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異常発生

全てが異常です


「風よ吹き抜けよ」


 ラングの魔法が発動した。

 土煙が晴れて行く。

 皆息をするのを忘れて見守った。


「何ポカーンとしてんの~?」

「生きてますよ。」

「……………うそ!?」


 エレミアが、さっきと同じ様に…いやそれ以上に驚いた。


「何が~?」

「いきなり人に大魔法使わないでよ。」


 〈レジェンド〉は“無傷”だった。


「死ぬかと思った!同じチームで助かった~!寿命縮んだわ!何すんだよ!」

「斬り捨てる!」

「………ムウ動かないで。………腰が抜けて倒れる。」

「む?だから寄りかかって居るのか。」

「座ったら~?」

「そうそう、ゆっくりね。大丈夫。深呼吸して。」


 ラングはアヤメの手を借りてゆっくり座り込んで動かない。

 震えている。


「あ、貴方達!どうやって!?」

「どうやってって、アヤメとツバサが防いだだけだ。」

「え?」

「正確に言えば、アヤメが盾を作り、ツバサが力を逃がすために方向性をねじ曲げ、アヤメとツバサが魔力の暴走を必死で押さえ込んで居たのだ。」

「は?」


~~~~~


 状況を纏めると、

 大魔法を感知したアヤメが走りジンとムウの前に出て、闇魔法の巨大な盾を作り、それでは〈ミラージュ〉が被害を受けると判断したツバサが自身の魔力を解放し、聖魔法を聖魔法で誘導して上に逃がした。

 他人の魔法を乗っ取ったと言った方が正しい。

 そしてエレミアの余った魔力が暴走しそうになった為、2人が一生懸命暴走しないように押さえ込んで居た。


~~~~~


「つまりは、私達〈ミラージュ〉が無傷なのは貴方達のおかげ?」

「当たり前~あんな魔法の近距離に居て無事な訳ないじゃん♪」

「ああ!そうよね…」

「あの魔法は本来、遠距離に居る強力な魔法耐久性が有る魔物に使う物よ。人に向かって、近距離で打ってはいけないわ。聞いてる?エレミア様?」

「そ、そうだったの…お父様に教えて頂いただけで見たこと無くて…」

「「見たこと無い!?」」

「ええ…武勇伝で聞いたの。確かドラゴン相手に…あ!」

「「もっと早くに気付いて…」」

「ごめんなさい…」

「因みに、伝統有る魔法で名前も有るんだけれど…」

「え!?そうなの?」

「〈無情の槍〉だよ~確か第一代目魔王が暴走して~初代勇者が放って~魔物一万を滅してなんちゃらって聞いたわよ~」

「「「何だと―――!」」」


ジン、ムウ、エミリアが叫んだ。


「今の10倍の威力だけどね。」

「マジ?初代勇者すげー!」

「只の嫁の取り扱いの喧嘩で使った。お笑い話だけどね。」

「…アヤメ、俺の感動返せ…」

「ジンが勝手に感動したんじゃない。」

「今は対ドラゴン用の~魔法として登録されてるよ~かなり威力落としてね~」


 ん?おい待て!


「お前ら、対ドラゴン用の魔法を防いだと言うことか?」「まさか自分が受けるとは思わなかったわよ。知ってて良かった。」

「うん、ドラゴンが可哀想になってきたよ~!」


 おいおい!感想違うだろ!


「エリナ先生。知ってましたよね?」

「え?知ってたわよ?元勇者だから絶対聞かされる話だもの。」

「エリナ先生止めてよ~」

「ごめんなさい!成功するなんて思わなくて!」


 クラス全員が思った。

 成功するかしないかじゃなく、気付いたんならとめろよ!


「あの~」

「はい?どうしましたクリスティアちゃん?」

「今聞くのはどうかと思いましたが、チーム対抗戦はどうなるのでしょう?」

「あ!忘れてました☆どうしましょ?」


 〈ミラージュ〉が集まり話し合いを始めて数分後。


「〈ミラージュ〉の負けです。今回の戦いは、圧倒的に〈レジェンド〉の方が上ですから。」

「良いの~エミー?」

「はい…ってエミー?」

「嫌~?」

「いえ…良いですそれで。」

「良いんですか?エレミア?」

「良いのよリーゼ。」

「リーちゃん!嫌~?」

「!良いですはい!」


 エミリア、リーゼはツバサの上目使いに負けた。


「おい!」

「何~ムウ?」

「グランドがとんでもない事になってるぞ!」

「あ!」


 グランドには、隕石が落ちたかのようにクレーターが出来てたが、エリナ先生に全部押し付けて、クラスの全員は寮に逃げ帰えった。

 

