国の混乱 欠けた仲間
最近、設定を難しくし過ぎたと反省している、白狐です…
キメラの討伐依頼の完遂報告書を片手に、校長は考え込んで居た。
「まさか、成長するとはのぅ…」
「主、狂った魔物の変化なぞ分からん。」
「今回はツバサ君が居たから、なんとか…なったが…」
「情けない。」
今回のキメラの再調査を行った結果、有り得ない速度でキメラが成長した事が分かった。
あの魔石も、異常な程の魔力を有していた。
「失礼します。」
「監視局か、今忙しいわ。」
「報告書を持って来ました。〈フラウニア〉の学生の動きが、少しおかしいので、見ていて下さい。では」
颯爽と出て来て、颯爽と出て行く監視局の人間。
「わしの言う事は無視かのぅ…」
「〈フラウニア〉?最近、そう言えば学生が良く集まって居たな。」
「そうなのか?」
「何でも、国王が動くとか、民が飢えてとか、あまり良くない内容だな。」
「ほう…しかし、飢え?あの国が?」
自然豊かで、作物も良く育つ事が有名な国〈フラウニア〉。
飢えて困った話しは、聞いた事が無い。
報告書を手に取る校長。
~~~~~
〈フラウニア〉の生徒、また教師の動きについて。
国土が異常にやせ細り、外交の手段が無くなりつつある為、作物の不足、物品の不足による難民が出始めた。
生徒間では、この問題に関して、他の国の生徒からのいじめが発生。
最近の異常事態を〈フラウニア〉に原因が有るのではと、衝突が見られる。
また、〈フラウニア〉の生徒からは、他の国による、侵略戦争かと疑いの声が上がっている。
至急、対応を求める。
~~~~~
「こりゃまた、大変な事に…」
「ふむ、カラスは?」
「諜報員がまだ帰ってこんのじゃ。」
「何か有るな。」
「大正解よ。」
「ツバサ君!」
いきなり校長室に現れたツバサの瞳は、金色つまり今は神として居ると言う事。
「いや失礼。真王。おや?授業はどうしたのかね?」
「サボった。今更学ぶ事では有るまい」
「まあそうかのぅ。」
真王は扉を閉めて、防音の結界を張り、更に遠視防止の結界も張った。
ソファーに優雅に座り込む。
「〈フラウニア〉には悪魔が住み着いた。土地が枯れて当たり前だ。」
「なんと!」
「どの位の敵ですか?」
「〈才希〉あまり緊張しなくて良い。低級も良いところ。Aランカー10人居たら行けるだろ。」
「そこまで、事態は悪くないと?」
「否。場所が悪い。地脈の集まる所に居座って居る。」
「地脈…地の中の力の血流と言う、認識でよいかのぅ?」
「是。そこに居れば、悪魔のせいで大地が汚れる。枯れた原因だ。」
「討伐をしなくては…」
「良い機会だ。〈レジェンド〉に依頼を回せ。覚醒を促す。内容は調査で良いだろう。ランクはAか。」
「大丈夫かのぅ?」
「私がいざという時にやるさ。」
「分かった。回そう。」
「…もしかしたら、ラングが荒れるやも、しれんがな。」
「ふむ。」
急遽、校長は依頼書を作り上げ、指名で〈レジェンド〉に回した。
もちろん、ツバサは知らん顔を決め込む。
☆☆☆☆☆
「何で来ないんだ!」
「落ち着いてジン。」
校長が依頼を回してから、2日後手続きで手間取って時間が掛かったが、依頼はエリナ先生に届いて、〈レジェンド〉は呼び出された。もちろん内容は知らされてない。
しかし、ラングが現れない。
最近やけに、よそよそしいし、あまり話そうとしない。
アヤメとツバサとムウは、いつも大事そうに着けてた金魚のペンダント(過去アヤメとツバサがあげた物)を、最近は着けていない事に気付いて居た。
「来たわ。」
「何してんだよ!」
「………ごめん。行けない。」
「はあ!?」
「落ち着いてジン。ラングどうして?」
「………えと、駄目なんだごめん!」
走り去って行くラング、アヤメとツバサはその先に別の生徒を見つけた。
〈フラウニア〉の生徒で、最近集まってこそこそ仲間集めしている連中と、集まって来た生徒が、〈レジェンド〉の周りをさり気なく、囲って監視している。
「…脅しか。」
「そうねツバサ。」
「え!?」
「最近集まって居た連中ですか?」
「そうよ。」
ラングは〈フラウニア〉の出身だと、言わなかったが、今回の事で知れ渡った。
つまり、同国同士の集まりに引き抜かれたらしい。ラング自身が、入った可能性も有るが。
「気にしないで行こう。エリナ先生も待ってるし、団体行動が出来ないなら、要らない。」
