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事の発端

ミア達と再会してから少し経ったある日の事・・・


それではどぞ~

さて、戦という字を借りた蹂躙から大体一週間が経った。

ミアも姫音も一週間もすればこの山に慣れてきて、何人か友人も出来たようだ。

ルーミアは3日ほど泊まった後、またフラフラとどこかに飛んで行ってしまった。

ルーミア曰く、


ル「私は今までも、これからもあっちこっちをふらふらして、人間がいたらそれを食べるの。 だって、私は闇の王女だもの。 闇はいつでもどこにでも在るんだよ? 私を縛り付けるモノなんて存在しないんだから♪」


と、悪戯をする前の子供のような表情でそう言った。

その後、俯いて若干顔を赤らめながら、


ル「でも、晴夜にだったら・・・・・・・・」


と、そこまでしか聞き取れなかった。

再度聞こうとすると、慌てたようにまた会う約束をして飛んで行ってしまった。

まあ、幸い寿命は腐るほどあるんだ。

楽しみの一つくらい後に取っておかないと、退屈に殺されてしまうだろうしな。

さて、俺は現在進行形で少々困っている。

それは何故かと言うと、


ミア「えへへ~、晴夜様~♪」


姫音「・・・・・♪」


璃「お兄様ぁ~♪」


美桜「(ゴロゴロ♪)」


な、状況の為である。

これだけだと分からないだろうから簡潔に説明すると、


ミア:後ろから首に手を回して抱き付いている状態。


姫音:左腕を抱くようにガッチリとホールド。


璃桜:右腕をガッチリホールドし、指と指を絡ませてくる。


美桜:猫状態で膝の上で丸くなってます。


な、状態である。


美桜はともかく、この三人はあれだ。 いろいろと不味い。

さっきから両腕と首の後ろ部分に柔らかい感触が押し付けられている。

何故こういう状態になったかというと、最初は縁側で美桜を撫でていたのだが、


ミア「晴夜様ーーー!!」


と、ミアが背中目掛けてダイブしてきたのだ。


晴「おわっと!? ミア、もう少し加減してくれ」


ミア「えへへ、ごめんなさい。 あの、しばらくこうしててもいいですか?」


首に回っている腕に少しだけ力が篭る。

まあ、特に問題も無いし、別にいいか。


晴「別にいいよ、せっかくこんなに天気がいいんだから日向ぼっこでもしようか」


ミア「はい、晴夜様!」


そう嬉しそうに笑うと、体を密着させて体重を預けてきた。

時折ミアの息が首にかかるので、少しこそばゆい。


璃「あっ! お兄様こんな所にって、あーーー!! ずるい、ミアだけお兄様にくっついて!!」


俺にくっついているミアを見て璃桜が叫んだかと思うと、開いている俺の右腕へタックルの如く抱きついてきた。

そしていつの間に居たのか、姫音は俺の左腕を占領していた。

背中にミア、両サイドに璃桜と姫音、膝の上には美桜が寝ているのだがそれはまあいい。

三人とも美少女だ、それは間違いない。

十人が十人すれ違えば振り返る程、その容姿は整っている。

それぞれ違ういい匂いは、脳を直接揺さぶって本能を刺激してくる。

長く生きていれば性欲も枯れると聞くが、それは俺にも当てはまる。

こんな状況でも、襲うという考えが浮かんでこないんだからなぁ・・・

能力で興奮を浄化しているというのもあるが。

だがここに美桜が加わって誘われたりしたら俺は、ケダモノと化してしまうかもしれない。

俺だって男だ、仕方ないっちゃ仕方ない。

美少女三人と猫に囲まれながら、ふと呟く。


晴「どうしてこうなった・・・?」


それもこれもあの宴会で、美桜があんなことを言ったからだろう。

三人がこれほどまでに積極的になったのは・・・













新たにミア、姫音、ルーミア達を歓迎する為に宴会を開いたわけだが・・・


鬼1「ヒャッハァァァァー、酒だーーーーっ!!」


鬼2「食いもんもたぁんまりとあるぜーーーーーっ!!」


ドゴッ!! バキッ!! ズガァァァン!!


