訓練を始めます!
やり過ぎ注意です。
おなじみの第三グランド。現在、レジェンドの“戦場”となっている。
「対抗戦まであと5日よ~まだまだ、全然駄目よ~それ!」
ツバサの魔法が炸裂し、大地をえぐる。
「精霊よ我が眼前に聖なる盾を!」
ラングが聖属性の結界を張る。聖属性は闇以外にかなり有利だからだ。
ドガンッ
見事に耐えたが、一メートル程後ろに押され下がる。
目の前の地面は煙りを上げ、抉れている。
もちろん、ツバサは手加減しているが、手加減が苦手らしく、たまに吹き飛ばされる。
「おりゃ!」
「甘いわ!私を忘れてるわよ!」
「うわ!っと!悪いムウ!」
アヤメのレイピアが迫るが、ムウが刀で止める。
ムウは訓練の時はいつも、自身の周りに闇魔法の結界を張っているらしく、アヤメのレイピアに掛かっていた風魔法を打ち消す。
しかし、上空から、雷撃が迫り来る。
「無詠唱何てむちゃくちゃだ!」
横に飛んで避ける。
アヤメとツバサは言葉の力を借りない。イメージだけで魔法は使えるが、本来は頭でイメージするより、言葉の方が分かりやすいため、大半が使う。
無詠唱で高威力、精密操作は達人並みなのだが、普通に使って居る事から慣れているらしいと分かる。
「言葉にしていたら、対処に遅れる。それに敵に察知される事は致命的だわ。」「なら、小声で良いじゃん!あ!遅くなるのが問題なのか?」
「正解よ。ジン左がら空き。」
「のわ!」
「不可視の矢!」
「助かった!ラング!」
話をしながらも、何度となくレイピアが隙を突いてくる。
大剣は機動力に問題が有る為、仲間の援護、装備品の良し悪しで価値が変わる。
軽装にしているが、装備品に魔法が付属されている為、なんとか一撃なら問題無いが、受けないに越したことはない。
ちなみに、アヤメに付属して貰ったが、買うとなると目が出そうな程高い。
付属する事には技術が必要で、出来る魔法師が少ないらしい。
ムウとラングも作って貰ったが、価値がものすごい高い為、回避力に神経を注いでいる。そのおかげで、回避力が上がったのは言うまでもない。
「下がれ!」
「おう!」
「我が友に刹那の俊足を!」
やっとツバサの魔法から逃れたらしいムウが滑るように、間に入って来た。少し髪が焦げているそして擦り傷だらけ…。
ムウが時間を稼いでる間に態勢を整え、力を貯め、魔法をラングに掛けてもらい隙を伺う。
レイピアを半身引いて避けるムウ、追撃を加えるアヤメに一瞬隙が出来た!
「食らえ!」
大剣に遠心力を載せ、ラングの加速魔法による素早い動きで叩きつける。
ガンッ
大地に食い込んだ大剣。
アヤメは既に眼前に迫る。
加速魔法。無系統魔法の代表。ツバサは無詠唱でアヤメに掛け、アヤメは持ち前の瞬発力で一気に間合いを詰めた。
完璧な連携プレー。俺達のその場しのぎとは違う、長年の信頼の賜物。
「終わりよ。」
静かな勝利宣言。そこに奢りや、喜びは皆無。
ジンはアヤメのレイピアを首筋に当てられ、ムウはツバサの双剣で峰打ちを当てられ飛ばされ、ラングはツバサの風魔法で飛ばされた。
「こ…怖え――!」
「くっ!痛っ!」
「……うう」
「大丈夫?今回復魔法掛けるから。」
「頼む」
「…はい」
アヤメがラングに、ツバサがムウに魔法を掛けると、傷は塞がり、痛みも引いたらしく起き上がる。
本来回復魔法に痛みをとる効果は無いはずだが、独自の魔法薬と組合せて居るらしい。
「少し休憩しましょう。」
「アヤメ、グランド直さないと、エリナ先生が倒れるよ~」
「3人は休んでて、直してくる。」
先日、荒れたグランドを見たエリナ先生は、何か有ったのかと、狼狽し、事情を説明したら、卒倒した。
『高校生のやる事じゃないわよ…もう少し体を大事にしなさい。手加減も忘れ無いでね…』
と言っていたが、アヤメとツバサは十分手加減しているし、ジンは自重する気無いし、ムウは一矢報いようと必死だし、ラングは魔法が使えて大喜びで楽しくてついやり過ぎる為、結局変わらなかった。
「証拠隠滅♪」
とツバサははしゃぎながら、直している。早い早い。
「エリナ先生は苦労性だな…」
「何故何時も気に掛けるかが、疑問だ。…邪魔だ。」
「………ムウ、言い過ぎ。」
「ラング、ムウの心の声だと思うぜ!今猛烈に悔しがってるんだろ!」
「ぐっ!うるさい!」
最近少しずつ、ムウが表情豊かになってきた。
少しずつ、話し方も変わった。
前は他人を寄せ付けない、トゲトゲした物言いと無表情で、ものすごい怖かった。
黙って居れば、かっこいい為、実はファンクラブが有る。
だが、皆分かって無い!
こいつ、武にしか興味無い!
戦いになると、猛獣みたいだ。
そして、かなり毒舌で、よくラングが怯えながらも、なだめて居る。
「そう言えば、ムウとラングは2人に関してどう思ってるんだ?」
「何だいきなり?……師匠みたいに思ってるが?後、理解者だな。」
「………僕も、理解者で有り、師匠で有り……恩人だよ。」
「なんだ!皆一緒か!」
「…ジンも?」
「ああ。憧れの位置に居る相手でもあるな!追い付きたい!」
「「…無理」」
「ひで―――!」
今日も、沢山訓練し、そのたびに吹き飛ばされ、反省会をし、グランドを直し、訓練は終わった。
何事も無く…
☆☆☆☆☆
「校長先生!」
「なんじゃ?エリナ君?」
「あの5人本当に高校生ですか?何故訓練が軍隊と同じ位盛大何ですか!?というか、止めて下さい!」
「無理じゃ!そして、ちゃんとした高校生じゃ。ちとやり過ぎじゃが…。」
「ちょっとじゃ無いです!」
「落ち着いてくれ…」
あの訓練はちょっとやり過ぎて居るが、止めたら5人が暴れそうなので、そっとしている。
まあ、ラング君は暴れ無いじゃろうが、かなり落ち込むじゃろうな…。
最近エリナ先生の怒鳴り声が響く、校長室に、他の教師が狼狽して居るのは言うまでもない…
ご感想お待ちしております。




