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いい日旅立ち(前編)

宴会の次の日、目を開けるとそこには・・・?




最近仕事が忙しいぜ・・・ors


それでは、どぞー

目が覚めると目の前には天鈿女の顔があった。

あれ?前にも同じ事があったような?

これが所謂デジャビュって奴か?

お互いの距離は相手の息がかかるくらいに近い。

それでも平静を保っていられるのは永い時間を美桜と一緒に過ごしていたからだろうか。

とりあえず、体を起こそうとするが動かない。

どうやら頭をがっちりと腕でホールドされているようだ。

しかも、最悪なことに女性とはいえ神なので物凄い力で抱き寄せられ、天鈿女の胸に顔を埋めた姿勢になる。

柔らかな感触と女性特有の匂いに一瞬理性が飛びかける。

傍から見れば俺が寝ている天鈿女の胸に顔を埋めているようにしか見えないだろう。

まずい、こんなところ誰かに見られたら完全に誤解される。

どうにかして脱出しようともがくがその度に、


天鈿女「・・・っん、あっ、・・・・はぁ・・・」


と、艶かしい声が漏れる。

・・・・・・流石にまずいな、というか離れようとすると腕に力が入ってそれを阻止しようとしてくる。

実は起きているんじゃないだろうな?

しかし、どうにかして状況を打破しなくては俺が危ない(主に立場的な意味で)

そうだ、美桜に助けを求めてみよう。

この際仕方ないが後で事情を話せば分かってくれるだろう。

ある程度の念話が使えるので、助けを呼ぶ。


晴「(美桜、助けて!主に俺の理性がヤバイ!)」


美桜「さっきから、ここにおるぞ?」


声を聞いた瞬間、背筋が凍った。

顔を見なくても分かる。

完璧にご立腹だ。

って言うか、さっきから居たんなら助けてくれたっていいんじゃないか?