「おいツバサ!」
「事実がどうであれ、自分があそこに居るのは、自分の意志でしょうしね。」
「アヤメまで!」
「その気なら、自分で断るだろ。」
「ムウもかよ!」
「ジン、裏切り者に情けは要らない。後ろから刺されたい?」
「ツバサ!ラングはそんな事!」
「なら、何であっちなのかしら?」
アヤメ、ツバサ、ムウは最早切り捨てると宣言するが、食い下がるジン。
3人の言う事に、筋が通って居るのは分かるが、割り切れない。
結局、ジンも置いていくかと言われ、大人しくついて行くジン。ジンには、チームを抜ける気は無い。
「良く言ったラング!いや同士よ!」
「あんなにあっさり、切り捨てるなんて、他国は酷いね。まあ、戦争ふっかける位だしな!」
「組んでるんだろ!」
「………あう。」
「なあ、そのペンダント捨てろよ!呪いついてんじゃね?」
「………あ!」
非力なラングは抵抗出来ず、奪われたペンダントは窓の外に捨てられた。ラングは隠して居たが、見抜かれたらしい。
「縁が切れて良かったな!ほらほら!同士のもとに行こうぜ!」
〈フラウニア〉の一同は、同士が集まって居る教室に向かった。同士の中にも、無理やり連れてこられた者も居るが…。
〈才希〉はペンダントを大事にくわえて拾った。真王の渡した物を、粗末には出来ない。
珍しく怒りの色を瞳に宿している。
「ふん!馬鹿者めが!」
〈才希〉が怒ったのは、ラングでは無く周りの生徒だ。
校長室で、真王に頼まれた〈才希〉は様子を見に来た。ラングが心配だと、だから見といてやれと、頼まれた。
だから今ここに居るが、もうすぐで切り裂きそうになった。
神獣にとって、上級神の存在は大きい。憧れの存在で、そんな存在から賜った物を取り上げ投げ捨てるなど、許せない。
「天罰が下ると思え…」
きっと、真王は怒らないだろう。とても優しい神だから。
でも、周りの神は怒るだろう。知っていなくとも、許されない事だ。
神は潔癖だ。汚い行動を嫌う。罪その物を嫌う。今回の奴らの行動事態が、処罰の対象だ。
「完全に嫌われる行動だな!」
〈才希〉は吐き捨て、校長室に戻って行った。
☆☆☆☆☆
「ラング君は、離脱したの…そうだよね…そうなるよね…」
「報告はしました。」
現在職員室で、エリナ先生に今起きた事を説明した所だ。
エリナ先生は、想定して居たのか、しきりに頷いて居る。
「要件は依頼ですか?」
「そうよアヤメちゃん。でも人数が…」
「依頼書を見せて下さい。」
「わ、分かったわ。」
アヤメの有無を言わさぬ態度に、エリナ先生はしぶしぶ依頼書を渡した。
~~~~~
フラウニアの調査
最近起きている不可解な現象の、調査と解決を求める。
起きている現象は、国王から説明が有る為先に城に行くこと。
ランク A
報酬 100万
期間 終わるまで
尚、チーム〈レジェンド〉に指名させてもらう。
~~~~~
「指名?」
「チームの名が上がると、依頼主から指名が入るのよ。」
「俺達すげー!」
「いや、この程度のチームを指名って、おかしいわよ。」
「まあね~」
「でもやらなきゃ!」
「分かったわよ。どうせ、拒否出来ないもの。城に行くと言う事は、依頼主が国王なんでしょう。」
「やっぱり、すげー!」
「無邪気だね~」
本来有り得ない依頼だが、ちゃんと依頼書になって、国の王印まで入っており、断れない。
「お使いだよね~これ~」
「多分ね…」
「皆、1ヶ月掛かっても駄目なら帰ってきてね♪私もおかしいと思うから、渡したくなかったんだけど…」
「分かりました。王印が有るなら、無理もないです。」
エリナ先生もおかしいと思って、反対しようとしたが、王印が有るため、流石に中立の立場とは言え無視は出来なかった。 実は、校長が依頼しようとした事は内容は全く違い〈フラウニア〉の魔物討伐だったのだが、どこから嗅ぎ付けたのか国から無理やりこの依頼を渡された。
口実は、国の騎士現状の把握と民の事で手一杯で動けない為、ちょうど良いから学生の中から言い人材を貸してくれ、と言う要は雑用だった。とりあえず原因が分かったら、それで良いらしい。
「明日の朝、寮の前で。」
「「「了解」」」
☆☆☆☆☆
翌朝、毎回恒例行事となった、ジンの上に着地するツバサ、遅れようが、遅れまいが、楽しいからやるらしい。
「毎回痛いんだけど!」
「避けれないジンが悪い~」
