルはがっくりと肩を落とす。

 理由くらいすぐ分かるだろうに。

 大将に報告する度、殺人パンチを食らいたい伝令がいると思ってるのか。


 峡谷のエルフが、俺とイザベルが来るという報告を聞いていなかったみたいだけど。

 その背景には、ジャックルの殴打癖があったに違いない。

 族長が直々に情報伝達に支障をきたしてどうする。

 思わず呆れていると、イザベルが小声で耳打ちしてきた。


「……爺様は今年で300くらいになるんだけどね。

 小さい頃から誰にでも噛み付く性分だったみたいで。

 幼少期から、大人にも物怖じせず向かって行ってたらしいんだ。

 ――で、その昔。

 当時の族長が止めるのも聞かず、珍しく里帰りをしていたアレクサンディアに喧嘩を売ったんだ。

 そしたら、瞬く間に負けちゃって……」


 悲しすぎる過去を聞かせるなよ。

 光景が浮かんできたじゃないか。


 次期族長として期待される、真っ直ぐな少年。

 規律を破りまくり、敵対種族と仲良くする裏切り者なエルフ。

 その両者が、ぶつかるべくしてぶつかった。


 しかし、力の差は歴然。

 言うまでもなく、アレクが勝ってしまったのだろう。

 大人げないあいつのことだ。

 泣かせる勢いで行ったに違いない。


「……しかも、アレクサンディアは虫の居所が悪かったみたいでね。

 一回打ち負かしただけでは飽きたらず、一週間に渡って爺様に真剣勝負を強制したんだ。

 爺様が起きている時も、寝ている時も、部屋に一人でいる時もね」

「それは酷い。ご愁傷様としか言えんな」


 その時のアレクは、かなり荒れていたのかもしれないな。

 じゃないと、そこまで執拗に虐めたりはしないだろう。

 にしても、純粋無垢な少年になんてことをするんだ。


「……アレクサンディアが飽きて峡谷を降りた時には、大惨事でね。

 爺様はそれ以来、他人と接するのが怖くなっちゃったみたいなんだ。

 部屋にいきなり誰かが入ってくると、反射で殴りかかっちゃう癖がついちゃって……」


 ほぉ、なるほど。

 一つ納得。あの殴打癖の影には、アレクの存在があったわけだ。

 ちょっと待てよ。ということは、俺が殴られそうになった原因の大元は……。

 まあ、無粋な探求はやめておくか。

 藪をつついて蛇を召喚しても困る。 

 しかしこの分じゃ、ジャックルがアレクを直接見たら心臓が止まりそうだな。


「それにしても、レジスよ。どうやってこの峡谷に入ってきたのだ?」

「いや、普通にアレクとイザベルに連れられて……ですけど」

「そういう意味ではない。

 人間が入って来るには、エルフの障壁を突破する必要があるはず。

 む、そうか。あの女、人間に欲情したか。

 ククク、滑稽だな。四賢の誇りとやらはどこへ行ったんだ」


 ジャックルは不敵に笑った。

 あの女、というのはアレクのことだろう。

 察するに、俺に付着している親愛の体液が、誰のものなのか。

 そこに疑問を持っているのかな。


「いや、親愛の体液はイザベルのものです。多分」


 アレクに付けられた覚えはないし。

 特段隠すことでもないだろう。

 しかし俺の言葉を聞いて、ジャックルの様子が急変した。


「ぬぅぅぅぁぁぁああああにぃぃぃぃいいいいい!?」

「……は?」


 ジャックルが目を見開く。

 彼は猛然と立ち上がり、背後に飾っていた刀を手にする。

 そして、勢い良く抜刀して俺に詰め寄ってきた。


「貴様ぁあああああ!

 エルフで最も気高き姫を……イザベルを毒牙にかけおったのかぁあああ!

 やはり獣ッ、刺し違えてでも討ち取ってくれる!」

「ち、違う! 誤解――」

「問答無用ぁああああああ!」


 フォン、と刀が振り下ろされる。

 早い、剣閃に迷いがない。

 確実に殺りにきてる。


 だが、見える。

 かつて熟練の暗殺者と互角に剣戟を交えた俺だぞ。

 この程度の一撃、見切れんはずがない。


 白刃取りで何とか回避。

 衝撃を完全に殺し、事なきを得る。

 だが、爺は掴まれた刀を放棄し、更なる武器を持ち出してきた。


 あれは……大槍か。

 ずぶりと刺さったら軽く昇天しそうだ。

 ちょっと洒落にならんので、俺もそろそろキレさせてもらおう。

 いい加減、我慢の限界だ。


「だー、めんどくせえ! 静まれや爺!

 誤解で武器を振り回すな! 殺す気か!」

「応ともッ!」


 やだ素敵。

 力強い回答が返ってきた。

 俺がイザベルに手を出したと思ってるのか。


 ハッ、見当違いも甚だしい。

 俺にそんな行動力があると思うか。

 あったらとっくに動いておるわ。

 俺が拳を握り締めた瞬間、イザベルが割り込んできた。


「誤解だよ、爺様! 私が好きでやったことなんだから」

「す、好き……? 他のエルフ連中を相手にしなかったお前が、好き……?

 おのれレジスッ。貴様のような卑劣漢に、イザベルはやらんぞぉおおおおおお!」


 イザベル、フォローはありがたい。

 でも、もう少し言葉を選んで欲しかった。

 猛火にガソリンぶっかけたような惨事を招いてる。


 とにかく、これはもう話し合いでは解決しそうにない。

 実力行使は望む所ではないが、無力化して、誤解を解いてから話をしよう。

 いざ、魔法を詠唱しようとした瞬間――


「とりゃあああああああ! これでッ、最後じゃぁあああああああ!」


 盛大な掛け声とともに、屋敷の窓がぶち破られた。

 エルフの女性が、吹き飛びながら転がり込んでくる。

 そして、追撃とばかりにアレクが乱入してきた。


 あの人数を全員蹴散らしたのか。

 相変わらずの強さだな。


 アレクはストレッチが終わったとばかりに息を吐いている。

 彼女は肩をすくめると、あたりを見渡し始めた。

 そして、ジャックルの姿を捉えると、凄絶な笑みを浮かべる。


「おや、いつぞやの小僧ではないか。

 まだ族長を張っておったのじゃな。

 どれ、久しぶりの再会じゃ。少し我輩が相手をしてやろうか?」


 凄まじい威圧感。

 アレクの身体から膨大な魔力が溢れ出る。

 この挑発に対して、族長ことジャックルの反応やいかに……!



「…………」



 泡を吹いて失神していた。



 

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