エリナ先生は強い
強いけど、性格に難あり…
あの恐怖の一年生ゾンビ事件から、一週間、嫌みな程座学座学座学と続いて(校長の八つ当たり)、ようやく普通に授業が始まる…と思ったが、ここは常識なんて知りませんと真顔で言いそうな教師の集まる学園である。
つまり、普通の授業は皆無。
「ギルドに正式に登録しに行きます☆」
冒険者ギルドは、学生の行く場所では無い。
全て自己責任で、冒険者が死んでもギルドは何もしないし、依頼も命掛けの物が多い。
今までは、学園に依頼された物を、学園の責任で行って居た。
ここからは、学園は関知しないと言う事になる。
「学園の近くに有るギルドまで皆で行きます☆魔物居るしね☆」
とりあえず、エリナ先生がギルドの説明をし始める。
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冒険者ギルド
全ての国で共通のルールの元に、各国毎に依頼された事をランク付け、各冒険者毎にランクを設ける。
全ての冒険者の情報は、全てのギルドが観覧可能であり、冒険者をギルドが指名する事も有る。
ランクによって、待遇も変わる。
ランクは上から、S~Eまで有る。
稀に災害クラスの国単位の依頼で有る、SSランクの依頼も出る。
ギルドで名を上げた場合、ギルドから称号が与えられる。
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「頑張って称号貰ってね☆」
いやいや、いきなり言われても…
その後各クラスがバラバラの時間帯にギルドに向かった。
☆☆☆☆☆
ギルドランクは、特殊な加工がされているギルドカードに、実力を関知し記載される。
どうやって関知するかは、企業秘密らしい。
噂だと、カードに掛かっている魔法が所有者の記憶を読み込んで、実力や功績把握し記録するらしい。
不正は不可能で、今まで間違いは起きていない。
ギルドの機械で、カードの記録を読み取り、ギルドに個人情報として残される。
A~Eまでは銀色、Sランカーのカードは黒に金の縁取りになる。
「エリナ先生説明省いたな…」
「ギルドの職員大変そうだわ…」
「とりあえず、用紙にサインしようぜ!」
渡された用紙に必要事項を書き込んだ一同は受け付けに行く。
「登録お願いします」
「かしこまりました。チーム名は何ですか?」
「〈レジェンド〉です。」
学生のうちは、ギルドにチームで登録する事になっている。
個人での登録はまだ出来ない。
チームで依頼を受けて、その結果やランクによって成績がつく。
受付の人がなにやら機械を操作して、五枚の手のひらサイズの銀のプレートを取り出した。
「一人一枚受け取って下さい。自動的に登録が完了します。本人が持っている間はランクの記号が光ります。それが本人確認になります。」
皆が手に取ると、何も書かれてなかったプレートに、名前とランクとチーム名が浮かび上がった。
「これで登録は終わりです。」
「ありがとうございました。」
早めに登録が終わった〈レジェンド〉は隅に有るテーブルに向かった。
「皆ランクは?実力で変わるんだろ?」
「………C」
「同じく。」
「なんだ同じかよ!」
Cならば、学生としては、少し上のランクであり、実力が高いと証明された事に嬉しそうな3人は、はたと気付いた。
本人の実力でランクが決まるなら、アヤメとツバサは?
「で、2人は?」
「Aよ。」
「同じく~」
一流冒険者と同じランクに、当たり前かなと思ったジン、ラング、ムウ。
あの実力で低かったらおかしい。
なら、Sランカーはどんなけ強いんだよ!
「まだ修行中だし、当たり前ね。」
「そうだね~」
あれで?
