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規格外なキメラ

最近、文才って何だろう?って思う白狐です←

 あまりの大きさに驚いて固まった一同。


「何がAランクなのよ…」

「どういう事だ?」

「異常なまでの魔力だわ…多分Sランクでしょうね。」

「………え!?」

「ドラゴンと~同じ位かな~?」

「そうなんですか?」


 キメラの放つ魔力量は、本来のキメラの五倍はあり、大きさも一回りでかい。

 アヤメとツバサは、一度ドラゴンと対峙した事が有り、同じ位だと判断した。因みに神獣は神気を持ち、魔力は持たない。


ガルルル


「伏せて!」


ドガンッ


 一同が伏せた直後、キメラが飛びかかって、一同の真上を通り越した。

 着地点が凹んでいる。

 更に尾の蛇が噛みついてくるので、一同は全力で下がった。

 キメラが振り向いて、獅子が炎を吐き出す。

 アヤメとツバサの水の盾が防いだ。


「ドラゴンはどうやって倒した?」

「逃げたわよ!」

「何で?」

「勝てないわよ!私達を何だと思って居るのかしら?」

「逃げるので精一杯だよ~」

「………どうしよう」

「坂の上に逃げても、追いかけてくるわよね…」


 上階へ続く坂の前に、キメラが立ちふさがった。


「逃がす気なさそうです。」

「だね~」


ガオオオッ


 ヤギの目が光った。


「見るな!」

「うわああ!」

「………ジン!」

「何だ?」

「催眠術~」


 ツバサがジンをひっぱたいた。

 我に戻ったジンは、脱力してしまう。大量の冷や汗をかいている。


「どうします?」

「流石に、Aランカーでも、5人は欲しいわね。魔法に、幻術、力も強い。飛べないのが救いね。」


 一度も飛ばないキメラは、羽ばたいても飛べないのか、有利になる筈の上空からの攻撃はして来ない。

 羽ばたきで、鎌鼬は出るみたいだが…


グルルッ


 キメラの爪が迫る。

 ツバサが水砲を放ち、僅かに時間を稼いで一同は逃げる。幸いにも空間は広い。

 効果がほとんど無いのか、直ぐに向かって来る。


「ああもう!アヤメ時間稼ぎ!」

「どうする気?」

「今まで封じてた力を解放する!」

「でも!」

「ごちゃごちゃ言わない!」

「分かったわ!」


 ツバサが立ち止まって魔法陣を発動する。

 アヤメが水砲をキメラに、当て続ける。ジン、ラング、ムウもそれぞれの魔法を放つ。

 不意に、後ろに居るツバサの魔力が変わる。神気へと。

 現れたのは、背中に光の羽が一対に純白の羽が一対、計四枚の羽を持ち、金色の縦に裂けた瞳孔の瞳を持ったツバサだった。纏う雰囲気も変わった。

 ツバサのギルドカードが落ちる。黒に金の縁取りのカードが。


「ツバサ!?」

「………え?」

「師匠!?」

「今はツバサに任せて!下がって!」


 アヤメの一言で、現状を思い出したジン、ラング、ムウはツバサの後ろに下がる。アヤメも一度ツバサに目を向けてから、下がった。


「手加減は無しぞ!」


 ツバサの双剣に光が纏い、一閃煌めいただけでキメラの羽が切り落とされた。


ガウッ


 キメラの怒りで空間が震える。

 獅子が炎を吐き出すが、難なく羽の羽ばたきで弾いたツバサ。

 蛇が毒を飛ばしたが、ツバサの火弾が弾き蛇に迫る。

 今までその場から動かなかったツバサが、空に駆ける。

 キメラが体当たりをするが、ひらりとよけて、右手の刀で斬り掛かる。

 キメラが勘で避けるが、ヤギの首が一つ落ちた。

 もう片方のヤギの目が光ったが、既にそこにツバサは居ない。

 いきなり胸元に現れたツバサに、キメラが腕を振りかぶったが、左手の刀が切り落とした。

 距離をとるキメラの胸元に、斜めに傷が付いた。

 ツバサが目の前に、様々な属性の槍を瞬時に作り出して放つ。

 避けきれない槍が、キメラの体を貫いた。

 獅子と蛇が唸る。

 ツバサはすかさず瞬時に近づき、獅子と蛇の頭を切り落とした。

 キメラの巨体が倒れ込んだ。


「すげー!」

