表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/166

問題発生、特訓は過酷

面倒事は避けたいよね

 対抗戦前日。

 問題が発生した。


「何で?何で皆辞退したんだ?」

「エリナ先生に聞きに行きます。」

「「「「……」」」」

「何か?」

「アヤメ~多分エリナ先生頭抱えて沈没してると思うよ~」

「「「同意」」」


 それでも気になると、全員の意見が一致したので、職員室へ。


「見事に沈没してる…」


 皆が見たのは、頭抱えて沈没して灰になりそうなエリナ先生だった…


「先生?あのー」

「何かしら?まさか辞退したいとか?またなの?全員?どうして?ああもう!」

「違うよ~理由聞きにきた「そうなの!本当に!?」…はい」

「良かった~何とかなった~♪」

「説明求む!」

「分かったわ…実はね…」


~~~~~


 エレミア・ミラ・サウエラン

 実は一応、〈ニーファ〉の末端貴族で有り、魔法の名家の彼女に、彼女のチーム〈ミラージュ〉には、サウエランお抱えの護衛スコット家のリーゼ・スコットが居る。

 スコット家は〈ニーファ〉で陰で囁かれる、裏の社会の家名。


 更に、エレミアの友人、クリスティア・ウォル・ガーデンはニーファの貴族で有り水のガーデン家と言われる名家の次女。


 そして、いつ知り合ったか謎の、ラザック・ガーディナは、〈ガイス〉出身の斧使い。戦闘になると人が変わり、冷酷な一面があり、避けられている。


 最後に、ガナン・バラードは目立たないがとにかくタフ。拳のみで戦う、暑すぎる男。ラザックによく斧で殴られ、尚ピンピンしている。


 皆が思った。

 戦いたくない!


~~~~~


「名家と揉めるの嫌、殺されそう、絶対近寄りたくないなど、理由は戦いたくないからよ…。」


ガクリ


「先生生きて~!」


 なる程、面倒だ!先生ご苦労様です!


「誰もいなかったら、私のせいになって、皆を無理やり参加させなきゃ行けなくなる所だったの……」

「…辞退は「殺す気?」…しません!」


 面倒な事になった。




☆☆☆☆☆


「役割を決めるわ。」

「役割?」

「そう。総当たりなら役割は意味ないけど、チーム戦なら逆に無いと足の引っ張り合いになる。だから決めるの。」

「なる程!どうするんだ!」

「今から模擬戦をして決める。決定事項は私とツバサは補助に回る。」

「何で?」

「貴族相手に~圧勝は駄目でしょ~」

「「「だよね」」」


 既にレジェンド専用となりつつある、第三グランドに集まった。

 アヤメとツバサは準備が有ると言い、一度寮に戻り、何やら見慣れない物を持ちやってきた。


「エリナ先生にグランドの、破壊の許可取ってきたから、今日は思いっきりやるよ。授業も免除してもらったしね。」


 先ほどアヤメがエリナ先生と相談した事は、“今日の授業の免除”“グランドの使用”“その際の被害はエリナ先生持ち”の3つ。契約書も作った。 よほど困ってたらしく、すぐに承諾してくれただけでなく、沢山の魔法薬も用意してくれた。


「今までも凄く、思いっきりやってたよな?まだやんの?」

「もちろん~♪」


 ジン、ラング、ムウは青ざめた。


「ジン、大剣貸して!」

「ああ。重いぞ。」


 ジンは、最初大剣を持った時の事を思い出し、忠告するが、無用だった。

 アヤメは片手で受け取り、鞘から出す。


「アヤメは力が無いから、レイピアにしたんじゃ?」

「そうだよ。手数で勝負するから、刀は疲れるの。同じ片刃の武器ならレイピアの方が向いてるの。」


 いやはや。強い人は違う。扱うだけでなく更に上を目指すのか。

 ジンは昔の自分の浅はかさにイラついた。人の為武器を選んだ自分に。


(最初から、強く慣れやしない馬鹿な選択をしておいて、ちゃんと向き不向きを理解し強くなった2人に強いことを非難し愚痴るなんて、最低だ!)

