表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/166

試練の洞窟

罠なんてどうやって見つけるんだろう?

 ジンが過去を吹っ切って、一週間たった。

 ジンはかなり成長して、自信もついて、魔力操作も上手くなった。

 ムウも、なにやら目標が出来たらしく、ジンと張り合っている。

 ラングは相変わらず、精霊と話をしている。

 そうして、皆が強くなって来た時、遂に異変が学園の近くに迫って来た。


「早すぎるのぅ!」

「主、良い機会だ。魂の覚醒はまだ先だろうが、戦いに慣れた方が良い。」

「そうじゃのぅ。エリナ君!」

「分かりました。この依頼を、〈レジェンド〉に渡します。」

「頼んだ。」






☆☆☆☆☆


「試練の洞窟?」

「そうよ♪そこに居るキメラを倒して欲しいの☆」

「何で俺達?」

「実力的にちょうど良いから☆」

(エリナ先生、校長からですか?)

(アヤメちゃん!鋭い!)

(分かりました。)

「どうかした~?」

「受けるわよ。」


~~~~~


依頼 キメラの討伐


場所 試練の洞窟

ランク A

報酬 50万


~~~~~


「………詳細が無いよ」

「良く分からないの♪本来キメラが出る所じゃないから☆」

「師匠、やるんですか?」

「もちろんよ。」

「面倒~」

「良いじゃないツバサ。」

「は~い」

「師匠が行くなら。」

「………頑張る」

「行くのかよ!」

「ジン、これ完遂したらBランカーよ。」

「やります!」

「決定☆」


 Bランカーの言葉に、反応したのはジンだけでなく、ラング、ムウも反応した。

 アヤメとツバサのランクがどうなるかは分からないけど。

 もちろん、ツバサは校長の持ってきた厄介事だと、気付いたが、あえて知らん顔を決め込んだ。


「期限は無いけど、早めにやりましょう。今日は各自準備ね。」

「私は寝る~」

「ツバサはそれが準備だしね…」


 依頼の前に寝させないと、依頼の途中でいきなり魔法をぶっ放すのを、3日前に知った一同は文句など言わない。

 高威力で無詠唱、広範囲だからものすごく、危ない。魔物よりも…


「俺、大剣磨いてくる!」

「………魔法補助具見てくる」

「クナイを仕入れよう。」

「私は…ツバサの分のも、買い足しに行くわね…」


 すでに、自室に行ってしまったツバサの居た場所を見るアヤメに、一同は心の中で応援した。






☆☆☆☆☆


 校長室の窓際に有る特等席に、いつも〈カーバンクル〉は座っている。


「主よ、此度の戦大きいやもしれぬ。」

「どう言う事じゃ?」

「前の大戦争に降り立った神は、中級神だったのだ。」

「ふむ。聞いたぞい。上級神は降り立たなかったと。」

「正確には、来る必要が無かったのだよ。」

「意味分からん。」

「あちらの悪魔もキングの位の悪魔は、現れなかった。」

「つまり、本気の争いではないと?」

「違う。魔法師の力が足りなかった。だから、世界に姿を表せなかった。」

「して、此度の戦は?」

「あの2人は、まだ覚醒には至って居ないのだが、片鱗は見せた。私が見た中級神の力ではない。遥かに上だ。」

「なんと!?」

「忙しくなるぞ。預言者よ。」

「うむ。」








☆☆☆☆☆


「アヤメ、ツバサはどうした?」

「まだ起きてこないわ…」

「とうっ!」


ドンッ


「ぐえ!」

「ごめん~寝坊しちゃった~」


 朝寮の前で待ち合わせて居たが、なかなか起きないツバサを待っていたら、ジンの上に落ちてきた。


「降りて!おもぶへっ」

「今何て~?」

「ごめんなさい!」


 要らぬ一言を言いそうになったジン、その上で跳ねたツバサ。

 ようやく、現状を把握したアヤメがツバサを下ろす。


「………外なんだけど」

「何処からですか?」

「遅刻したから、窓から出て、屋根伝いに玄関の前に来て飛び降りた~」

「ツバサ、窓は?」

「じゃーん」

「ピッキング!」


 ツバサが取り出した物は、細い針の様な様々な棒。

 ピッキングに使うあれだ。


「ジン正確~」

「はあ。試練の洞窟まで、移転魔法で行くわね。」

「行ったことあんの?」

「錬金術の材料は探すの大変なのよ…」

「大変だったね~」

(((うわ!めっちゃ遠い目!)))