「薄情物~~~~~!」




☆☆☆☆☆


「エリナ君。またも請求書が来とるぞい。事情は聞いたが…エリナ君が悪いのう」

「はい…生徒は知りませんでしたから…分かってます。が!給料から引かれると生きて行けません!」

「いや、貯金が有るじゃろう。にしても、けが人…いや死人が出なくて助かったわい…。」


 この後校長先生の長~~~い説教が始まり、エリナ先生はゾンビの様に校長室から出て来て、教師全員遠い目をしたのは言うまでもない…




☆☆☆☆☆


 翌日、アヤメとツバサは質問の嵐にあっていた。もうヘトヘトになっている。

 だが、次の瞬間に教室が凍った。


「オハヨウゴザイマス。」 


 エリナ先生がいらっしゃいました。

 ゾンビ状態で…


「え、エリナ先生、大丈夫~?」

「ツバサちゃん…大丈夫に見えますか?」

「何が有ったんです?」

「校長先生の長~~~い説教と、修理代の請求書がきました…」

「「………」」


 とにかく、クラス一丸となって、エリナ先生を誉めたり、讃えたり、尊敬ふりをしたりして、立ち直らせた。


「今日は♪魔物討伐についてお話します♪最近沢山被害が出ていますから、学園の生徒皆で頑張ろう♪と言うことです!☆」


カキーン


 また教室は凍り付きました。


「何故学生が?」

「何でも体験しなきゃ☆って事です☆」 


 んなアホな…


「此処に詳細の書いてある紙を置いときます♪因みに沢山討伐すると、授業が一週間免除されます☆」


 教室は一気に火山になった。


「作成会議しなきゃ~」

「授業そんなに嫌なのね。」




☆☆☆☆☆


「あのさ生徒が討伐するんだよね~?」

「…そのはずよ。」

「いやいや無理だし!」

「………止めようよ」

「叩き斬る!」

「ムウそれ無理だよ~」


 内容は、レッドウルフの討伐。

 しかも群れ。

 そして一番危ない繁殖期。

 ランクAの討伐依頼。

 ランクはSSからEまで。

 B以上は一流の魔法師の受けるランクである。 


「まあ、レッドウルフならなんとかなるかな?ツバサも大丈夫でしょ?」

「ん~正直手応え無いね~」

「まあね。」

「「「何故学生やってるの?」」」

「夢だったからよ。」

「アヤメが行くから!」


 問題無いじゃん。


「でも~あんた達も~参加しなきゃいけないよ~」

「そうよ。チーム討伐依頼だから。」


 無理です!


「多分ね~校長が行きたく無いんだよ~」

「でしょうね…。」


 2人揃って遠い目になった。 

 とにかく対策を考えよう!

 嫌だと言ったら、きっと斬り捨てられる。ツバサに。


「ツバサさん。怖いです。」

「………落ち着いて」

「鉄扇を下ろしてくれないか?」

「やるよね~?」

 

「正直怖いです。」

「………えっと」

「まず話し合いをだな…」

「や・る・よ・ね?」

「「「はい!」」」


 レッドウルフより怖いです。

 今日は準備の為忙しくなりそうです。




☆☆☆☆☆


 翌日、昨日授業サボって準備しておいて朝早くに寮の食堂に集まった。

 やる気なのは、ツバサとムウだけだ。


「何故やる気なんだよムウ!」

「師匠に認めて貰うチャンス。」

「よし!俺も頑張ろう!」

「譲らぬ。」

「………あのさ、2人はその位で認めてくれるのかな?」

「「分からない」」


 規格外なんだもん。

 現地に着いて直ぐ、ツバサが立ち止まった。


「15匹居る~!」

「そう少ないわね」

「何故分かる?そして多いと思う。」 

「魔力探知したの~」

「魔力?有るの?」

「あれ?特徴話してない?」

「「「うん」」」

「ウルフ系亜種、火を噴くのが特徴。最近発見されたから生態系はほぼ不明。」

「火!?」

「頑張って~」


 更に奥地に進むと見慣れた集団発見!


「まあ!〈レジェンド〉じゃない!良かったわ。誰も来ていないのよ。」

「皆様図鑑見るなり青ざめてしまいましたから、怖くなったんでしょうね。」

「エミー!クリス!リーちゃん!戦闘狂、暑いおじさん、来てたの~」

「ツバサ、後2人が可哀想よ…」


 〈ミラージュ〉も共に行く事になった。人数は欲しい。


グルルッ

アオーン


「!来たよ 左側から4匹!」

「了解!」 

「何か2人共雰囲気変わったわよね?」

「それより戦闘体制になりましょう。」


ガウッ


「ていっ!」


ザシュッ


「あのさ、出番無いよね…」

「一匹しか来てない。様子見みたい。」

「先に進みましょう。」

「あいよ~」


 蚊帳の外!?