‐やっと分かったか‐

(ああ。自分の為に頑張るよ!)

‐ふん!せいぜい足掻け‐

「ジンどうした~?」

「ツバサか。神獣と話してた。」

「そう。アヤメが呼んでるよ~」

「すまん!何だ?」

「考えてる時に悪いけど、手入れはどうしてる?」

「毎晩磨いてるよ?」

「なら、気付いてると思うけど、沢山細かい傷が有るから、直すわ。」

「有ったのか!?」


 皆ため息を吐いた。当たり前だ。


「でも、どうやって?金無いよ?」


 大剣に20万掛かって、今手持ちがない。これでも学園で買ったから安かった方だ。

 普通の値段は100万以上だが、ジンの使って居る大剣は学生が鍛えた物なので、安く売られていた。

 もちろん、修理代も安いがさすがに無理がある。

 因みに、バイトで貯めてたお金なので、財産だったりする。


「錬金術で魔法の付属と修理を両立するわ。お金はいらないから大丈夫よ。」


 魔法の付属は錬金術の類に入り、修理も可能だが、両立は難しい。

 特に今回は、大剣自体が安物で不純物が多いから難しい。

 錬金術は、チーム内ではアヤメしか出来ない。

 つまり、一人でやると言うことになる。


「悪いな…また何か御礼する。」

「良いのに。まあ貰っとく。」


 集中し始めたアヤメを見て、皆黙りこむ。

 魔法陣が現れアヤメが何かを呟き、大剣に手を添えると、大剣が輝き始めた。

 更に何かを刻み込む。

 ようやく、魔法陣が消えると、新品みたいな大剣が現れた。

 時間にして30分集中し続けたアヤメは、一息つく。


「大剣の不純物を取り除いて、硬化の魔法を付属したから、かなり丈夫になったはずよ。あと、魔法文字で“切る”と刻んだから、切れ味も増したわ。」

「ありがとう!すげーな!」 

「錬金術は~本来こんなに早く、沢山の付属や、不純物の除去は出来ないんだよ~アヤメの才能の成せる技~♪」

「へえ。すげーな♪」


 アヤメは困った顔をしてるが、悪い気はしないみたいで、少し笑って居る。

 たまに、ツバサはアヤメを我が事のように自慢したがるのだ。


「その荷物は何だ?」


 いきなりムウが聞いて来た。


「杖だよ~魔法の補助の為の♪後、ナイフ類。」

「杖はラングの槍と合成しようと思ってね。ラング槍貸して。」


 ラングは槍を渡し、固唾を飲んで見守る。入会祝の槍だからだ。


「心配しないで。見た目は変えない。柄の部分に杖を置き換えて、魔法の耐久性と魔法の補助の両立をさせるのよ。」 

「………良かった。ありがとう。」


 また30分位集中し錬金術を使い、槍の性能を上げる。


「槍に強化の魔法を付属したから。めったな事が無ければ、折れることも、刃が欠けることも無いはずよ。」

「………凄い。魔力が練りやすい。……………精霊も気に入ったみたい!」

「良かった。ムウ、刀貸して。」

「あ、ああ。休憩しなくて大丈夫か?」

「平気よ。…一日中やってた事有るから……。心配してくれてありがとう。」


 アヤメはムウの刀を見て言う。


「かなり手入れされてるけど、すり減ってるわね。ナイフ類持って来て正確だったわ。」

「ナイフと合成するのか?確かにもう買い替え時だったが…」 

「そうよ。この鉄不純物が無いね。良い業物だわ。」

「無名だが、いい物だ。気に入って居たから替えたく無かった。助かる。」


 アヤメは少し笑ってから、また30分位集中し、合成していった。

 ナイフが二本無くなった。


「強化の魔法付属したから、すり減る事も心配しなくて良いわ。名を付けたら?」

「ふむ。礼を言う。名は考えておこう。」


