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初めての戦闘

晴「う・・ん、知っている天井じゃない」


目が覚めると同時にそんな事をつぶやく。


晴「確か、美桜に生活できる環境を整えてもらってそれから・・・倒れたんだっけ?」


あの時は、疲労感と倦怠感のせいで能力も使えなかったからベッドに倒れるとすぐに眠ってしまった。

どれくらいの時間寝ていたのだろうか?

それを確認できる要素はここに無い。

一番手っ取り早いのは美桜に聞く事だが、そこで気がついた。

隣を見ると、あった。 何が?って美桜の寝顔が。

うん、やっぱり寝顔も可愛いなって違う違うっ!!

なんで美桜が俺の隣に寝ているんだ!?

しかも首に手を回されているから動く事も出来ない。

混乱している晴夜をよそに当の本人は気持ちよさそうに寝ている。

そんな、姿を見ていると焦っている自分が馬鹿らしく思えてきた。

もう自分と美桜は運命共同体だ。

これから悠久の時を片時も離れずに一緒に過ごしていくパートナーだ。

喧嘩することだって

大きな壁が立ちはだかることだって

これから数え切れないくらいあるだろう。

だがそれでも、二人でなら乗り越える事が可能であると

俺は・・・そう信じている。

って言っても、どうしても異性として見てしまうのは仕方無いと思う。

可愛いのだ。 それもとんでもなく。

そんな子が一緒に寝ているというシチュエーションで平静でいられる男子高校生がいたら、そいつは絶対にオネェかホモのどっちかだ。

絶対にそうだ。

とりあえず、心を落ち着かせる為に素数を数えよう。

2、3、5、7、11、13、17、19、23、29・・・・・・・・・・・・・

素数を数えていると、美桜が目を覚ました。


美桜「んっ、んにゃ~? おぉ、目が覚めたんじゃな。 三日も目を覚まさぬから心配じゃったぞ」


晴「おはよう、美桜。 それしか経っていないのか」


どうやらあれから三日経ったらしい。

もっと、時間が経っているかと思ったが・・・能力がデフォで発動していたから回復が早いのかな?

頭を撫でてやると気持ちよさそうに目を細める。 あぁ、和む。

美桜が起きたので自分も起きて体の調子を確かめる。

うん、疲れは完璧に取れてるけど流石に体がなまっている。

三日も寝ていたのだから当然と言えば当然か。


晴「美桜、ご飯を食べたら早速修行したいんだけどいいかな?」


美桜「妾は構わぬが、食材はどうする気じゃ?」


あっ・・・、すっかり忘れていた。

その日はまず、食料の確保から始まった。

動物は掃いの陣に影響されないように設定してもらったのでそれなりの数がいた。

ちょうど目の前に雉が出てきたので後ろから首を掴んで捕まえる。

羽をバタつかせ足を必死に動かすが虚しく空を切るばかり。

そして口からは絶叫に近い鳴き声をあげている。

本能的に殺されると分かっているのだろうか?

そんな必死に逃れようとしている雉を、予め作っておいた大木の枝を尖らせたもので首を掻き切り、そこから大量の血を噴出して絶命した。

分かってはいた。 覚悟もしていたつもりだったが甘かった。

生前までは、すでに加工された肉を食べていたが今は違う。


美桜「これが、命を喰らうという事じゃ。同時に生きると言う事じゃ。 晴夜、どのように受け止めようが構わぬがあまり思いつめるでないぞ」


美桜の言っている事は良く分かる。 人間だけじゃない、生きる物全てがそれに当てはまる。


美桜「今日は体と心をゆっくり休めるといい。 修行は明日からにしよう」


その言葉に何も答えず、頷く事しかできなかった。

雉の肉はただ焼いただけなのにしょっぱかった。








それから、霊力の修行をしたり、能力の修行(美桜の能力を含め)をしたり、美桜を愛でたり、食料を採ってきたり、美桜を愛でたり、霊力だけじゃなくて体術の修行もしたり、美桜を愛でたり、美桜を愛でたりしているとあっという間に1ヶ月が過ぎた。

