能力と修行
何故だ!?
何故、メインよりもサブの方がすらすら書けるんだ!?
それでは、どぞー
目が覚めると、そこは先ほどの森でした。
晴「あれ? 夢だったのか?」
夢の中で自分が行った行動を思い返す。
浮かぶのは美桜の顔、そして唇。
そんな彼女と俺は・・・
・・・・・・・・・・・やっぱやめればよかった。
血液が顔に集中するのが分かる。
ぁぁぁあああああああ、ヤバイ! 恥ずかしすぎる!!
ここに鏡があれば確認できただろうが、きっと首まで茹蛸のように真っ赤に染まっている事だろう。
高校生が一人でもんもんと悶える姿は端から見れば、変人か変態のレッテルを貼られてもおかしくないキモさだが幸い周りに人は居ないのでそんな事は気にしない。
晴「生まれて初めてキスした相手があんなに可愛い子なんて、ハッ! そういえば美桜は?」
美桜「(妾ならちゃんと居るから安心するのじゃ)」
頭の中に美桜の声が響いた。
良かった、消えないで済んだんだな。
その事に安堵してると、今の状況について美桜から説明がされた。
護り神説明中・・・
少年静聴中・・・
美桜の話によるとこの世界は俺が居た世界と同じだけど違う、いわゆるパラレルワールドのうちの一つで歴史の授業でやった事なんかは干渉しない限り大抵歴史通りに事が進むんだそうだ。
歴史ってあまり興味ないからどうでもいいけどね。
それにかなり昔らしく、妖怪が生まれ始めた頃の時代だそうだ。
妖怪は人の恐怖等から生まれるのでどこかに人が居るかも知れない。
しかし今の俺は妖怪に遭遇したらすぐに食べられてしまうから修行する必要があるとも言われた。
それから美桜のことだが、護り神になったはいいがまだ魂が馴染んでおらず時間が掛かるようだ。 ざっと、100年くらい。
どうやら俺の肉体に俺の魂と美桜の魂が一緒に入っている状態で身体は人間のままだが老いる事がなく、身体能力と耐久性が人外レベルになっているという。
だけど、護り神だから離れられないと言うわけではなく美桜自体も顕現出来るみたいだ。 あまり使う機会が無いとは本人の談。
護り神になった事で美桜の力を全て使えるらしいのであとでいろいろためしてみよう。
あと、一時的だが美桜を俺の身体に宿らせる事が出来るらしい。
でもそれは、俺の身体に相当な負担が掛かるのであまり乱用はできないそうだ。
また美桜の力は俺との絆の強さがそのまま力へと変換されるもので今でもそれなりに量があるとうれしそうに笑っていた。
こんなところかな?
状況説明が終わったところでこれからどうするかを話し合う。
美桜「(やっぱり、まずは修行じゃろうな。 自分の身を護れるくらいには強くならないと話にならん)」
晴「だな、世界を見て周るにしても襲われて死にましたじゃ笑えねぇ」
と言う事で、これから修行する事に決まった。
まずは、自分に能力があるかどうかを確認する。
この世界では、能力を持っている人間や妖怪が居るらしく美桜も持っていた。
美桜の能力は【桜花を司る程度の能力】と【火と水を操る程度の能力】と言い、【桜花を司る程度の能力】は桜を咲かせる事はもちろん桜の木を出現させる事もできる。
しかもただの木ではなく、神力を持った神木である。
戦闘でもかなりの力を発揮するらしいがそれはまだ秘密だ。
【火と水を操る程度の能力】は、その名のとおり火と水を操る事ができる。
っと、話がそれたな。 目を閉じ意識を集中させると、自分の中に何かがあるのが分かる。
晴「見つけた!」
頭に能力の名前が浮かんでくる。
【癒しと浄化を操る程度の能力】
・・・・・・、使い道分かりやすっ!!
いや、これはこれで使えるな。
RPGでも回復は必須だし。
美桜「(癒しと浄化か・・・確かに晴夜に抱きしめられたときすごく癒されたな///)」
顔を見なくても照れているのがわかる。
あーくそ、こっちまで恥ずかしくなるじゃねえか!
能力については後でやるとして、次は霊力だ。
掌に意識を集中して、球をイメージする。
すると、青白い光とともに小さな球が出現した。 さらに集中すると少しずつ大きくなっていく。
大体、バレーボールくらいの大きさで限界が来てしまい、球も霧散した。
なんだか、すっげぇ疲れた。
美桜「(ふむ、初めてにしては上出来じゃな。 今のが霊力で作った弾じゃ。 これをたくさん作れるようになればそれなりに戦えるようになるのじゃが今の霊力ではあれが限界じゃな)」
うえー、あれをたくさん作れる気がしねーよ。
それにしても、霊力使っただけでこんなに疲れるものなのか?
