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授業も過酷です

普通死ぬよね

 学園の教師が皆元勇者なのは、大戦争に向けて校長がかき集めたからだ。

 全ての勇者が任期を放り出したのにも、理由が有る。

 勇者は大会で決まった冒険者が多い。

 そんな勇者に対して、友好的な人々はかなり少なく、用事が済めば、次の仕事場に回される。

 最初は名誉とやりがいが有っても、次第に人々の自分勝手な態度に嫌気が差す。

 只、直ぐに辞めてしまっても、仕事が無いため我慢しているだけだ。

 言い返すと、仕事が有れば直ぐに辞める。

 もちろん、最後までやる者も居たが、大体が騎士や貴族で援助の有る者だけだ。

 それでも、目指す者は後を絶たない。

 かなりの額の報奨金が出るから。

 だが、見合わない額だと気付くのに時間は掛からない。

 なんせ、休む間もなくあっちこっちで、魔物討伐、村の復興、国単位の小競り合いの仲裁などに駆け回る必要が有り、嫌がって抵抗すれば、国単位で説得に来る。


 割に合わない事を知った者は、仕事先を探して、学園にたどり着き、若者の育成を理由に辞めていく。

 校長の出す条件も良く、大戦争まで生徒を鍛え、自らも実力を上げる事だけが条件だ。

 冒険者は実力を上げられる場所が得られる事と、仕事場と大切な沢山の弟子が出来る為、直ぐに学園に籍を置く。

 授業の制限も殆ど無く、生徒を強く育てる事位で、授業の仕方も教師に任せられる。

 元勇者なだけ有り、強く賢い為に良い見本になり生徒も成長する。


 だからこそ、最高峰の学園が出来上がったのだ。








☆☆☆☆☆


 


 夏休みが終わって、授業が始まる。

 やはりと言うか、なんと言うか、薬草採取の課題の提出で、全部集めた者は〈レジェンド〉だけだった。

 ほとんどの薬草は、希少で魔物の居る森の奥深くに有るからだ。

 皆魔物の巣窟には行きたく無いらしい。

 魔王城なんかに居た〈レジェンド〉が異常なのだ。

 流石に、減点にはならない様に、教師も校長と話し合ったが…


『当たり前じゃ!採取出来るなど思って居らんよ。少し持って来たら合格じゃ』


 との事で、杞憂に終わった。 


「皆さん久しぶり☆夏休み楽しかった?皆焼けたね☆」


 学園は大陸の中央にあり、さまざまな四季が存在する。

 現在、教室内は蒸し風呂状態。


「先生、暑いです。魔法でなんとかして下さい」

「あら、リーゼちゃん魔法に頼りっきりは駄目よ☆」

「あうー」

(だって面倒だし☆)


 エリナ先生は自分の周りだけ、魔法で快適な温度にしている。

 当然生徒は、暑さに伸びきっている。

 〈レジェンド〉はずっと森の中や、魔王城に居た為実感が無かったが、ものすごく暑い。

 〈レッドエリア〉自体が北に有るため、温度差が有る。


「アヤメ、なんとかして!」

「ジン自分でなんとかしてよ。」

「………ぼーっとする」 

「ラング~頑張れ~」

「これも訓練だ。」


 アヤメとツバサは、環境に適応するのが早いらしい。

 男3人死にかけている…

 そして、そこに追い討ちが


「今日は、夏休みで緩んだ気を引き締める為に、外で体術の授業です☆」


 教室内は死屍累々となりました。




☆☆☆☆☆


「はあ!」

「やあ!」


 第三グランドで体術の授業を受けている〈レジェンド〉は、アヤメとツバサ以外暑さに参っていた。


「無理!」

「………何で2人元気なの?」

「流石です…」

「だらしない!」

「夏だから~しょうがないよ~」

 