「………カードの色が」

「Sランクに?」

「元からよ。カードに実力を誤認識させて居たのよ。あれが、ツバサの力よ。」

「出すつもりは無かったがな。」

「めっちゃ神々しい!」

「………魔力じゃない?」

「神気。神獣の放つ力と同じだ。あれを見ろ。」


 ツバサが指差した場所には、魔石が有った。かなり大きい。

 魔石は魔力の詰まった石で、希少価値が高く、魔物が群がる事から、見つかっても取れない事が多い。


「あれほどの大きさの魔石、初めてみたわね…」

「守った居たらしい。使われていない。」

「そうなの?」

「あんなキメラが使ったら、魔石の魔力はとうに尽きてるわ。」


 いつもの姿に戻ったツバサ。


「持ち帰る~」

「戻るのは一瞬なんですか。」

「封印を解くのに時間掛かるの~」

「なるほど。」

「さっきの何?」

「秘密~」


 どうしても、教えてくれないツバサから、アヤメに質問を切り替えたが、教えてくれなかった。

 魔石を取り出すのに、ジン、ラング、ムウが全力を費やし、魔石は3人係りで持ち帰る事になったので、移転魔法を使用する事になった。

 一同は学園に戻った。






☆☆☆☆☆


「わあ♪初めて見るわ☆」

「エリナ先生もですか?」


 現在、エリナ先生に魔石を見せた所、初めて見る大きさに歓迎しているエリナ先生は、大はしゃぎ。


「エリナ先生、依頼のランクですが…」

「本当にごめんなさい!調査不足だったわね。Sランクになるわね。あら?ツバサちゃんのカード!」

「ん?ああ、隠してたから~」

「どうやって?」

「自分に封印かけたから~カードも感知出来ないの~」

「これまたびっくり!鼻が高いわ!Sランカーが私のクラスに!」

「あ!アヤメのカードも変わった~」


 依頼を完遂させた後エリナ先生に報告したら、アヤメのカードも色が変わった。


「あら!依頼人が、完遂を認識したからね♪またまた鼻が高いわ☆」

「お!Bランクに上がってる!」

「………本来だ!」

「ほう!」


 アヤメのカードの変化を見て、初めて自分のカード見た3人は、感慨にふけっている。


「でも、今回はツバサが居ないと駄目だったよな?何で上がったんだ?」

「依頼の完遂の前に、魔物を倒したり、罠をかいくぐったりした時に、上がったんだと思うわ。」

「なるほど。」

「ランクは、完遂するか、経験を積むかで変わるのよ♪」

「よっしゃ!」

「………やった」

「嬉しい。」

「報酬は、ランクの事で手続きしてから、渡すわね☆」

「はい。」


 後日、渡された報酬は、五百万になっていて、一同は固まった。

 Sランクの依頼は、報酬が跳ね上がるらしい。

 速攻で銀行に突っ走ったのは、言うまでもない…









☆☆☆☆☆ 


 夜、校長室にツバサがノックもぜず、入って来た。


「久しぶり預言者」


 校長の魂の呼び名で語りかけながら、ゆっくりソファーに座る。


「何故知っておる?」

「覚醒した時から分かって居るの。私が覚醒したのは、10歳でアヤメも半覚醒しているわ。」

「なんと!しかし半覚醒とは?」

「まだアヤメは力を扱いこなせない。今までアヤメの力は、私が預かって来たの。2人分の力は抑えるのに苦労する。」

「扱いこなせない?」

「主よ、神の力は預言者と比べるべくもなく、強い。魂が安定しない限り、暴走してしまう。」

「〈カーバンクル〉の言う通り。だから私が精神世界まで作って、抑えるのに全力を尽くしてるの。」


 只でさえ膨大な力を、2人分抑えるにはそれにしか集中出来なくなる。

 更に2人は上級神故に、予想も出来ない程の力だろう。

 ツバサが精神世界を、作った理由はそこにあった。 

 生まれつき、半覚醒していたツバサにはアヤメにはまだ不可能と判断して、幼い頃から、膨大な力を入れられる器を準備して来た。

 幼いツバサに耐えられ無い物だった為、自分の感情も一緒に抑えつけた。感情の喪失と、精神の喪失を天秤に掛けた結果なのだ。


「私の使った予知夢は、本来はアヤメの力である先見の力を使った劣化版だ。」