えっ? 後半美桜を愛でてしかいないって? 細かいことはいいんだよ。 可愛いんだからしょうがないだろ。

いつものように、霊力の底上げをしていると美桜から一振りの刀を渡された。

鞘は白く、柄には目貫と柄頭に桜の花びらをモチーフにした装飾が施されている。刀身は約75cmくらいで重さもちょうどいい。

まるで、自分のために作られたかのようにしっくり来る。


美桜「晴夜のために、神力で少しずつ創った神刀じゃ。 名前は桜嵐(おうらん)じゃ 気に入って・・・くれたかの?」


訂正、俺のために創られた刀でした。

見ると、美桜の手が荒れている。 ところどころ、切り傷の跡も残っている。

きっと慣れない事をしたから無理が出たんだろう。

俺は両手で優しく美桜の手を包み込み能力を使った。

30秒ほどで元の白魚のように綺麗な手に治ると美桜を抱き寄せた。


晴「ありがと、大切に使うよ。 でも、どうして刀なの?」


美桜「だって・・・刀を振るう晴夜の姿が浮かんだのじゃ。 それが・・・その、かっこよくての///」


そう言って、はにかむように笑う美桜。

これは、剣術も修行の中に組み込まないといけないな。

そんなとある一日のひとコマだった。









それからさらに一ヶ月が過ぎ確実に力も付いてきた。

といっても、中級妖怪に何とか勝てるレベルらしいが。 

憑依を使えばそうそう負ける事は無いが割りに合わないレベルで疲れる。

さらに、空も飛べるようになった。

こっちは、飛んで慣れるしかないが俺は歩くのも好きなのでほどほどに練習している。

そろそろ陣の外に出てもいい頃だろうか?

この世界がどうなっているのか見て周りたい。

そんな欲求が芽生えた。


晴「と言う訳で、散歩に出かけようと思う」


美桜「どんな訳じゃ?」



少年説明中・・・



美桜「ふむ、では行くとするかの」


そう言うと、体の中に美桜の存在を感じた。

一応、自分には家である大木が見えるので迷うという事はそうそう無いと思う。

腰に刀を差し、意気揚々と散歩に出かけた。



少年・護り神移動中・・・



散歩に出かけたはいいが、はっきり言うと飽きた。

どこに言っても、木、木、木。 景色なんていっこうに変わらない。

しばらく歩き続けたが、あった物といえば目の前に広がる自然だけ。

これなら修行していた方がまだ有意義だ。


?「グロアアアアアアアァァァァァァァァァ!!」


もう帰ろうかなと思い始めた頃、後ろから雄たけびに似た鳴き声が聞こえた。

振り返ると、こちらに明らかに殺意の篭った瞳を向けている。

その姿は馬ほどの大きさの黒い体に像の尾と猪の顎と牙を持っていた。

頭には大きくて立派な角が生えている。

前足で足下を数回掻くとこちらに向けて突進してきた。


晴「あぶなッ!!」


不意だったので反応が遅れたが左に飛んで回避した。

どうやら、あっちはやる気満々のようで悔しそうに唸っている。


晴「桜嵐、抜刀!」


刀を抜き、構える。 これが初めての実戦になる。

実力だけで言えば楽に勝てるだろう。

しかし、経験はやはり実戦の中でしか手に入らない。

分かっていてもやはり恐い。

一方的に狩るのではなくもしかしたら狩られるかもしれない。

しかし、こんなところで苦戦するようではこの先生きていけないだろう。

この殺し合い、絶対に勝つ!!

そう、覚悟を決めたと同時に馬みたいなものは突進してきた。

それをギリギリまで引きつけてから右に飛び、弾幕を放つ。


晴「チッ、あんまり効果がないな」


全弾命中したが皮膚が予想以上に硬いのか、かすり傷程度にしかなっていない。

やはり、今の威力ではあまりダメージに繋がらない。

馬のようなものは今ので怒ったのか低く唸っている。

それなら・・・

刀を逆手に構え、相手が突進してくるのを待つ。

警戒しているのか、今度はなかなか攻撃してこない。

どうやら、突進以外のレパートリーが無いようだ。

しかし、痺れを切らしたのか馬鹿の一つ覚えのように芸の無いただの突進を仕掛けてきた。

タイミングを見計らい今度は体をひねってかわす。

その勢いのまま、馬のようなものの脇腹を一閃した。

よく、漫画などで最後の一撃を互いに繰り出しすれ違うような感じの状況だ。

馬のようなものは体が上下真っ二つになり、絶命した。

終わったと同時にその場に座り込み一息つく。


晴「終わったー」


美桜「お疲れ様じゃ、なかなか良かったぞ」


美桜が労いの言葉をかけてくれた。


晴「それにしても、すごい切れ味だな。 斬ったときの抵抗がまるで無かった」


普通ならばどんなに鋭利な刃物でも肉や骨を切る際は必ず抵抗がある。

特に骨なんかは切るのが大変だ。

しかし、先ほどの感覚としては豆腐に包丁を入れるような感覚だった。


美桜「(当たり前じゃ、妾が作った特別性じゃからの)」


美桜が自信満々に応える。

きっと、ドヤ顔になっているんだろうな・・・

そんな事はさておきそろそろ帰るか。

立ち上がり土と埃を払う


晴「よし、そろそろ帰るか」


美桜「(そうじゃの、もうじき暗くなる。 そしたら、妖怪たちの時間じゃ)」


流石に、今相手にするのはしたくないので早足に家へと帰った。


感想・要望まってま~す

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