「はいはい、〈フラウニア〉の国境近くまで、移転魔法使うから。」
「中に入らないの?」
「今のあの国の状況考えなさい。問答無用で捕まるわよ。」
「なるほど。」
ジンが理解した所で、移転魔法を発動するアヤメ。
一同が居たのは、国境近くの森の中で、すぐ近くに門が有る。
門に向かって歩く一同。
「止まれ!身分証は!?」
「ギルドカードで良いですか?」
「良い。制服からして、あの学園からか?何用だ?」
皆がギルドカードを見せて、ランクの記号が光って居る事を確認して、門番は僅かに警戒を緩めながら問いかける。
「これを、依頼書です。」
「ふむ。確かに。」
依頼書を見せると、奥から別の兵士が現れて、案内をすると歩き始めた。
一同は後をついて行くが、妙に視線が突き刺さる。兵士、住民、浮浪者までも、敵視の視線を向けて来る。
「先ほどから、視線が集まるのは何故でしょうか?」
「君達の事が珍しいだけだ。」
「そうですか。」
はぐらかして来たが、今は引くことにした一同。
城に着くと、兵士が門番に要件を告げて去っていく。門番から、何やら意味深な視線を受けたが、中から案内の騎士が現れて、一同はついて行く。
謁見の間に行く前に、武器をすべて預けて、何度となくチェックを受けてから、入室を許可された。
玉座の前に片膝を着き頭を垂れると、声が掛かるまで待つ。
「顔を上げよ!…まだ子供だな。まあ良いだろう。簡単に説明する。」
国王の素っ気ない態度を受け、顔をしかめるジンとムウ。アヤメとツバサは無表情に待つ。
国王の隣に居た、近衛騎士が説明を始める。
「東の森に何やら住み着いた様子。しかしわが国の騎士忙しい為、依頼を出した。何も危ない事無い。様子を見たら報告だけして帰って良い。」
「危険な物であった場合は?」
「誰が口を開いて良いと言った!黙ってこちらの言う事を聞けばよい!…申し訳ありません国王様。」
「良い!礼儀の知らぬ、そのほうが悪い。危険ならば、命がけで倒せ。」
「国王様、学生には無理でしょう。報告だけでよろしいのでは?」
「ふむ!それで良い!」
あまりにも、扱いが悪いのでジンとムウは拳を握り締める。お伺いしたアヤメは黙って頭を下げて、ツバサは無表情を貫いて居る。
「早く行け!長居は無用だ!」
騎士の一言に、ジンとムウが動きそうになるが、ツバサが抑え、一同は出て行く。武器を確認して、回収した後城を出て行く。
東の森に向かう途中で、ジンとムウが限界を迎えた。
「何だあれ!」
「雑用に報酬100万って太っ腹~」
「ツバサ!違うだろ!」
「師匠!止めませんか?」
「受けた依頼を、放置するなんて、名が廃るわよ。」
「2人共~国の面子にかけて依頼出したんじゃあ無いかな~?放置して置けば、民の怒りを買うし~報酬が悪いと国の評判が下がるし~」
「あんな物よ。国なんてね。」
怒りを抑えられない2人は、冷静なアヤメとツバサを交互に見る。
アヤメは諦め、ツバサは達観している。そう言えば、国の揉め事に慣れているんだったと、今更気付いた2人。
「そうか。」
「分かりました。」
「分かれば良し。行こう。」
どんどん奥に進んで行く一同は、時折現れる魔物に八つ当たりしながら進んで行った。ジンとムウだけだが…。
歩き続けて、一時間と三十分位、大きな館を見つけた。寂れて居るが、人の住む痕跡が有る。 不思議な力を感じる。魔力や神気では無い。
(ツバサ、悪魔かしら?)
(そうだね~低級だけど~)
心当たりが有るアヤメは、小声でツバサに確認する。緊張感無しの回答が帰って来た。
(低級でも、あのキメラよりは強いでしょう?魔導なんか分からないし。)
(大丈夫~私がいざという時に開放するからさ~)
魔導は、悪魔の使う独特な力で、魔法とは全く違う。何なのかは、解明されていないが、かなり強力で、悪魔によって使う力が違う為とても危険だ。対策の練りようも無い。
確かに、解放したツバサの前なら、微々たる力だが…。
「どうした?」
「師匠?」
「何でも無いわ。」
「今行く~」
立ち止まった2人に、先に館を調べて居たジンが気付いて声を掛ける。ムウは2人の会話が気になるらしい。はぐらかされたが。
外に異常無いと判断して、中に入り込んだ一同。
いろいろ調べる一同を、一匹のネズミが見つめて居た。
(餌が来た…くくく……)
“切に”ご感想お待ちしております!