「ふむ。分からんかった。」

「神の未来など、人間が分かる筈も無し。当たり前ぞ。」


 ツバサは一度目を閉じ、開くと金色の瞳が現れた。普段空色の瞳だが、本来の色は金色に縦に裂けた瞳孔。ドラゴンの瞳と同じである。

 その瞳は有無を言わさぬ威圧感を放っている。 口調と雰囲気もガラリと変わった。


「今は瞳の力だけ解放したが、本来の姿は白髪だ。アヤメも知らぬがな。」

「女神で良いのですか?」

「預言者、無理に敬語は使わなくて良い。神に雌雄は無い。人間に生まれる時に選んだ。変か?」

「いや、気になっただけじゃ。」

「預言者、私はそなたに言わねばならぬ事が有る。」

「なんなりと。」

「大戦に向けて、見方に付けねばならぬ者達が居る。」

「何でしょう?」

「エルフだよ。」

「しかし、エルフは人間を…」

「人間を嫌って居るのは、人間がエルフを嫌ったからだ。」

「なんと!」 

「双方誤解をしておる。誤解は当事者が解かねばな。エルフは魔力に秀でるが、武力も並ではないぞ。」

「しかし、先の大戦では、魔王軍の後ろに居たような…」

「エルフは認めた者としか、肩を並べぬ。嫌って居る人間と肩は並べまい。頑固者で有名だ。」

「難しいですなぁ…」

「預言者の見立てで、大戦はいつだ?」

「一年後だと…」

「今のままなら、半年後だぞ。もっと対策を練るが良い。その為の勇者だろう。」

「なんと!分かりました。」

「魔王とはどうしている?」

「どうとは?」

「ふむ。勇者を決める大会の起源を述べよ。」

「かの伝説の英雄を称えた祭りじゃ」 

「英雄は魔王と肩を並べて戦った筈だが、今はどうだ?距離を置いているどころか、避けていよう。」

「う!しかし英雄は他に…」

「大会で決まった勇者の役割は、本来英雄の後継ぎなのだが?」

「あう!はいすいません。」


 勇者を決める大会は、英雄の死後彼を称えて、魔王と力を合わせる者を選ぶ祭りだった。肩を並べて戦った勇姿を、伝えるために。

 だが、今は勇者は魔王と会う事も無い。魔王の血族は相変わらず、勇者を支援しているが。

 もちろん、人間の欲によって意味が変わってしまったとも言える。

 だからといって、古代に決めた約束を蔑ろにしてはいけない。


「人間の起こした問題は、人間でけじめをつけよ。私は間に入らんぞ。」

「はい。あの、ツバサと言う名は本来の名なのかのぅ?」

「違う。人間のつけた名だ。」

「聞いても?」


バリッ


 〈カーバンクル〉が校長を引っ掻いた。


「愚か者!神の御名を容易く聞く奴が居るか!」

「良い。知らぬのだろう。神の名は力が有る故、簡単には明かせぬ。大戦の時に明かそう。通称ならば、教えよう。」


 校長と〈カーバンクル〉は背筋を伸ばす。神の正体が分かるのは、かなり大きい。そして、恐れ多い。


「真王と呼ばれている。」

「真王ですか。」

「真…王!?」


 〈カーバンクル〉は途端に、真王の足元で頭を垂れる。


「我らの唯一の王にして、全ての王よ、今までの無礼お許し下さい。」

「賢いな。知って居たか。良い。頭を上げよ。」

「どうしたんじゃ?」

「この方は、神の王に在らせられる。」

「なんと!?」

「アヤメも、三柱の帝位に居る神よ。通称は翼王。有を司る神の対の神だよ。」

「なんと!」

「訳分からん。」

「ふふ。人間には分からんよ。にしても、カーバンクルは魔物の種族名だろうて。」

「主はセンスが無き故に…」

「〈才希〉はどうだ?」

「〈サイキ〉ですか?」

「才有る希なる者と言う意味だ。」

「有り難い。名を頂けるとは!」

「良かったのぅ〈才希〉」


 〈才希〉は本来会えない筈の、高見に存在する王から賜った名に喜び、涙を流し始めた。

 

 校長も微笑んで見守って居る。


「用は済んだ。自室に帰る。」

「ありがとうございます!」

「上手くやりますわぃ!」


 静かに去っていくツバサを見送って、校長と〈才希〉はどうするかを考え始めた…

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