 しばらく休んで、訓練を開始する。

 ツバサは鉄扇を構えた。


「初めて見るな!」

「かなり使い勝手良いんだよ~」


 軽く振ると地面に亀裂が走った。


「んな!」

「鉄扇には、魔力を通し易く、付属効果が掛かって居て、魔法を纏わせて戦うの。舞うみたいにね!」 

「わあ!」

「不可視の盾!」

「ラング助かったが、盾でか過ぎ!」

「………何時もより使いやすいんだ。制御が難しい。少ない魔力でこんなになるなんて………精霊もびっくりしてる。」

「杖の効果ね。今から慣れればいいわ。」


 目の前には、五メートル程の高さの聖属性の盾があった。


「何時までもこうしちゃ居られない!」

「俺が行く!」


 ムウがツバサに切りかかる。

 ツバサは鉄扇を閉じ受ける。

 甲高い音と火花が散った。

 ツバサはすぐに鉄扇に雷属性を纏わせる。

 ムウとっさに下がる。

 ツバサは開いた手で水魔法を飛ばし、更に鉄扇に纏った雷を飛ばす。

 ラングの盾が寸での所で出現するが、盾が割れる。 ムウその隙に離れるが、アヤメが追撃する。

 ジンがツバサに大剣を叩きつける。

 ツバサは鉄扇で軌道をそらし、氷の矢を飛ばす。

 無詠唱、無動作は超高難易度。

 ジンは驚き、避け損ない、肩と足に刺さる。

 痛みに屈しそうになるが、後ろに飛び距離を開ける。

 ムウ闇魔法を纏う。

 アヤメ風の刃を飛ばす。

 闇が風を飲みこむ。

 アヤメはその隙に聖属性の槍を作り出す。

 左手に構え突き出す。

 アヤメの魔力にムウの魔力が負け腕に刺さる。

 ムウとっさに火弾を放つ。

 アヤメ水の盾を作る。

 火弾が爆発する。

 その隙にムウは相性が悪いと判断。 

 ジンとラングの方に全力で走る。

 ツバサの作り出した土の矢が地面から放たれる。

 間一髪ラングの盾が間に合った。

 互いに一息つく。


「魔法薬飲んで。本番は休憩は無いわ。傷が出来たらすぐ飲んで。」

「はあはあはあ…わ、分かった。」

「痛っ!容赦ないな…」

「………盾割れちゃった」

「ツバサの魔法だからね。無理もない。付属効果の方はどう?」

「「「完璧」」」

「良かった。」

「ツバサの鉄扇怖いな!」

「本当に舞ってるみたいだった。」

「そうでしょ~独自に改良したんだ~」

「鉄も綺麗に斬れるわよね。」

「「「え!」」」 


 さすがに3人は冷や汗を流す。

 やらなかっただけで、やれば人体など真っ二つと言うことだ。

 双剣と効果は変わらないが、見た目にギャップが有る。

 双剣は直に戦うスタイルだが、鉄扇は魔法を飛ばすスタイルで来る。

 もちろん、何とか近付けても鉄扇で斬られる。


「怖いな…」

「双剣の方が、威力は上よ~鉄扇はバリエーション豊富なの~」

「なる程!」

「そういえば、ラングは全属性使えるの?」

「……無理だよ………雷と水、氷、闇は駄目。聖属性が特に使い易い。風、火、地は普通かな?」

「なる程。補助に適してるわね。聖属性を伸ばして見て、風はいざという時の為に敵を飛ばせるよう練習して。」 

「……分かった。2つに集中する。」

「ムウは闇魔法で魔法を無効化、素早さで撹乱をして。」

「分かった。」


 役割は、ムウが特攻し撹乱、ジンがその隙に大剣の力業で的確に仕留め、ラングは2人に迫る魔法を盾で防ぐ。たまに、遠距離から攻撃して敵の神経を削る。

 アヤメとツバサは、ジン、ムウに加速魔法をかけ続け、たまに援護射撃する。

 決まったら直ぐに連携の確認の為、実戦に入る。


「結構良い感じだな!痛――!」