晴「てめぇら、暴れんなら外でやれぇぇぇぇぇ!!」


ゴォォォォォォォォォオオオオオオ!!!


鬼共「「「「ぎゃあああああああああああ!!!!」」」」


どこに行ってもそうだが、必ずカオスな状況になる。

ったく、鬼達(こいつら)ときたら宴会の度にこうだから処理に困る。

酔った勢いで喧嘩を始めたり、戦闘を始めたり、闘争を始めたり・・・

こいつら暴れてしか居ねぇな・・・

桜舞亭は、美桜の神力のおかげで鬼達が暴れても傷一つ付かないようにしているから心配ないのだが、自分の家で暴れるのを許容できるほど器がでかくないんだよ。

精々、庭が限度だ。


晴「まったく、毎回毎回何とかなんねぇかな?」


鈴華「難しいでしょうね、鬼の性質ですから」


誰とも無しに呟いた言葉に隣で杯を傾けている鈴華が答える。


晴「まあ、騒がしいのは別に嫌いじゃあないからな、ほらまずは一献」


空になっている鈴華の杯に酒を注ぐ。


鈴華「ふふ、ありがとうございます。 では、晴夜さんも」


今度は鈴華が杯に酒を注いでくれる。


晴「おっ、悪いな」


ミアと姫音は皆に挨拶周りに行っているし、璃桜も楓と文とにとり達と飲んでいる。

美桜はまだ寝ているがもう少ししたら起きるだろう。

騒がしいのは好きだが、俺はやっぱりゆっくりと味わいながら飲むのが好きだ。

どうせあと少ししたら絡みにくる奴が出てくるんだ。

今は、この時だけを楽しむとしよう。


そう思っていた時期が俺にもありました・・・




萃「あっははははは、いい飲みっぷりだねぇ!!」


ミア「当然!! まだまだいけるよ~」


文「あやややや、すごいですね~」


姫音「ミア、あまり飲み過ぎると~明日が大変だよ~」


ミア「そういう姫音だって私と同じくらい飲んでるじゃな~い」


勇「どうだい、私と飲み比べしないかい?」


璃桜「いいですわねぇ。 でも、どうせなら皆でやりましょう」


そうして始まった飲み比べ大会。

参加者は璃桜、ミア、姫音、萃香、勇儀で文とにとりがその立会い。

他はそれを肴に酒を飲む。

で、酒を飲み始めて数時間後・・・・・・


ミア「みゃらみゃら飲めりゅんだかりゃ~」


姫音「う~ん、ふらふらしてきました~」


璃桜「ふみゅ~~~・・・」


勇「まさか鬼の私達にここまでついて来れるなんてね」


萃「ま、後は私と勇儀の一騎打ちだね」


そう言って、二人は樽ごと浴びるように飲み始めた。 周りはそれを煽って、囃し立てる。

俺はとりあえず、グロッキー状態の三人を寝室へ運ぶべく三人に話しかける。


晴「ミア、姫音、璃桜、寝るんなら布団敷くからそこで寝てくれ」


姫音「わかりましたぁ~」


ふらふらな状態で姫音は立ち上がったが、ミアと璃桜は完全にダウンしていた。


晴「しょうがないな、美桜はミアを運んで俺は璃桜を運ぶから」


美桜「分かったのじゃ」


璃桜の首と膝の後ろに手を回し、お姫様抱っこで寝室に運ぶ。

寝室にはすでに布団が敷かれていた。

おそらく、妖精達がやってくれたのだろう。

そこに三人を寝かせて能力で、ある程度アルコールを浄化する。

このままだと二日酔い確定だし。


晴「まったく、こんなになるまで飲むなよな」


いくらなんでも鬼に飲み比べで勝とうだなんて、特に萃香と勇儀は鬼の中でも屈指の酒豪だというのに・・・


ミア「だってぇ~・・・」


晴「だってじゃない。 ハァ・・・心配するこっちの身にもなれよ」


夜空に浮かぶ月を見ながら呆れが混じったため息とともにそんな言葉を呟く。

別に聞かせるために言ったのではないが、宴会の喧騒は音遮断結界を張っているため辺りは静かなため、その呟きは4人にも聞こえたようだ。


璃桜「お兄様・・・」


璃桜はこちらを熱が篭った目で見つめてくる。