美桜「晴夜、妾というものがありながら何じゃ、その状況は? 随分と楽しそうだのう?」


ここまで、怒った美桜は久々だな。

これは、今夜は覚悟しないといけないな。


晴「(とりあえず、助けて。 話はそれからゆっくりとしよう?)」


美桜「そうじゃな、この状況を見ているのは流石に限界じゃ」


美桜は天鈿女の腕を左右に広げ、その隙に俺は脱出した。


晴「はあ、助かったよ美桜」


顔を見ると明らかに不機嫌だった。


美桜「ふん、いいご身分じゃな」


俺が居る方向とは違う方にそっぽを向ける。

尻尾も不機嫌そうにゆらゆらと揺れていた。


晴「ゴメンな、美桜」


後ろから抱きしめる。

例え自分が悪くなくても、男女間の喧嘩は男が先に謝れば大抵は丸く収まる。

今回は現場に美桜が居て、事の成り行きを見ていたからそこまで荒れはしなかったが、これがその瞬間を見ただけなら確実に彼女を傷つけていただろう。


美桜「まあ、晴夜が悪くないのは分かっているのじゃがどうしても不安になるのじゃ」


美桜の体が震えているのが腕を通して伝わってくる。


美桜「もう妾は、晴夜無しでは生きられぬ。

こんな事を言える立場でないのは分かっておるが、だg・・・んむぅ」


こちらを向かせ、美桜の言葉をキスで強引に塞ぐ。


晴「・・・っん、俺はそんなに信用ならないか?」


真っ赤な顔をしながら首を横にふるふると振る。


晴「それに、美桜に対する気持ちはちょっとやそっとじゃ震えもしない。

俺は、美桜が大好きだからな」


はにかみながら言うと、さらに美桜の顔が赤くなった。

顔を見られたくないのか俺の胸に顔を埋める美桜。

実はこの行為自体かなり恥ずかしいのだが言っても今の美桜には聞こえないだろう。


美桜「バカモノめ」


美桜は抱きつく力を強め、俺は優しく美桜の頭を撫でた。

そうやって、今日一日が始まる。






ちなみに、神奈子と天鈿女は二日酔いで早々にダウンしていた。











あれから3ヶ月が過ぎ、今はミアと姫音の修行に付き合っている。

修行開始当初は、見た目10歳前後だった二人は晴夜よりも少し年下くらいの美少女に成長した。

身体が成長した事で、リーチが伸び、素早さも格段に上がった。

もはや周りの花びらなど在って無いような程に立ち回りが良くなった。

これなら、大妖怪ともいい勝負が出来るだろう。

そして、二人の尻尾は5本になり、同時に能力が開花した。

ミアの能力は、【波を操る程度の能力】らしい。

波と付く言葉なら例外無く操れるみたいだ。

試しにかめ○め波をやらせてみたら普通に出来た。

他にも波動なんかも操れるみたいだ。波動ってのがどんな物かは分からないけど。

姫音の能力は、【音を操る程度の能力】らしい。

音を消したり、声量を増やして超音波とか衝撃波としても使える。

超音波は結構使える。 波長が合えば物質を破壊する事も出来るし、ある程度相手の動きを束縛する事も出来るなかなか強い能力だ。

ちなみに、二人の能力を合わせるととんでもない事になる。

姫音がとにかく広範囲に音を響かせ、ミアがあらゆる物質の波長に合わせると範囲一帯が荒野と化す。

まさに滅びの歌だ。

そして、二人はそれぞれの能力を駆使して俺に一撃当てる為に全力で攻撃してくる。


ミア「姫音!!」


姫音「了解!!」


姫音が立ち止まり、大きく息を吸う。


姫音「~~~~♪」


姫音の声を聞いた瞬間、体が重くなった。

声で脳を刺激して、体の自由を奪う技だ。


晴「くっ! だけど、まだまだ!」


多少体の自由を奪われた程度では、相手の攻撃に当たるような年月は生きていない。

姫音に意識を集中していたせいで、ミアが何時の間にか頭上にいることに気付くのが遅れた。


ミア「喰らえっ!」


かかと落しを放ってくるがそれを前転でかわし、背後に着地する瞬間を見計らい回し蹴りを叩き込む。

それを避けるのでは無く、あえて受け流し足をがっちりとホールドする。

そこに姫音が妖力弾を放ってくる。

ミアは能力で自分の身を守る事が出来るのでこの方法はなかなか有効だが、


晴「俺には少し届かないな」


強引にミアごと妖力弾を蹴る。

しかし、ミアの顔は笑っていた。


ミア「かかった!!」


ミアに妖力弾が触れた瞬間、まるで水面に石を投じたように波紋が出来、ミアが妖力弾をすり抜けた。


晴「なっ!!」


妖力弾はそのまま進んで、俺は始めて弟子の攻撃をその身で受けた。







ミア「やったの?」


姫音「分かんないけど、相手の戦闘不能を確認するまで気を抜くなって晴夜様はいつも言っていたよ」


砂埃が晴れると、そこにはさっきと変わらない姿で晴夜が立っていた。


晴「二人とも、よく頑張ったな。 最後の攻撃は流石に虚を突かれたよ」


とても嬉しそうに笑っていた。


ミア「と、いうことは?」


晴「俺はさっきの攻撃をモロに喰らったよ」


それを聞いた瞬間、


ミア「やったーーー! 遂に晴夜様から一本取ったんだーー!」


姫音「うん!! 二人で頑張ったかいがあったね!!」


二人は飛び跳ねたり、抱き合ったりしながら全身全霊で喜びを表現していた。


晴「これで、修行は終わりだ。今までよく頑張ったな」


二人の頭を撫でてやる。

二人の顔がにへら~ってな感じになった。

これで、思い残す事は無くなった。


晴「さて、ここからは少し真面目な話をするよ」


晴夜の雰囲気が変わったのを感じて、二人もはしゃぐのを止め聞く姿勢となっている。