「ふむ。良い感じだ。痛っ」

「……なる程。痛たたっ」


 3人共かなりボロボロになっているが、特訓の成果が出て、連携がうまくなって来て、役割の重要性を再確認する。 

 アヤメとツバサは休憩の後、即訓練に戻ると言い出し、3人は硬直した。


「もう限界だ!明日も有るし止めようぜ!もう夕飯の時間だし!」

「珍しいな。同意見だ。」

「………死んじゃう」

「体力無いね~魔法薬飲んだでしょ~後、明日の事は大丈夫!魔法で傷治すし、疲れは寝れば治るよ~」

「そうよ。まだ夕飯の時間でしょ。後二時間は頑張って。」


 現在6時、門限は9時。ギリギリまでやると言うことになる。

 朝からぶっ通しで訓練をしているので、3人は疲れ果てて居た。

 アヤメとツバサは、少し汗かいたかなと言う程度で息も整って居る。


(((どうなってんの?)))


 魔法薬の瓶は20個位転がって居る。エリナ先生が用意した本数は30個。

 エリナ先生もとことんやれと、言っていたが、こうなると思って渡した確信犯だったりする。

 因みに、魔法薬は各教師から奪って…もとい貰ってかき集めた物だ。




☆☆☆☆☆


『生徒の為なの!協力して!私の死活問題なの!問答無用よ!』


 多分…いやきっと、絶対最後が本音だろうが、あまりの必死さと、強引さに皆奪われても取り返しはしなかった。

 後で請求書を見たエリナ先生は、卒倒する事になる。

 魔法薬は貴重だ、一個一万円する。

 更にグランドが、かなり荒れたので業者を呼ぶ事になり、それも上乗せされた。

 かなり広いので、それなりの金額になるが、割合する。 

 責任をアヤメに追求したエリナ先生は、ちゃんと契約書(“その際の被害はエリナ先生持ち”がはっきり書かれている)を作って有ると言われ諦めた。

 確かにエリナ先生の文字で名前が書かれている。言い逃れは出来ない。

 因みにアヤメは、校長先生にコピーを渡して居る為、抜かりは無い。


『本当に高校生なのかしら…隙が無さ過ぎるわよ…』


 と呟いたエリナ先生に、教師全員心の中で同意したのは言うまでもない。




☆☆☆☆☆


 結局男子3人はぼろ雑巾の様になり、寮に戻り、夕飯をがっついた後深い眠りについた。


「あのさ~杖良かったの~?」

「良いの。私使わないから。」

 

 皆が眠りについた頃、アヤメとツバサは寮のベランダで話しをしていた。

 あの杖は、アヤメが唯一両親から贈られた、最上級の杖。

 アヤメの両親は、既に居ない。

 ツバサにも居ない。

 だからこそ、大事に保管されていた。


「あれは、幼い時に魔力量に気づいた両親が、うまく使ってくれって、渡してきた物だけど…今は必要無いからね。」

「でも初めての、そして最後のプレゼントでしょ~?」

「ラングなら使いこなせるし、埃被るより良いわ。」

「なら、良いけど~びっくりしたよ~」

「あはは。いきなり思いついたから。」

 

 2人はひとしきり笑いあって、ツバサは自室に戻って行った。


「未練はみっともないじゃない…貴方は全てキッパリ諦めたのに…あの頃に戻りたいなんて…バカみたい…それに…」


 アヤメは一人呟いた。

 まだ、両親が欲にかられず、平和だった頃貰った杖。

 あれに何度も助けられた。

 だからこそ、友の助けになれば、とても嬉しい。

 思わず笑顔になる自分に、少し驚き、そしてまた笑っていた…


(まだ私には感情は残って居る…)



ご感想お待ちしております。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