「ジン、落ち着いて聞いて」

「ツバサ?何?」

「…アヤメを頼む」

「っ!」


ガルル

ガオーン


「集団で来た!」

「狩るよ~」

「ええ!熱!」

「水よ熱を奪え」


ざばあ


「死ぬ!冷たい!」

「頑張って~」


 既にツバサは五匹斬り捨てたらしい。

 アヤメはラングの応援に回った。

 時折吐く炎が邪魔で近付けない!


「聖なる矢」

 

 エミリアの魔法で二匹仕留める。


「はあ!」


 ムウが一匹斬り捨てた。


「おらぁ」


 ジンが二匹叩ききった。

 あと四匹。


「やっぱりね~」

「は?」

「皆子供よ」

「親が居ない」

「人里に?」

「さっきの遠吠えで気付いたでしょ~」

「それやばくね?」


 やっと子供は討伐出来た。

 一時間掛けて。

 アヤメ、ツバサのフォローが無ければもっと掛かったし怪我もしてた。

 なのに親?やめてくれ!

 空気が変わる。

 殺気が突き刺さる。

 動けない。

 三匹の親が戻って来た。

 一匹の親だけでかい!


「雄だね~さすがにたくましい~」

「親は私たちが引き受けます。」

 

 2人は涼しい顔だが、ジン、ムウ、ラングはもちろん、〈ミラージュ〉の皆も動けない。

 今までが遊びだったと思わざるを得ない。

 これが本当の討伐依頼。

 2人は三匹に向かい合う。

 雄はツバサが引き受けた。

 壮絶な戦い。

 気を抜いたら死ぬ。


「はっ!」


 アヤメが跳躍する。

 今まで居た場所が焼け焦げる。

 地面が溶ける程の高温。

 ツバサが駆ける。

 すぐ横を爪が過ぎる。

 アヤメがレイピアで一匹斬り捨てる。

 ギャンッと鳴いて動かないが、アヤメは首を斬り捨てた。

 油断したら死ぬ。

 当たり前の事だが、学生にはまだ出来ない。

 2人に躊躇は無い。

 ツバサが雄の足を斬り捨てた。 

 アヤメもう一匹斬り捨てた。

 瞬間、雄が暴れまわった。

 ツバサが追う。

 アヤメは火に遮られた。

 皆ツバサを見失った。

 アヤメが炎を消した。


ギャオーン


 どこかで斬り捨てたらしい。

 アヤメが魔力探知を行った。

 途端に青ざめる。


「どうした?」

「囲まれた!下だ!」


 下に大蛇が居た。

 順番待ちしていたらしく、直ぐに襲って来た。

 何かを飛ばす。

 アヤメが盾で防いだ。


「こいつは胃液を飛ばす!当たれば溶けて毒が回る。魔力は少ないから魔法は使え無い。遠距離攻撃だ!」


 アヤメの言葉に従い次々と殺していく。

 レッドウルフよりは弱いから簡単に倒せる。 

 それでも数が多く、時間はかかった。

 一時間位だろう。


「見失った。」

「ツバサ?何で?」

「分からない!いきなり魔力が消えた!どうしよう!」


 始めてアヤメが狼狽した。

 とにかく、学園で先生に報告する事になった。


(あれはそういう事かよ!)


『アヤメを頼む』


(分かった。分かったから無事でいろ!)




☆☆☆☆☆


 アヤメが炎を消した同時刻


 ツバサは既に雄のレッドウルフを仕留めていた。

 最後の遠吠えをする。


「現れたか…夢で見た通りだな。魔物を放ったのはお前たちだな?依頼を出したのもさ。」

「気付いていたなら何故逃げなかった?」

「逃げても被害が増えるだけ。まだ予備が有るだろう?」

「隠し事は無理か…」 

「この場に有る魔法陣は、魔力を外に逃がさない物だろう?」

「そうだ。大人しく来て貰う。」

「…分かった」


バチッ


 魔法陣が輝くと体に凄まじい電流が流れた。

 ツバサが倒れ込んだ。


「念の為眠って貰う。」

「…準備の…良いこ…と…だ」


 男は何かをツバサが倒れ込んで直ぐに、素早くツバサの首に取り付ける。

 魔力封印具まで持ってくるとは…全く抵抗は出来ないな…する気ないが。

 そこで意識は途絶えた。


「ふん!物分かりの良い化け物だな。他にも対策は練っていたが…」

 

 電流で倒れなくてもその次の仕掛けで脳に直接衝撃を加える術も魔法陣には織り込んで有った。意味は無かったが。

 

 男は魔法陣を解くと静かにその場を去っていった。

 闇に溶けるように…

ご感想お待ちしております。

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