表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/166

君が為の剣であれ※

急にツバサが起きたのには理由が有りました。

 とある夜。

 ジンは夜なんとなく歩きたくなって、寮の庭を散歩をしていた。こういった時必ずなにか重要な事が有るから、本能に従っている。


「ジン!良かった探さずに済んだ。用があるんだ~!」

「ツバサ?何だよ?」


 ツバサはいきなりジンに言葉を紡ぐ。何時もと違う雰囲気を纏い。


「君は、ずっと人の為に生きて来たんだね。ひとの為に沢山努力した。し続けた。そしてそれは、意味を成さなかった。それどころか平凡と烙印を押された」

「なっ何で知ってる!?」

「君の過去が見えたから。ごめんなさい」

「はあ?」

「あのさ、君は言ったね?何もしないくせに何でも出来るのは羨ましいって」

「ああ、言ったさ!」

「ジン、何故私がアヤメと共に居ると思う?面倒臭がりなのにこんな所に居るの不自然でしょう?」

「分からない」


 ジンは困惑した。突然の呼び出し、過去の話、質問。全てがおかしい。

 何より、ツバサの雰囲気。

 まるで、全て見通してるような…


「素直だね。だからかな?損するのは」

「は?」

「まあ良いや。理由はね…突然だけど、アヤメはまだ知らないけど、私達は監視されてるの国から。だから私はアヤメの側に居るの。危険だから。気づいて無いんだもん。直ぐ近くに居るのに…」

「えーと…何で監視されてんの?」

「異常だから。全てが」


 ツバサはジンの居る範囲だけに魔力を放出した。


「あ…何だ?これ?」 


 ジンは言葉を失った。

 有り得ない。

 人じゃない。

 尋常じゃない魔力だ。


「分かった?」


 何か言いたいが言えない。

 それに気付いたらしく、ツバサは力を収めた。


「何?今の…」

「魔力だよ~4分の1程も出して無いけどね~」

「まじ?」

「うん。だから狙われてるわ。時間が無いんだ。好きなようにやれる時間が足りないの。思い通りになった事なんてない。力が有るのは良いことばかりじゃない」

「え?」

「私達の力を求めて、国が手を出して来る。遠くない未来に。絶対に」

「そんな!おかしいだろ!?」 

「そうね。こないだ、ラングに精霊魔法をいきなり教えたのはね、その事が原因なんだけど…本当に時間が無いの」

「何でそんな事分かるんだ!?思い過ごしじゃないか?」

「予知夢。固有能力だよ」


 固有能力は珍しい。生まれつき特殊な体質の者が居る。その力は絶大で国が欲しがる物である。


「……何それ?」

「未来を見る夢。予知夢は覆せない。アヤメも予知夢を見るけど私程頻繁じゃない。そのほかにも、固有能力が有るんだけど、また教える」

「アヤメも有るのか?」

「有るよ。過去を見るのは難しいけど、見てみたの」

「俺の過去?」 

「うん。あまりに、偏った考えだし、何故だか焦っていたから…ごめんなさい。それで…忠告とお願いがしたいんだ」

「見たのか…分かったよ何?」


 ツバサは目を閉じ歌うように、言葉を紡ぎ出した。決して忘れられそうに無い、聞き逃しようの無い声で…


「君は君のためのつるぎであれ。誰の物でも無い、唯一無二の己が為の絶対の剣であれ」


 ひと息で紡ぎ出した言葉は心に浸透していく。ツバサの瞳には、数多の光が映り、憂いの帯びた眼差しには、何時もと違う落ち着いた印象をもたらし…そして、どこか遠い所に居る印象を受けた。


