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念願の家が建ったよ

紫を返り討ちにした晴夜、そして完成したという家は果たして・・・?


それでは、どぞ~

璃桜「お兄様!!」


妖怪の山の麓まで近づくと、璃桜が駆け寄ってきた。


璃桜「お兄様、お怪我はありませんか!?」


その表情には不安と焦燥が見て取れた。

今にも泣きそうな顔である。


晴「悪い、心配かけたな。 俺は大丈夫だ、傷一つ無いよ」


今は紫を抱えている為、頭を撫でて安心させてやる事が出来ないのがもどかしい。

いっそのこと、放り投げるか?

いや、それは人道的に止めておこう。

それに、まだ聞きたいことがあるからな。


璃桜「あぁ、良かったですわ」


心の底から安堵した表情をしたのも束の間、こちらをジト目で睨んできた。

声に若干の棘があるのは気のせいではないだろう。


璃桜「ところでお兄様、その抱えてらっしゃる女性・・・妖怪は誰なんですの?」


晴「ん~、式神にしようと俺を探し回っていた妖怪・・・かな? 喧嘩売ってきたんで、軽く()してやっただけだ」


璃桜「なっ!? お兄様を式神にしようだなんて、そんなの私が許しませんわ! というか、何故連れてきたんですの!?」


晴「ちょっと聞きたいことがあったんだよ。 そんなことより、新しい家を見に行こうぜ」


璃桜「むぅ~、分かりましたわ。 お兄様がそう言うのなら・・・」


頬を膨らませながら渋々引き下がる璃桜。

そんな可愛らしい仕草を微笑ましく思いながら、天狗の里に向けて飛んでいくのだった。



















晴「たっだいま~~!」


璃桜「ただいま帰りましたわ」


とりあえず、楓や鈴華辺りがいるであろう楓の屋敷に行くと、案の定居た。


楓「お帰りなさい、晴夜さん」


文「あややや、ちょうどいいところに来ましたね」


楓は書類整理を、文はその手伝いをしていた。


鈴「あら晴夜さん、帰っていたんですね」


方角的に広場があった方から鈴華が何かを引き摺ってきた。

心なしか、肌がツヤツヤしているような気がする。


晴「今さっきな。 ところでなんだそれ?」


鈴華が引き摺っているものはよくよく見ると、見覚えのある捻じれた双角と立派な一本角が見えた。


晴「まさか、萃香と勇儀か?」


鈴「はい、ちょうど今再教育として軽く組み手をしていたところなんですよ」


軽く組み手をしていて、鬼の四天王が気絶すんのかよ・・・

萃香も勇儀もとんでもなく強い。

この前戦ったからそれは分かるが、その二人を気絶させておいて息一つ乱さないなんて今の俺じゃまず勝てないだろうな。

あの時、喧嘩売られないでよかった。

鈴華は俺の腕の中で気絶している紫を見て、次に俺の顔を見て言った。


鈴「ところで、また新しい女性をいてこまして来たんですか?」


晴「言葉の意味はよく分からんが、お前の想像しているようなことは起きていないからな。 というか、お前が俺をどんな風に見ているのかがよく分かった」


頬を染めながら胸を護るように腕で隠し、体をくねらせていたら容易に想像がつく。


璃桜「鈴華、お兄様を侮辱しないでくださる?」


鈴「あら、そんなつもりはありませんよ」


また、始まったよあの二人。


晴「はぁ、萃香・勇儀起きているんだろ?」


勇「あはは、ばれていたかい」


むくり、と起き上がる二人に未だ気絶している紫を預ける。


晴「ちょいと、コイツの介抱を頼みたいんだ」


萃「それはいいけど、こいつは誰だい?」


晴「名前は八雲紫、スキマ妖怪らしい」


勇「スキマ妖怪? 聞いたことないね~」


晴「ああ、俺も聞いたことが無い。 ただ一つ分かる事は、こいつは結構強かったことだけだな」


その言葉に勇儀と萃香の目が変わった。

それはもう、新しい玩具を見つけたときの幼子のようにキラキラと輝いていた。


萃「ねぇねぇ、起きたら戦ってもいいの?」


晴「ああ、外傷・妖力ともに目が覚めれば完全に回復しているはずだ。 じゃ、頼んだぞ」


任せときな、と二人は紫を抱えて帰っていった。

大方、酒を飲みながら目が覚めるのを待つつもりだろう。


晴「さてと、にとりはどこに居るんだ?」


もう出来ていると思うからここに居ると思ったんだが、まさかまだ出来ていないのか?