ミアと姫音は布団で顔を隠しているため、表情は見えないが耳と9本の尻尾がピコピコワサワサと動いている。


美桜「ふむ・・・」


美桜はそんな3人の反応を見て、何か考えるような訝しげな表情をしている。


美桜「のう、おぬし等・・・」


一度言葉を切り、全員の視線を集めてから


美桜「晴夜に惚れているな?」


ニヤニヤと、さも面白いものでも見つけたかのような表情でそんなことをのたまった。

いきなり何を言い出すかと思えば、そんなわけ・・・


ミア「なっなななななな!!?」


姫音「ッ!!?!?!?」


璃桜「お姉様、そんなの今更ですわよ?」


あるぇ~? なにやら物凄く分かりやすい反応をしているのが二人。

ミアは顔を真っ赤にしながら何か言おうとしているが口をパクパクとさせるだけで言葉が出ないようだ。

姫音は、布団を被ってさらに自身の尻尾を顔の辺りに巻きつけている。

唯一璃桜だけは取り乱したりせず、極自然に流していた。


美桜「ま、璃桜は知っておったが二人も晴夜に惚れておるとはのぅ」


ミア「あ、あたし達はそんなんじゃ「別によいぞ」えっ?」


晴「美桜?」


美桜は俺の背中にしな垂れかかってくる。

自分の頬と俺の頬をくっつけた状態で言葉を続ける。


美桜「別に晴夜が好きならそれでよい、晴夜は間違いなくお主らを受け入れるじゃろうからな。 じゃが、これだけは言っておく。 晴夜の一番は妾じゃ」


回した腕に力を入れて抱きしめてくる、なんとも微妙な空気になったがその張本人はすでに我関せずといった様子だ。


晴「あ~、えっと・・・」


何か話題を探そうと頭を巡らせる酒が入っているからだろうか?上手く回らない。

するとミアが、


ミア「あたしは・・・・・・・晴夜様が好きです」


起き上がり真っ直ぐにこちらを見つめてくる。


姫音「私は一生お慕い致します」


姫音は布団から少し顔を覗かせては尻尾で顔を隠す。


璃桜「私は月並みに陳腐な言葉ですが・・・お兄様を愛していますわ」


璃桜だけはやはりいつもどおりだ。

それにしても困った、目の前の少女達から突然の告白。

それも、自分に近しい少女達ばかり。

これが酒の勢いだったらどんなに良かったか。

だがその線は、ありえない。

俺が先ほど能力を使ってしまったから。

ミア達のことは、好きだ。 それは間違いない。

素直に嬉しいという感情もあるが、それ以上に俺には美桜が居る。

それが言いようの無い罪悪感というか、おそらく昔の一夫一妻制が常識としてこびりついているんだろうな。

だが、ここにはそんなルールなんて無い。

受け入れるのは簡単だ、そしてそれなりの覚悟も必要だ。

可愛いだけじゃ動物は飼えない。

飼うにはそれなりの覚悟と責任が必要だ。

今回は、「動物を飼う」が「みんなを悲しませない」になっただけ。

ただ、それだけのことなんだ。

答えなんて・・・最初から決めている。

こいつらに名前を与えた時から、覚悟はしていた。

今更何を躊躇うんだかな・・・

そんな必要なんて無いのに・・・


晴「そうか・・・・・・うん、俺も皆が大好きだ。 皆が俺に抱いている感情とは違うかもしれないけど、皆が愛しいのは間違いない。 それと、分かっているとは思うが俺の一番は美桜だからな」


俺は口に笑みを浮かべながら、ミア達の想いを受け止めることを決意する。


ミア「!! 晴夜様ーーー!!」


姫音「晴夜様ッ!!」


璃桜「お兄様ーーー!!」


美桜「む?皆で晴夜に抱きつくのかの? ならば妾も負けておれんな」


そして、感極まったミア、姫音、璃桜が抱きついてきてそれに美桜も加わって疲れ果てて眠るまでじゃれ合いは続いた。


さて、次はどこに行こうか?



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