「Sランカーは、ドラゴンですら、一撃らしいし。」
「流石に一撃は無理~」
一撃なんだ…
「登録終わったの?☆」
「終わった。そういえばエリナ先生のランクは?」
「気になる?♪」
ジンの質問に、焦らすエリナ先生に、一同が首を縦に降る。
エリナ先生が出したギルドカードの色は黒に金の縁取り。
「Sランカー!?」
「………びっくり」
「ほう…」
「流石に先生は強いわね。」
「そうだね~」
「うふふ♪でも、アヤメちゃんとツバサちゃんもSに近い筈よ☆」
「実感は有りませんね。まだ修行中ですから。」
「そうだね~不思議な感じ~」
「実は私も実感無かったりするの☆」
強者に常識を求めるのは止めようと、男3人は思った。
「称号が有る~」
「ツバサちゃん目ざとい!♪」
「“剣脚”って…」
「私足技が得意なの☆」
有る意味、エリナ先生に蹴られて生きてるジンは凄い。
足技の一撃でドラゴンなら、飛ばせるらしい…
いや、それ以上は無いような…
クラスの皆が登録をし終わって、学園に戻ると、エリナ先生から魔物辞典を読むように言われ、今日の授業は終わった。
全員の登録にかなり時間が掛かってしまったので、夕飯の時間になった。
「じふぇんふぁ…」
「………ジン何言ったの?」
「食べながら話すな。」
「ごくんゲホッ!変な方入った!ゲホッゲホッ」
「はい水~」
「ぷは~助かったツバサ!だから、辞典かぁ読んだ事無いなって。」
「「「「無いの!?」」」」
皆学園に入って初日に配られた教科書類の中に有った辞典は、一度は簡単に目を通している。
「必要無かったし。」
「もう良いわ。」
「………どんな依頼有るかな?」
「討伐依頼が圧倒的だろうな。」
「ムウ~そろそろ魔力が安定してきたし~討伐依頼も受けるから、魔法使って行こうか~」
「そうね。明日から訓練しましょう。」
「よろしくお願いします。」
ムウの適性が何なのか、話し合いをしてから実戦で見極める事になったので、とりあえず明日に向け皆寮に戻った。
☆☆☆☆☆
「なんだと…」
「………凄い」
「こうなるのね。」
「なるほど~」
今は第三グランドで魔法の授業をしているのだが、ムウの得意属性を調べた結果は予想外だった。
「苦手属性無し、闇と聖が得意、流石に古代魔法は無理ね。」
「正反対の属性が得意って~凄くない?」
「凄く希少ね。」
「そうですか。」
古代魔法以外なら、全て扱えるが、闇と聖だけ飛び抜けており、正反対の属性が使えるだけで珍しいのだが、何故だかムウは両方得意みたいだった。
エリナ先生に相談しに行く事にした一同は、事細かに説明した。
「珍しい♪何故かしら?別に有り得ない訳では無いけど♪凄いわ☆」
「どうやって、使うのが効率良いのでしょう?」
「闇は攻撃に、聖は防御かしら?多分、闇なら他の属性より、攻撃に特化している筈だし、聖は傷を治したり、盾を張るのに特化しているけど☆」
「逆も良くない~闇の盾で魔法吸収しちゃえば~無敵じゃない~」
「それも有りね☆」
「ムウはどうしたい~?」
「闇で防御を慣れてるから使いやすい。聖はまだ良く分からないです。」
「なら、攻撃は聖ね♪慣れてる方が良いわね☆」
こうして、ムウは聖と闇に集中する事になって、訓練を始める。
聖属性の扱いに慣れてる、エレミアにいろいろ聞いて。
「紅蓮の大蛇よ敵に食らいつけ!」
「全ての根元の闇、炎を食らえ」
「うわ!全部飲み込んだ!」
「慣れてるからな。」
「紅蓮の弾丸!」
「光の槍」
ジンの魔法が勝り、ムウに迫ったが、ツバサの鉄扇が弾いた。
「もう少し、速さをイメージしてみて頂戴。後、光は全てを貫通するわ。」
エレミアの指摘に頷いたムウ。
闇はかなりスピードに劣る為、光の速さのイメージがし難いらしい。
「なあ!エレミアとアヤメとツバサだと、誰が聖属性の扱いが一番上手いんだ?」
ジンの質問に、エレミアとアヤメとツバサは首を捻る。
結局魔法の打ち合いをする事になった。
「最初に私とツバサでやりましょう。」
アヤメとツバサの打ち合いに、興味がある生徒が集まった。
はじめに言うと、2人は詠唱はしないので、いきなり始まる。
アヤメの光の槍が降り注ぐ。
ツバサの光の盾が全て防ぐ。
アヤメとツバサが同時に光の弾丸を打ち合う。
アヤメ討ちながら、大きな槍を作る。