「とりあえず行くわよ。」


 一同、目の前の景色がいきなり変わり、辺りを見渡す。


~~~~~


試練の洞窟

通称 戻らずの洞窟

沢山の冒険者が挑み、帰って来なかった為に付けられた名前。中は岩が何故だか光っており、明るい。

一階二階までなら、普通に行けるが、罠、魔物が沢山居るため、最奥まで行ける冒険者は数少ない。


~~~~~


「私達も~材料探しだったから二階までだったね~」

「それでも、苦労したわね。」

「学生の行く所じゃなくない!?」

「………怖い」

「気が抜けないな。」

「だからAランク依頼なのよ。」


 一同は洞窟に入って、直ぐにスケルトンの群れに出くわした。


「初っぱなから!」

「………これなの?」

「くそ!」

「頑張って!」

「ていっ!」 


 アヤメが光の矢を飛ばし、ツバサが火球を飛ばした。

 どんどん出てくる。


「炎の大蛇」

「………光の刃」

「光散」


 ジンの大蛇がうねり、ラングの刃が飛び、ムウの光弾が破裂する。

 スケルトンの壁が僅かに開いた。


「行くよ!」

「早く~」

「おう!」

「………あわわ」

「はい!」


 まだまだ出てくるスケルトンに、辟易しながら、アヤメの聖なる槍で貫きながら奥に進む。


「のあ!いきなり坂に!」

「地下二階にこのまま行くわよ。」

「降りて直ぐに~休める場所有るよ~」

「分かった!」


 坂を駆け下りると、石で囲まれたくぼみが有り、そこに入る一同。


「ハァハァ…きつい!」 

「ツバサ、障壁を」

「はいよ~」


 入り口にツバサが障壁を作って、小さな休憩所を作る。


「………今気付いたけど、ツバサの魔力上がった?」

「よく気付いたわねラング。」

「精神世界のプログラムを弄った~」

「精神世界の意味が分からん!」

「あれ?まだ教えて無かった~?」


 頷いたジン、ラング、ムウにどうやって説明するか悩むツバサ。


~~~~~


よく多重人格に間違われるが違う。

ツバサの場合は、脳の分割化をして、それぞれの役割を果たす人格を、本体オリジナルが操っている。

本体の指令により動く、アバター(人形)が、現在のツバサ。

本体が面に出るのは、かなり稀。本体は力を蓄え、調節、アバターの管理をしており、魔力の上限も決められる。

アバターは、本体が沢山の作業をしている間に動く、体の維持を担当している。

アバターを作らないと、動けない為、食事、運動、様々な日常生活が送れない。

仮の魂と言った所。

本体は、精神を維持しながら、知識と力を蓄えるのに手一杯。


~~~~~


「ようは、引きこもって居るの~」

「初耳なんだけど。」

「アヤメも知らなかったの!」

「言ってない~」

「何の準備ですか?」

「いろいろ。その時になれば分かるよ~」

「………魔力の上限は、どれだけ?」

「分からないの~解放した事無いから~今も制限しているのは事実~」


 


 …今の魔力で?


