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クラス一同の反撃

開いて下さってありがとうございます

 最終日の翌日、朝早くからエリナ先生と、〈レジェンド〉は動き出した。

 〈ミラージュ〉には、もし山小屋に誰か来た場合の対応をお願いした。体力、魔力が戻っていないので、下山が難しいのも理由である。


「エミー、これで連絡して~」

「通信用の魔法具!?良いのかしら?高いのでしょう?壊れやすいと聞いたわ」

「メンテナンスはしたから~大丈夫~」

「出来るのですか?」

「簡単だよ~」


 魔法具のメンテナンスは、専門家の仕事なのだが、難なく出来ると言うツバサに、何故だか納得してしまう一同(アヤメを除く)。


「分かりましたわ」

「倉庫の場所は、リーゼに伝えました」

「覚えたよ。大丈夫」


 少し席を外していたリーゼとアヤメ。倉庫の場所に案内していたようだ。


「では、これを」

「ありがとう~クリス」


 簡単な軽食を受け取ったツバサ。いつの間に作ったのか、ジャムまで入っている。

 パン、干し肉、果物の入ったバスケットをラングが持つことに。案外重く、かさばるので、後方支援のラングの方が良いのだ。ツバサの手を塞ぎたくないのもある。

 今回は神獣、移転魔法も使うので、荷物は最小限にして、小屋に置いてある。

 エリナ先生は、小さなリュック一つで武器は無い。足技で事足りるらしい。


「エリナ先生、単独とは言え逃げないで下さいね」

「流石に、その位分かってる☆やり過ぎたのも分かってる☆」

 

 昨日、〈ミラージュ〉の皆の話しから、やはりテストの域を超えていたと判明。エリナ先生も、ようやく反省したようだ。

 エリナ先生は直ぐに走り出した。あまりの速さに、〈ミラージュ〉はポカーンとしてしまった。


「行ってくる。〈ファング〉!」

「〈風牙〉お願い」

「………よろしく〈スカイ〉」

「〈スピネル〉頼む」

「私の神獣は無理だね~」


 流石に〈麗牙〉は無理だが、他の4体が姿を表した。

 初めて見た神獣に、びっくりする〈ミラージュ〉の一同。


「凄いわ…」

「ははは…行って来ます」


 走り出した〈レジェンド〉。〈風牙〉と〈スピネル〉は上空に舞い上がり、〈ファング〉と〈スカイ〉は少し先を走る。

 あっという間に見えなくなった〈レジェンド〉に、またもやポカーンとしてしまった〈ミラージュ〉の一同。


 一日中、走り回って生徒を探して、怪我人は直ぐに移転魔法で学園に運んだ。

 大半が怪我で動けないか、魔力の枯渇で動けないので、簡単な手当てを行った。学園の生徒はエリート集団と呼ばれるほど力は有るので、大事にはいたらなかった。学生としてだが…。