ツバサ討ちながら、右手に光の刀を作り上げる。
アヤメが槍を投擲した。
ツバサは刀で切り裂いて、追撃。
アヤメの盾が間一髪で防ぐ。
しかし、ツバサが作ったのは、刀だけでは無かった。
アヤメの死角から光の矢が降り注ぐ。
アヤメ防ぐのは無理と判断、横に飛ぶ。
しかし、予想外な場所からいきなり光のナイフが飛んで来てよろめいた。
即ツバサが刀を突き付けた。
「勝った~」
「流石に形成が早いわね。いくつ同時に作ったの?」
「初めから全部~♪」
「やっぱり無理だわ。」
始まりと同時に、頭の中で組み上げた魔法の数が違いが勝敗を分けた。
アヤメは3つ同時だが(それでも多い)ツバサは5つの魔法を組み上げた。
クラスの皆は、2人の高次元の打ち合いに呆然としている。
「あなた達、脳の中を何分割して居るのかしら?」
エレミアは、引きつった笑みで問いかける。
「分からないわ。」
「数え切れない~」
「そ、そう。」
「エミーやる~?」
「そうね。勝つ見込みが無いけど、こんなチャンス滅多に無いわね。ご教授お願いするわ。」
「随分~低姿勢だね~」
エレミアとツバサが向かい合った。
ツバサはエレミアの詠唱を待つつもりらしく、構えない。
「光の刃敵を切り裂け」
エレミアの刃はツバサの矢に相殺された。
刃の方が矢より強い筈だが、力量の差で打ち勝てない。
「聖なる矛よ敵を貫け」
更に上位の矛が迫るが、ツバサは光の刀で斬る。
本来、そう簡単に魔法は斬り裂けないし、同じ属性ならば更に難しい。
「流石に詠唱有りじゃ無理ね…」
「詠唱無し出来る~?」
「…一つだけね!」
いきなりエレミアから、光線が走る。
確かに一番イメージし易いが直線的な為皆いつもは使わない。
奇襲には向いているが。
「なるほど~返すね~」
次の瞬間場が凍りついた。
エレミアのすぐ横に、エレミアの放った光線がぶつかった。
「何で?特殊魔法よ!?」
血統で出来る筈の、魔法の反射に皆が驚いて固まった。
「エミーの血統の魔法は~光の鏡を作って反射する。違う~?」
「そうよ。簡単に言えばね…」
「私は、只方向を変えたの~」
極単純な話、ツバサは鏡を使わず、自分の聖属性の魔法で力の方向を変えただけらしい。
聖魔法の盾を角度を調整し、曲線を描き出して、光線を盾に走らせU字を描かせて返したらしい。
威力をそのまま、削がずに返すには、かなりの計算スピードとイメージ力が必要になる。
「レベルが違うわね…」
「これなら~血統関係無いよ~聖魔法使えたらの話だけど~」
改めて、クラスの皆はツバサが天才で有る、と再認識した。
「ムウ~参考になった~?」
「なんとなくですが。」
直接、打ち合いを見てヒントを得られたらしいムウ。
今日の授業は、クラスの皆が打ち合いを始め、エリナ先生が奮闘しながら、危ない魔法を防ぎ続けた…
☆☆☆☆☆
翌日、エリナ先生がご機嫌で表して第三グランドで、魔法テストをやるといきなり言い出した。
昨日の打ち合いから、クラスの皆が高レベルの魔法が使えると分かったからだそうで、現在皆複雑な気持ちで先生を待っている。
「お待たせ☆今日は一人一体のゴーレムを倒してもらいます♪先生特製の丈夫なゴーレムです☆倒さない限り帰さないぞ♪」
シーン
「皆頑張ってね☆」
エリナ先生が手を上げると、皆の前にニメートル程のゴーレムが現れた。
全て徹夜で作ったらしい。
「壊せば良いのね。」
「そうだね~」
「2人のゴーレムは特別に強度をかなり上げました☆」
エリナ先生は胸を張って簡単には行かないと宣言する。
スパンッ
ドガァンッ
最初にツバサの風魔法で真っ二つに、次にアヤメの火魔法で粉々になった。
早い!登場から一分も経ってない!
「うそう~グスン」
エリナ先生は泣き始めました。
「おっし!やるぜ!」
「………頑張る」
「やってみせる。」
皆のハートに火がついた。
「獄炎の檻!」
「………鎌鼬」
「聖なる裁き」
ボフ
ガリッ
ガンッ
「ほとんど無傷!」
「………ショック」
「くそ!」
現実は残酷です。
やはり、かなりの強度(アヤメとツバサのよりは低いが)が有るらしく、少し欠けただけだった。
結局、この日はエリナ先生とアヤメ、ツバサの助言の元、クラス皆は夜遅くまで頑張って壊した…
なんかエリナ先生がご機嫌だった…
ご感想お待ちしております!