「まじ!?」

「嘘言わないよ~」


 クスクス笑うツバサに、複雑な心境のアヤメ、驚きの顔のジン、ポカーンとしたラング、なぜだか片膝付いたムウ。


「そろそろ行こうか~魔物が来たよ~」

「んげ!コウモリ!」

「ジャイアントバット、羽に触れたら斬れるわよ。綺麗に。」


 またまた大群で現れたジャイアントバットに、遠距離攻撃を開始する一同。


「大蛇の轟き」

「光の雨」

「闇の弾丸」


 大蛇が無数に出現して暴れ出し、光の矢が雨となり降り注ぐ。

 闇の弾丸が、魔物の動きを阻害する。

 アヤメの鎌鼬が飛び、ツバサの水の檻が魔物を閉じ込め、そのまま檻が収縮して魔物を圧殺する。 

 ようやく目の前が開き、アヤメとツバサが先導して奥に進む。


「この下の階は知らないから、各自気をつけて!」

「了解!」

「………分かった」

「承知。」

「ウルフの群れ発見~」


 坂の下に、ウルフの群れが待ち構えている。

 アヤメの水砲で、群れを突き放した。

 ジン、大剣を叩きつけ、火の大蛇を同時に放つ。

 ラングは風魔法で、大蛇を大きくする。

 ムウ刀を抜き、近くのウルフを斬り捨てていく。

 ツバサの風玉が、ウルフを吹き飛ばした。


「なんとか、なった!」

「気を抜かないで。最初に言うけど、ここからは罠だって有るから。」

「………見抜くには」

「よく見るしかない~」

「分かりました。」 


 走り出して直ぐに、ジンが落とし穴に落ち、ムウが間一髪で掴み上げる。

 落とし穴の下は沢山の、棘がびっしりと有る。骸骨も有る為、冒険者が落ちたんだろう。

 少したつと、穴は塞がって、うっすら穴の筋が地面に有る。


「よく見て分かるのか?」

「………無理」

「分からん。」


 アヤメとツバサは、普通に避けて走っていくが、ジンは頭上から岩が、ラングは壁から炎が、ムウには矢が飛んできた。

 小さなスイッチが有り、踏んだり、触ったら、起動するらしい。

 時々アヤメとツバサに罠が発動するが、2人共見もせずかわし、切り抜ける。


「置いてかないで!」

「………何で平気なの?」

「流石です。」

 


 疲労困憊の男3人に、アヤメが叫んだ。


「まだまだ奥が有るから、頑張って。」

「「「え!?」」」


 沢山の罠と魔物に、苦労しながら、坂を見つけて下っていく。

 地下に行くにつれて、魔物の数や強さ、罠の種類が上がる。

 時には魔物の群れの中に放り込まれ、時には棘だらけの屋根が落ちてきて、時には良く分からない液体が飛んでくる。


「死ぬ!」

「………熱!」

「うお!」


 罠を見つける暇が無い。

 一枚の扉を見つけて、立ち止まる一同は危機感を覚える。


「何か有るよな!」

「良くない物だけどね。」

「………開かないよ?」

「ここ以外には、先に行く手立てが無いのよね。」 

「師匠、誰がキメラを見つけ出したのでしょうか?」


 走りながら疑問になった事を、ムウは恐る恐る聞いてみた。

 こんなに入るのに大変な場所に、キメラが居る事と、それが何故依頼になったのかが分からないジン、ラング、ムウ。


「この洞窟の近くの街が有るから、頻繁に魔物討伐の依頼は有るわよ。時折、魔物が街まで出て行くからね。多分、キメラは目撃者が居るんじゃないかな?」


 学園から少し離れて居る為、良く知らないが、実は街では普通に魔物が目撃され、冒険者のおかげでなんとかなって居るらしい。

 そして、街が大きい為、街の騎士が定期的に討伐に訪れるらしく、そこまで大事にならなくて済んでいるが、洞窟の地下五階辺りまで騎士が降りた時にキメラを目撃、キメラの力に叶わないと判断して騎士達は洞窟から出て、ギルドに依頼を出した。