美桜「(今はまだ霊力が少ないからそれくらいで疲れるが、量が多くなればそれも苦ではなくなるぞ。 ちょうどいい、能力を使って疲れを癒してみたらどうじゃ?)」
なるほど、それは名案だ。 他の修行をして疲れたら今度は能力の修行に入ることができる。
なんて効率がいいんでしょう。
さっそく、能力を使って疲れを癒す。
すると、みるみる体力が回復していくのが分かる。
しかし、霊力の回復速度はあまり速くなかった。
まあ、容量が少ないからすぐに全快するけどね。
すると、ある一つの変化があることに気がついた。
晴「なんだか、さっきよりも微妙に霊力が増えているような?」
そう、ほんの僅かだが確かに霊力が増えていた。
数値に換算すると、総容量100に対して、約0.01のプラスくらいだ。
美桜「(霊力は神力と違ってギリギリまで使う事で若干じゃが、量を増やす事が出来るのじゃ。 晴夜の場合は能力で回復できるからいんたーばるが短いのが強みじゃな)」
無理して横文字使うなよ、不自然になってる。
しかし、この方法なら霊力と能力を効率よく鍛える事が出来るな。
しばらくは、この方法で霊力の底上げと制御、能力の制御をスローガンとしよう。
修行の方針は決まったがまだいくつか問題が残っている。
それは、雨風をしのげる寝床、つまり家が無いのだ。
寝ている最中に妖怪に食われましたじゃ笑えない。
それに、食料の確保も必要になってくる。 まあ、食料に関してはそこら辺にいる動物だったり木の実を食べればいい話だが・・・
幸い、美桜のおかげで火と水には困らないみたいだが。
とにかく、寝床の確保が必要になってくる。
出来れば、強くなるうちは誰にも見つからない場所で過ごしたい・・・
そう思うのは、贅沢だろうか?
その事で悩んでいると美桜が、名案が浮かんだとばかりに話しかけてきた。
美桜「(そうじゃ! 妾の力で大木を創りその中を住めるように加工するのはどうじゃ? それなら、妾もその周辺でなら長時間顕現できるし、妾が掃いの陣を敷くから誰も寄ってこれん)」
確かにそれが出来るなら名案だ。 しかし・・・、
晴「大丈夫なのか? それってかなり神力を使うんじゃ?」
それだけの事を今の神力で出来るとは思えない。
大木だって、人が生活できる大きさとなると樹齢1000年でも足りるか分からない。
美桜「(大丈夫じゃ。 晴夜が妾を信じてくれればそれが力になる。 それに、一から創るのではなく、周りの木を桜の木にして一つに纏めるだけじゃ。 そこまで大変ではない)」
晴夜「そっか、なら頼むよ」
美桜「うむ、それでは少しの間身体を借りるぞ」
目を閉じ、体の力を抜く。 すると、胸の辺りから徐々に美桜の存在が広がっていくのを感じる。
体全体に行き渡った時、身体に変化が起きた。
まず、髪が長くなり色は白に染まった。 次に腰の辺りがむずむずしたかと思うと髪の色と同じ尻尾が生えてきた。 最後に頭の上にぴょこんと猫耳が生えた。
猫耳と尻尾を装備した青少年の出来上がりである。
・・・・・、誰得!!?
しかしこれが憑依か~、体の支配権は美桜にあるけど・・・。
美桜「さて、それでは始めるかの」
美桜は両手を前に伸ばし手だけをクロスさせ、命じた。
美桜「我、木花咲耶姫神が命ずる。 周りの木々たちよ、我の声に応え桜と化し、一本の大木へと其の姿を変えよ!!」
美桜がそう叫ぶと、周りの木々が一瞬で桜の木となり光の玉となった。 それらが一つに集まり、光は巨大な樹木へと姿を変えた。
美桜「いい感じじゃの、お次は・・・」
美桜が大木に触れると、大木に扉が現れた。
中は、それなりに広く、二人で生活するには十分な広さだった。
ご丁寧に木製の食器や棚、テーブルにイスなど家具も完備されており全て木製だった。
流石に、水道などは無いが松明が明かりの代わりになるようだ。
美桜「中はこんな感じかの、最後に掃いの陣を張って終いじゃ」
そう言って外に出ると、何事かつぶやいた。 すると、大木の半径100メートルのあたりに桜の花びらが円を描いた。
美桜「これで、陣の完成じゃ。 一応、誤認の陣も張っておいたから見つかる事はまず無いじゃろ。 そろそろ身体を返すぞ」
急に身体が自由に動かせるように・・・ならなかった。 ものすごい疲労感と倦怠感に襲われそのまま地面に崩れ落ちそうになるところを顕現した美桜に支えてもらった。 声すらまともに出す事が出来ない。
負担がものすごいとは聞いていたけど、これはキツイな。
美桜「大丈夫・・・じゃなさそうじゃの。 今寝床に連れて行くからの、頑張るのじゃ」
なんとか、意識を繋ぎ止めて大木の中へと入っていく。
ベッドには桜の花びらがこれでもか、と言うくらい敷き詰められていた。
そこに倒れこむと同時に桜の香りが鼻をくすぐる。
優しい匂いに包まれながら、ゆっくりと意識を手放した。
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