 だからと言って、体術をグランドで日陰も無い所でやるのは、無理です。

 何故グランドで訓練になったのかは、エリナ先生の八つ当たりだったりする。

 エリナ先生は夏休みに、学生の薬草採取の被害報告が沢山舞い込んで、てんてこ舞いになり、夏休みは無くなったらしい。

 因みに、一年生の担任教師は全員同じ状態になり、現在各担当のクラスで八つ当たりをしている。

 校長のせいなのだが…


「はっきり言うと、むかつく!」

「………あの後惚れ薬の材料って知った生徒の暴動が凄かった…」

「ああ。あんなに団結力が高まるとは…」


 あの後で皆が薬草に疑問を持ち、担任に聞いた時に惚れ薬の材料だと聞いた生徒は、校長室に殺到して騒ぎになった。

 材料は、副校長が校長から取り上げた。校長はモテたかったらしい…


「有る意味、魔物より怖かったわ…」

「あれなら~討伐依頼も出来るよね~」


 話を聞いていた、〈ミラージュ〉も含め皆が頷いた。


「皆さん休憩時間です☆水分補給はしっかりしてね☆」


 ようやくお昼休憩の時間が来たので、皆が食堂に殺到して行く。

 皆よれよれになって居る…


「行くか!」

「………うん」

「ああ。」

「いきなり元気になったわね。」

「分かりやすい~」


 食堂に着くと、一年生が食堂で死にかけて居た。


「どこのクラスも同じだったのか…」

 

「………頼むから僕達に八つ当たりは止めて欲しいね…」

「流石に疲れた。」

「体力無いわね。早くご飯食べましょう。午後も有るし。」

「そうだね~」


 ここの料理長は何でも作れる為、いろいろな食事を楽しめる。

 注文してから座席で待って居ると、料理が運ばれて来る。

 ジンはハンバーグ定食、ラングは野菜炒め定食、ムウは何故だか精進料理、アヤメとツバサは、食が細いらしく、魚焼き定食を半分で分けている。

 因みに朝から、ジンとムウは良く食べる。ラングは普通に朝ご飯。アヤメとツバサは小さいパンで足りるらしい。

 アヤメとツバサは甘い物なら良く食べる。


「うまー」

「………生き返る」

 

「ホッとする。」

「良く食べるわね…」

「流石男子~」


 2人が少食なだけなんだか、自覚はまったく無いらしい。

 たまに、朝水だけの時が有る位に。


「ふぁりがたふぇないだけふぁぜ」

「………ジン何言ったの?」

「んぐっごくん!だから、2人が食べないだけだって言ったの!」

「行儀の悪い奴。」

「うるさいムウ。」

「そんなに食べないかな?」

「ここの料理が多いだけ~」


 いやいや、学生の食堂としては普通の量です…

 他愛の無い会話をしながら、食事を済ませた皆は、グランドに向かう。




「食後に運動はきつい!」

「朝から言ってるわよ…」

「………そうだね。」

「いつもだろ。」

 

「まあね~」

「皆酷いよ!食後はきついじゃん!」


 ジンの言葉など知らんと、アヤメとツバサは準備体操をしている。

 ラングも軽く屈伸し、ムウは瞑想を始めた。


「何気に無視はきついよ!」


 結局この日は、体術の授業でクラスの全員(アヤメとツバサは除く)は、ゾンビ状態になって、寮に戻った。

 なんだか妙にエリナ先生が、ご機嫌良くなって居た。




☆☆☆☆☆


「わしの惚れ薬…」

「いい加減諦めろ!」


 校長は〈カーバンクル〉に愚痴を永遠と話して居た。


「モテたかった…」

「諦めろ!もう手遅れだ!」

「だってだって…」

「いい加減にしてくれ!」 

「お前は居いなぁ…ゴロゴロしているだけでモテモテで…」

「知らんわ!」


 〈カーバンクル〉は疲れでふらふらになって居る。

 朝からこれなのだから、しょうがない。

 神獣は辛いと思う〈カーバンクル〉…

 教師全員は合掌した…









☆☆☆☆☆


 どこかの深い森の中、ふらふら歩く人間が居る。

 焦点はあわず、虚ろな相貌の人間は、刃物を片手にふらふらさまよう。

 刃物には血がこびり付き、返り血もおびただしい。


 ふと目の前に村を見つけた人間は、うっすら笑い村に向かう。


「狂った人間か…」

 


 しかし人間が村に着くことは無かった。

 学園の暗部〈カラス〉の諜報員が、素早く首を切り裂いた。


「急ぎ報告をせねば…」


 これまで見つけた異常は、狂った魔物と人間、突然体の一部または全てが変異した魔物と人間、世代交代以外で死なない筈の精霊の死。

 そして、所々からいきなり溢れる、膨大な闇そのもの。


「まだ、下級の悪魔の報告は無いが…」


 未だに悪魔の姿は、見つかって居ない。

 それ以外の異常も見つかって居ない。

 もうすぐ悪魔が目覚めるならば、もっと沢山の異常が現れる筈。

 例えば、魔物の大侵略、村単位の人間の消失、普段世界に触れない筈の精霊の暴走など。

「完成な目覚めまで後約二年位か…」


 カラスは学園に向け走り去った…

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