に「帰ってきたんだね、盟友」


後ろから声が掛かり、振り返ると頭だけのにとりが居た。

頭だけである、頭だけが宙に浮いているのである。


晴「お、おいにとりしっかりしろ!? 傷は浅いぞ!」


にとりの頭を両側から掴み、上下左右前後に揺さぶる。

言っていることが可笑しいが、それに気付かないくらい混乱している。

だって、一週間前には首から下があったのに今は首から上だけなのだ。

落ち着ける方がおかしい。

まぁ、棒読みだが。


に「あうあうあう、ちょ、やめ・・・や~め~ろ~よぅ~」


晴「ふむ、じゃあ止めるか」


咄嗟に両手を離すと、転びはしなかったが足下がおぼつかない。


に「どうして、ばれたの?」


晴「いや、だって首より下がたまに不明瞭になるなんておかしいだろ」


に「う~ん、まだ改良を重ねる必要があるな~」


ちなみに、今の悪戯は一回経験した事がある。

まだ永琳が月に行ってない時にやられたのだ。


楓「すごいですね、私はあれを見た時は卒倒しかけたんですが」


苦笑しながら、文と楓が屋敷から出てきた。


文「それでは、そろそろ晴夜様に御披露目といきましょう」


元気よく文が先頭を歩き出す。


晴「また転ぶなよ」


文「むっ、大丈夫ですよ。 もう昔の私じゃないんですから、ってひゃぁ!?」


こちらを振り向きながら歩いていた為、目の前にある小石に気付けなかったようで前のめりに体が崩れた。


晴「!!っと」


ある程度予想していたので、特に慌てず文の腕を掴みこちらに引き寄せる。

まぁ、結果的に抱きしめる形になるがしょうがない。


晴「昔の私が、なんだって?」


文「~~~~ッ///」


俺の腕の中で顔を真っ赤にしている文に向かって、ニヤニヤしながら問いかける。


に「あっははは、かっこ悪いね~」


文「にとりっ!!」


楓「二人とも、そういうのは後にしなさい。 今は晴夜さんを案内するのが先なんですから」


楓の一喝で二人がおとなしくなる。

楓は、ハァとため息を一つ吐き、


楓「それでは行きましょうか」


璃桜と鈴華を呼んで、家のある場所まで楓についていった。










に「どう? 私達の全身全霊を込めて建てた家は?」


晴「何と言うか、うん、でか過ぎ?」


璃桜「大きいですわ~」


目の前に建てられている家。

家というより、屋敷といった方が良いか?

とにかくでかかった。

まず、この時代では有り得ない三階建ての旅館を思わせるような外見。

庭は俺の要望であまり手が施されていないが、池があり四季折々の木やいい感じの岩などもあって、しかしそれらは主役ではなくあくまで脇役。

さらに、この庭に桜を植えるのだ。


晴「すげぇや、こんなに立派な家・・・」


もはや、感動で上手く言葉が出てこない。


に「驚くのはまだ早いよ、今度は中を案内するから」


そう言って中へ入って行くにとりに着いていくと、まず先に案内されたのが風呂だった。


晴「すっげぇ!!」


璃桜「素敵ですわ!」


内風呂はヒノキで作られた大きな浴槽、ご丁寧に男湯と女湯に分けられている。

そして、よくある露天風呂だが混浴になっており、ある箇所だけ丸く土が敷き詰められている。

これも俺の要望で、そこに桜の木を植えるのだ。


晴「よし、やるか」


瞳を閉じて、意識を集中する。

大きさは、この素晴らしい景観をさらに彩りつつ違和感が無いようなサイズ。

先ほどまで何も無かった場所には立派な桜の木が植えられていた。


晴「うん、こんなものだな」


振り返ると、璃桜以外は桜の美しさに見惚れていた。


楓「相変わらず、綺麗ですね」


文「はい・・・」


に「ふわぁ~」


鈴「美しい・・・」


璃桜「当然ですわ、お兄様とお姉様に掛かれば片手間ですわよ」


ふふん、と豊かな胸を張る璃桜。


晴「で、次は?」


に「あ、うん。 着いてきて」


それから案内されたのは台所、居間、書斎、厠、資料室的な部屋、部屋が六つ。

これらが一階にあり、二階は客室が15部屋、三階は大広間で、襖で仕切られているものの全て収納すると三階全てが一つの部屋となり、大宴会が可能なほどに広い。

しかも、小型のエレベーター的な装置があり台所と直結していて料理の運搬が楽なところも魅力的だ。


晴「こんなに良い家、本当にいいのか?」


に「当然だよ、盟友の為にみんな張り切って作ったんだから」


えへへ、と照れくさそうに笑うにとり。


文「張り切り過ぎて、すぐに改造しようとしたんですけどね」


晴「どういうこと?」


文「いろいろなからくり、例えば床板のある部分を踏むと落とし穴が作動する、といった具合のものを取り付けようとしていたんですよ」


に「だって、普通に作ってもつまらないじゃないか~」


楓「だからって、晴夜さんに内緒で取り付けようとしてはダメです」


にとりは不満げに頬を膨らませる。

にとりには悪いが、楓や文が全力で阻止してくれたお陰で家に居ても寛げないという事態は避けられたようだ。


晴「ありがとな、二人とも。 さて、最後の仕上げをやりますか。 (準備はいいか、美桜?)」


美桜「(いつでもいけるのじゃ。 ふぁ~)」


まだ眠いようで、欠伸を漏らしているがまあ大丈夫だろ。

拍手を打ち、髪が白く染まっていく。

完全に染まりきったところで、今度は頭に猫耳が、腰から尻尾が生えてきた。

これで準備完了。


晴「それじゃあ、いきますか」


神力を使い、能力を発動させる。

瞬間、辺りに桜の花びらが舞い踊る。

そして気付けば家の周り、庭にはたくさんの桜の木が生えており、それらはこの新しい家を護るかの如く威風堂々と佇んでいた。


晴「ふう、これで本当の意味で完成だな」


さて、この家の名前はどうするか?