 それが真実なのだが、一同が知る由もない。


「鍵なら開けようか~?」

「出た!」


 ツバサは針を取り出した。

 なんだか、ノリノリなのは何故なんだろう…


「開けるしかないよね。」

「了解!最近付けられた鍵みたい~」


 現在は地下四階と五階の中間地点で、前に来た騎士達がキメラが出てこないように、時間稼ぎにしかならないが、鍵をかけていったらしい。

 三分で開いたが…


「はや!」

「一回やりたかったの~」

「………初めてなの?」

「初めて~♪」 

「そのわりには、簡単に開いたわね。」

「ギルドで練習した~」

「何時の間に!?」

「………出来るんだ」

「流石師匠。」


 ガチャリと開いた扉は、手前に開き奥に続いている。


「ここからは、休めないわ。突っ切るわよ。大丈夫?」

「頑張る!」

「………多分」

「大丈夫です。」

「どこまで有るか、分からないからね。気を抜かないで。」


 一同は奥に進む。

 魔物は、数が減り、逆に強くなっている。

 罠の危険度もかなり上がった。


「やべー!」

「………ぎゃ!」

「ぬう!」


 いきなり、でっかい蜥蜴が現れた。

 酸の胃液を飛ばす、かなりすばしっこい厄介な魔物。

 とにかく酸を飛ばして、走り回って居るため、近付けない。


「見てないで助けて!」

「無理~デュラハンが居る~」


 アヤメとツバサは、もっと厄介なデュラハンに対応している為、助太刀出来ない。


「業火の大蛇」

「風の刃」

「闇の波動」


 ジンの放つ大蛇が蜥蜴に迫るが、素早い動きで避け回る。

 ラングの強化された刃も避けられ、酸が飛んでくるが、ムウの闇が飲み込んだ。 


「アヤメ、時間稼ぎよろしく~」

「分かった。」


 ツバサの周りに魔力が集まる。

 デュラハンが動くが、アヤメのレイピアが阻む。

 デュラハンに物理的攻撃は効かない。

 ツバサの溜めた魔力が、一点に集まって放たれた。 

 デュラハンに光線が迫る。

 かつてエレミアの放った光線とは、比べ物にならない速さと、攻撃力で迫る。

 デュラハンが闇の空間を眼前に展開するが、難なく貫通してデュラハンを貫いた。

 デュラハンの体は光線に焼き尽くされた。


「お待たせ」

「アヤメ!助かる!」

「………早すぎる」

「ムウ~闇で酸を受け続けて~」

「はい!」 


 ムウの闇が広がり、酸を飲み続ける。

 アヤメのレイピアの軌跡が幾重にも重なる。

 蜥蜴はバラバラに切り裂かれて、切り口から酸が溢れる。

 アヤメは下がり、ムウの闇の膜の内側に非難する。

 一瞬の出来事。

 ジン、ラング、ムウには、何が起きたか分からなかった。


「行くわよ。」 


 アヤメの一言で、我に帰った3人は、アヤメとツバサに続く。

 いきなり槍、鎌、炎、刃物、酸が一斉に飛んでくるがアヤメとツバサが全て防いだ。

 罠もかなり危ない。

 狭い場所で、巨大な岩が落ちてきて、ジン、ラング、ムウは肝が冷えた。 ツバサの双剣が粉々にしてしまったが… かなり奥まで突っ走って来たが…




「結構奥に来たよな?」

「行き止まりよ。」

「………何も居ないよ」

「見間違いでしょうか?」

「真下に居るよ~」

「え!?」


 おもむろに、ツバサが近くに有った岩を押すと地面が割れた。


「うわ!」

「………ひぃ!」

「ちょっとツバサ!」

「く!」

「大丈夫~」 


 皆が落ちたのは、坂になっている地面だった。

 今まで岩ばかりだったのに、いきなり土の上に落ちて驚いた一同。

 立ち上がり、周囲を見渡すと、広い空間にむき出しの土。

 そして…


グルルッ


 真ん中が獅子、左右にヤギ、背中に羽、尾は蛇の三メートル程あるキメラが居た…

ご感想お待ちしております

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