晴「俺は・・・・・・・この地を出ようと思う」


ミア・姫音「「・・・・・・え?」」


二人は固まっている。

まるで、突拍子も無い事を聞いた時のように。


晴「前々から考えていたんだ。 ここに居ついて大体100年ちょっと、そろそろ別の地も見てみたいと思ってね」


本当はここまで長居をするつもりは無かったがミアたちの修行の件があった為、今まで先送りにしていたのだ。

それも、今日でかたが着いた。


晴「二人が一人立ち出来るまではと思って先送りにしていたけど、それも今日で解決したしね」


二人は目に涙を浮かべて言葉を聞いている。


晴「ほらほら、そんな顔するなよ。 もう二度と会えないわけじゃないんだ。 俺は不老だし、二人は妖怪だろ? なら、生きてさえいればまたどこかで会えるさ」


そう言って、ポケットからペンダントを二つ取り出し、二人の首にかけてあげる。

ミアには波と桜をモチーフに、姫音には音符と桜をモチーフとした銀色のペンダントだ。


晴「それは、俺から二人へのプレゼントだ。二人を護ってくれるようにおまじないもかけておいたし、この縁が切れないようにって願いを込めて創ったんだ」


胸元で光るペンダントは二人にとてもよく似合っていた。


ミア「晴夜さまぁ~」


もう我慢できないようで、ぼろぼろと涙をこぼすミア。


姫音「泣いちゃダメだよ、晴夜様が・・こ・・・ま・・・る・・か・・・」


姫音も我慢できなくなり、ぼろぼろと泣き出してしまった。

そんな二人を優しく抱きしめ、


晴「今まで楽しかったよ、俺の大事な大事な家族」


しばらくして、泣き止んだ二人と再会の約束をして守矢神社へと飛んだ。








美桜「晴夜、泣いておるのか?」


美桜にそう言われ、頬に手を伸ばすと一滴の雫に触れた。


晴「あれ? ホントだ」


意識した瞬間、ボロボロと涙が溢れてきた。

やっぱり、自分もあの二人と別れるのが辛かったんだろう。

それでもあの場で泣かなかったのはせめてもの意地かな。


美桜「そんなに辛いなら、二人も旅に同行させればよいのではないか?」


晴「いや、二人には俺の居ない状況下でいろんな事を知ってもらいたい。 俺から教えるのは簡単だけど、自分で気が付いて得た経験は必ずいい方向に転がるはずだから」


それに、二人はちょっとやそっとじゃ負けないくらい強くなった。

力だけじゃない、格上と戦う時の兵法や立ち回り方等戦闘における技術は知ってる限り教えた。

あとは、それを実践でどう活かせるか、それを経験させたいから旅の同行は話に出さなかった。


美桜「それにしては、あのペンダントに随分と力を注いでおったようじゃが?」


ばれてたか。

確かに二人のペンダントには、厄災から身を護るほかに封印の術が効かないように細工をした。

流石に、まだ数に押されかねないからな。


晴「だって、心配だろ?」


俺がそう言うと、美桜は声を上げて笑った。


美桜「そう言うと思っていた」


嬉しそうに笑い、後ろから抱き付いてきた。











晴夜が飛び立ってから見えなくなるまで手を振っていたが遂に見えなくなった。


ミア「これからどうする?」


陣に掛けられていた制限の効果は無いが妖力は最小限に抑えている。

晴夜様曰く、脳ある鷹は爪を隠すのだそうだ。

はっきり言って、あまり実力を誇示するなとしか解釈していない。


姫音「う~ん、私達も晴夜様みたいに旅でもする? そうしたら、旅先でばったり、なんてあるかも知れないし」


ミア「いいね、それ!そうしよう!」


元気よく賛成するミア。

会えるのを待つのではなく、こちらから探せばあるいは早く再開できるかもしれない。

そう思って、提案したのだがミアも賛成のようだった。


ミア「ねぇ、姫音?」


急にさっきとはうって変わって、真面目な雰囲気になるミア。


姫音「どうしたの、ミア?」


ミア「姫音はこれから何の為に強くなるの?」


姫音「えっ?」


何の為に? 修行を始めた当初はただ生きる為に必死だった。

でも、今は違う。 ちょっとやそっとじゃやられない位には強くなったし二人がかりとはいえ、大和の神々を単騎で退け、猫神と呼ばれる晴夜様に一撃入れることが出来たのだ。

もはや、ただ生きるだけなら十分過ぎる力を手に入れた。

それじゃあ、私は何の為に強くなるのだろう?

そもそも、これ以上強くなる必要があるのだろうか?

そんな事を考えていると、ミアが口を開いた。


ミア「あたしはね、晴夜様の役に立てるように強くなりたい。今はまだ弱いけど、いつか晴夜様の背中を護れるくらいに強くなりたい。 そして、ずっと側に居たい。 姫音はどう?」


ミアの考えを聞いて、今までの考えが全て吹き飛んだ。

そうだ、私達を強くしてくれたのは他でもない晴夜様だ。

私達に本当に多くのものをくれた。

でも私達は、一切恩返しをしていない。

それなら、恩を返す為に強くなろう。

それに、私もあの人と一緒に居たい。


姫音「私もミアと同じだよ。 晴夜様に恩返しできていないもん」


そう言って、二人は笑いあう。

いつかまた、出会う日が訪れるまで二人は今以上に強くなると決意した。


悩みに悩んだ結果、今しばらくは美桜と二人旅をする事にしました。

ミア達の同行を期待していた皆様には本当に申し訳ないです。

ですが、必ず再登場させますのでご安心を。


感想・要望・誤字指摘待ってます。

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