決して枯れる事の無い桜花に護られる家・・・

そして、絶えず桜の花びらが舞う家・・・

うん、月並みだけどこれが一番しっくり来る。


晴「桜舞亭(おうまてい)、今日からこの家は桜舞亭だ」


俺と美桜と璃桜、そしてあと数人が暮らすことになる家がここに完成した。
















その頃、とある屋敷で・・・


紫「う、う~ん・・・ここは?」


私は確か、遂に目的の人間を見つけて・・・


紫「痛い目を見せようとして、返り討ちにあったのね」


まさか、あれほどの力を有しているなんて思っても見なかった。

ぱっと見、普通の人間で霊力も並にしか見えない。

しかし内包している力は凄まじく、ゆえに私の反則じみた能力で封じたはずなのに。


紫「あっさりと負けてしまったわね」


私の妖力弾を喰らい尽くしてなお衰える事の無い、まさに雨の如し弾幕をあの人間は放ってきた。

何時の間に私の能力を解除したのか分からないが、私の記憶はそこで途切れている。


紫「そういえば、傷が無い?」


おかしい、いくらなんでも意識が落ちる前に負った傷は一日二日で全快するものではなかった。

それに、衣服も元通りになっている。

晴夜が何かしたのだろうか?

思考の渦に飲まれようとしていたのを、誰かが近づいてくる音によって中断された。


萃「おっ、起きたようだね。 気分はどうだい?」


紫「えっ? ええ、悪くないわ」


話しかけてきたのは、鬼だった。

それも容姿と妖力の大きさからして、間違いなく鬼の四天王、伊吹萃香だ。

そんな大物が目の前に居ることに、少なからず緊張していた。


紫「貴女が助けてくれたのかしら?」


萃「うんにゃ、私達はただ頼まれただけさ。 知っているだろ、星月の晴夜だよ」


!! まさか、晴夜の名前が出てくるとは思わなかった。

鬼である伊吹萃香が人間の頼みを聞くと言う事は、晴夜は萃香に認められていると言う事だ。


萃「ところで、名前は? 私は鬼の伊吹萃香だよ」


紫「私は八雲紫と申しますわ。 あの、一つ聞いてもいいかしら?」


萃「ん? なにさ?」


紫「貴女は晴夜と戦った事があるのかしら?」


萃「ああ、あるよ。 いや~、コテンパンにやられちゃってさ、その後勇儀とも戦って勝った後すぐに倒れちゃったんだよね」


笑いながら話す萃香の瞳には、悔しさよりも嬉しさの色が強く現れていた。

っというか、鬼の四天王と連戦して勝つって・・・私はとんでもない人間を式にしようとしていたのね。

下手すれば殺されてもおかしくは無かった。


萃「ところで、体の調子はどうだい?」


紫「えぇと、かなり良い感じだわ!」


本当に体が軽い。

今なら、何でも出来そうな気がするくらいだ。


勇「おっ、起きたのかい?」


今度は別の鬼がやってきた。

容姿から見て、星熊勇儀だろう。


勇「私は星熊勇儀だ。 早速だが、私と勝負だ!」


・・・・・・は?


萃「ダメだよ、勇儀! 今から私と戦うんだから!」


紫「ちょ、ちょっと!?」


勇「何を言っているんだい? あんたは晴夜の時に先に戦ったじゃないか、今度は私の番だ」


勝手に話が進んでいく。


紫「ちょ、ちょっと待って!? どうして私が貴女達と戦う事になっているの?」


訳が分からない。

確かに鬼は戦いを好む性格だが、正々堂々がモットーのはずだ。

病み上がり相手に戦うわけが無い。


勇「晴夜が言っていたよ、あんた強いんだってね」


萃「それに、晴夜の能力で疲れや傷は全部治っているはずだから最高の状態のはずだしね」


鬼二人は、とても嬉しそうに笑っている。

そんな二人に両腕を捕まれ、


勇「さあ、行こうか」


萃「晴夜が強いって言うくらいだから楽しみだね」


紫「イヤァァァァァァァァァァ!!!!」


その日、妖怪の山に一人の妖怪の悲鳴が響き渡った。


紫好きの皆さんごめんなさい(_)

作者は別に紫のことが嫌いなわけじゃないんだよ?

本当だよ?


感想待ってま~す。

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