「わ、分かった。自分を見つける」 

「そうして。そして、君は独りでは無い、君の側には何時も見守ってくれてる存在がいる。認めてくれる、最大の理解者が」

「会った事無いぜ。…会いたいな」

「よろしい。なら、心の中で呼んでみてご覧なさい」


 ジンはとりあえず、目を閉じ、訝しげに呼んでみたら返事が来た。


‐…おーい!‐

‐やっと呼んだか‐

‐うわ!誰?てか姿見せてよ‐

‐やれやれ…目を開けよ‐


 目を開けると目の前に、でかい獅子が佇んでいた。驚いてのけぞったジン。


「んな!?」

「いきなりうるさいぞ。我を呼んだはお主だろうに」

「魔物?」

「そんな獣と一緒にするな!神の位に居るのだぞ!」

「守護神?」

「当たらずも遠からずじゃな」

「じゃあ何?」 

「神獣。本来絶対に人に従わぬ、高潔なる生き物だ!感謝せい!」

「まじ?本物?」

「…ツバサよ感謝する。言わねば気付かぬからなこのアホは」


 ツバサは黙って獅子の顎をなでる。愛おしそうに。


「おい!何で撫でられてゴロゴロ言ってんだよ!」

「うるさいわ!本能だ///」


 ツバサはクスクス笑っている。

 ひとしきり笑うと、また話を切り出した。


「それで、お願いなんだけどね~」

「ああ。何だ?」

「私が居なくなったら、国の仕業だから、アヤメを助けて欲しいの。多分、暴走するから。それと国に喧嘩売らないで」

「……断る!」

「あう…何で?」

「見捨てたくない!どうにかする!」

「どうやって?」 

「……………」


 何も思い浮かばない。


「お前アホか!被害を大きくしない為のお願いだぞ!」

「嫌だ!生け贄みたいじゃないか!」

「「案外鋭い」」

「お前ら―――!」


 否定しないツバサに、何故か感心する獅子に、思わず叫ぶジン。妙に感心されている。


「大丈夫よ。帰ってくるから、多分…」

「多分!?」

「校長が黙ってないわよ。あの人が私達が出会うように仕組んだんだし、たまに覗き見してるもの」

「校長何者?てか変態?」

「変態には賛成!だよね変態だよね!」

「食い付いた!」

「この話は置いといて、校長も私達と同じ神獣使いよ」

「神獣使い?」

「我みたいな物を連れとる奴だ」

「俺もか!」 

「アヤメもだよ~♪」

「まじ?」

「校長がかき集めたみたい。」

「権力ハンパない!」

「この学園の生徒は校長が選んだらしい。皆魔力か何かが秀でる人ばかりだよ。」

「職権乱用ハンパない!」


 あははと力無く笑うツバサと、呆れ顔の獅子、叫び疲れたジンはしばし沈黙する。


「何で俺にしたの?」

「ラングは聞いたら倒れるだろうし、ムウは問答無用で喧嘩売りそうだから」


 納得!もの凄く分かりやすい!


「ジンは人が良いし、明るいから大丈夫かな?って思って」

「案外適当!?校長に言えよ!」 

「校長はもう気付いている。だけど、中立の立場の学園は何もされない内に手出しが出来ない。」 

「何かあったらじゃ遅いよな…」

「仕方なし。人間会社は面倒だ!守りたかったら守ればよいのに立場立場!とまあ人間らしいがな。ツバサよ、校長が動くまでアヤメを助け、待てと言うのか?」

「うん」

「それまで耐えれるか?」

「大丈夫。自分を殺すの慣れてる!」

「ちょよくな…」

「黙っとれ!」

「…はい」

「そなた、その人格も作り物か?」

「そうだよ。とっくの昔に壊れてるから。自分が無いとも言える」


 途端に、ツバサの目から光が消える。


(前に見た表情だ。)

「アヤメは違うのだな?」 

「違う。そこまで出来ない」

「そなた、精神が強いな…いや気高いのか。壊される前に壊れたか。気に入った」 

(どういう事?)


 光の無い目で、此方を向き頭を下げるツバサ。

 そこには、不自然に何もない。

 しかし、此だけ分かった。アヤメを守る為に自分の意志を守る為に、選択したんだと。


(どちらを取るか。無理だ俺には出来ない。例え親友が耐えられないと分かっても出来ない)


「強いな…いや眩しい。ドラゴンみたいに気高いな…」


 とある種のドラゴンは無用な争いをさける為に高山でひっそりと長い生涯を送るという。

 その気高きドラゴンは人間に殺される位なら自分の身を焼くと言う。無様な様を見せないように、孤高の意志を持って。

 大切な物は命をかけて守る。例え勝てないと分かって居ても。 


 人は、真のドラゴン“真龍”と呼ぶ。


「分かった。待つよ」


 自然とそう言っていた…





◇◇◇◇◇


「やはりか。ツバサに隠し事は出来んのう。強い魂じゃ…のうカーバンクル」

「そうだな…主」


 校長に返事をしたのは、猫のような神獣。宝石が額に有るのが特徴だ。

 長年共に居るが、昔からあまり話そうしない。普段、1匹日向でぼんやりしている姿しか教師は知らない。

 こう見えて、かなり考えているのだが…


(しかし、あの強さは異常だ。本当に壊れてるのか?だが、真龍に重なるあの姿にその陰は無い。…まさか王の気質か?まずいな…一国で収まる者じゃないかも知れん!なれば、あの強さに納得がいく。なれば神獣も普通じゃ在るまい。)


 背後にどんな神獣が居るのか…

 杞憂なら良いが…

ジンはこれから成長します。


ご感想お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