 学園に連れて行った怪我人は、寮のおばちゃんにばったり出くわしたので他の生徒を任せて、ついでに数名の教師を引き連れ山を駆け回った。





◇◇◇◇◇


 夜遅くまで時間がかかったが、ようやく全員を寮に連れ戻せた。

 〈ミラージュ〉も移転魔法で送ってもらい、深々の頭を下げてから部屋に戻った。結局、山小屋には誰も来なかった…と言っていた。


「ジン、ラング、ムウは部屋に戻って良いわよ」

「アヤメとツバサは?」

「校長室に行くのよ…」

「報告しなきゃ~」

「分かった。お疲れ」

「………おやすみなさい」

「お疲れ様でした」


 3人が去って行くのを見送って、校長室に向かうアヤメとツバサ。





◇◇◇◇◇


「…と言う事です」


 校長室にて、説明を終えたアヤメに、溜め息を吐き出す校長。


「それはいかんのぅ…」

「今回のクラス一同の結果は、当然の結果です。〈ミラージュ〉のメンバーが合格出来たのは、あのチームの総合力が秀でていただけです。私達もですが」

「うむ…分かっておる。レポートの提出で合格としよう」


 学年の中では〈ミラージュ〉もかなり秀でているチームなので、他のチームとは比べられない。参考にもならない。


「そうして下さい。あと、明日はエリナ先生に第三グランドに来るように、言って下さい」

「ああ、所有権が〈レジェンド〉にいつの間にかなったグランドか…理由は?」

「これで終わると思う~?」


 ツバサの一言に、ものすごい不安を感じる校長。


「思わん」

「じゃあよろしく」


 物凄く黒い笑顔で去って行ったアヤメとツバサ。

 知らず知らずに握り締めていた手が震えているのを見て、一度深呼吸する校長。


「真王、翼王の時も怖いが、普段の2人も怖いのぅ…」


 今まで完全に空気になっていた〈才希〉は、黙って頷いた。





◇◇◇◇◇


「何で?皆怖いよ…」


 呼び出されたエリナ先生は、グランドの入り口で息を呑む。

 今日は休日の筈なのに、何故だかクラス一同が集まっている。しかも完全武装。


「校長先生の呼び出しじゃ…ないの?」


 普通に呼んでも逃げるので、校長からの挑戦状として呼び出したらしい。元勇者なだけあり、手合わせには喜んで答える。


「早く入って下さい」

「っ!いつの間に!?」


 後退り、振り向いた瞬間、アヤメとツバサに捕まった。後ろに居たのだが、気配を消した2人に気付けなかったようだ。

 グランドに引っ張り出されたエリナ先生は、皆に囲まれた。


「ど、どうしたの?」

「〈レジェンド〉〈ミラージュ〉のメンバーが集めましたわ」


 エレミアが前に出る。

 早朝、両チームの説明を聞いた皆は、疲れを無視してグランドに集まった。

 やはりテストの内容は、皆には予想以上の難易度で、疑問に思っていたようで、真実を知った一同は、この上ないほど怒り狂った。

 当の本人に怒りをぶつけるべく、完全武装で集まった。Sランカーに手加減無用だと、意見が一致した。


「え?ええ!?」

「覚悟しなさい!」


 〈レジェンド〉を除く、クラス一同が一斉に魔法を放ち、切りかかる。

 流石にまずいと、臨戦態勢になったエリナ先生だが、息つく暇のない現状に押されていく。


「こ、この…いい加減にしろー!」


『あんたに言われたくねー!』一同


「ギャー!」


 案外強かったクラス一同に、袋叩きにされてボロボロになったエリナ先生。

 終わった頃には、一同はスッキリした顔で寮に戻って行った。





◇◇◇◇◇


 真っ暗な自室、ツバサはただ椅子に座って夜闇を眺める。


「…求めらるが幸せか、求められぬが幸せか、或いは始めから無いものとされるが幸せか」


 唐突に紡がれた言葉は、小さくしかし重い響きを持っていた。

 瞳の色は金色に輝いている。

 〈真王〉である神と〈ツバサ〉と言う只の人間の少女と、使い分けている。只の人間である時は気軽に話し掛ける事が出来る〈麗牙〉も、神である〈真王〉には躊躇われる。


「どう思う?〈麗牙〉」

‐若輩者の私には分かりませぬ‐

「だろうな…」

‐王はどうお考えで?‐

「…無だな」

‐始めから無いものですか?‐

「違う。全てが無いものだ」

‐? 全て?‐

「何も無ければ、何も感じまい。辛きこと、楽しき事全てを…」

‐やはり、分かりませぬ‐

「ふふ…それはそうだろう。私が生まれた時に真っ先に考えて、答えが出ぬのだ」

‐生まれた時ですか?‐

「言って無かったか?」

‐存じませぬ‐

「ならば、語ろう。遥か昔の私を…」


 どこか遠い場所を見るように、目を細めて、滔々と語る。




◇◇◇◇◇


真っ暗闇しか無い場所に、一つの意志が生まれ落ちた

形も無く、温度も無い、意志のみが


たゆたう意志が考えたのは、

何故生まれたのか?

どうやって生まれたのか?

只の意志の存在に、力が有るのが分かるのは、それから幾重年経ったのか?

百年、千年、万年など生ぬるいほどの時間を、もはや時間を忘れるほどの時間を一つは生きていた


力は【始まり】と【終わり】の力だと、何故だか本能が答えを出した

分かれば、行動に移すのに時間はかかるまい

世界の始まりを作り、同時に終わりを作り出した

その、始まりと終わりは、また違う物を生み出した


【有】と【無】

正反対の双子が生まれ落ちた

そのふたつは、明確な形を生み出した


【意志】は、

固い鎧が守る頭…例えばドラゴンだろう

前足が節くれだった指…例えば鳥だろう

後ろ足は獣…例えば獅子だろう

背に光の羽と純白の羽が…光は羽ばたかぬ

尾は長く…例えば馬だろう


とても良い表しにくいが、不思議と整った形をしていた


【有】は

鋭い牙を持つ頭…例えば狐だろう

四本の足は獣…例えば猿だろう

背に大きな白翼…体を覆うほどだろう

尾は何本にも別れ…強欲な事だ


今の獣の祖と言える姿だった


【無】は

一本の長い角を持ち…顔より長く

頭部に羽…四枚有ったろう

顔は獣…瞳には何も写さす

四本の足はすらりと長く…例えば狐だろう

背に純白の羽が幾重にも…六枚有ったろう

尾は細く長く…糸が束ねて有るようだった


今の鳥の祖と言える姿だった


不思議な事だ

異なった“ふたつ”が必要らしい

例えば紙だ、表と裏が必要らしい


それから世界は広がって行く

しかし疑問は晴れず

始まり故に、止まる事許されず

終わり故に、動く事叶わず


故に【意志】は、只有り続けた

そのうち、全てを忘れて行く事になる





◇◇◇◇◇


‐全てを忘れる?‐

「自我を無くす、と言う事だ」

‐しかし…‐

「今の私が本当に私か、分からぬ。感情など既に忘れた故、個と言えるのか…」

‐なる程…‐

「これが、私の誕生だ」

‐気が遠くなります‐

「…そうやも知れぬ」


 疲れたと横たわる〈真王〉は、一体何に疲れたのかは、本神にも分からず、意識は夜闇に溶けて行った…

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