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琴線

負けてしまった諏訪子を抱え帰ろうとした晴夜の前に謎の人物が立ちはだかる・・・


それでは、どぞー

?「何を寝ぼけたことを言っているんだ? 敗者は勝者に従うのが道理。 一刻も早く、我らは信仰が欲しいのだ。 そこの愚神を叩き起こしてでも今すぐ終戦後の処理をしてもらわねば」


その声の主は、あのふざけた内容の交渉条件を突きつけてきた神達だ。

見ると、神兵達もその背後に控えている。

それを困惑した様子で止めるのは神奈子だ。


神奈子「何をふざけた事をのたまっている!」


?「ふざけているのは貴女だ。こやつは祟り神、本当なら首を撥ねてでも危険因子は潰しておくべきなのだ」


神奈子「何を「どけ、神奈子」晴夜?」


自分でも驚くほど低く冷たい声が出ていた。

こいつらは、俺の大事なもんを汚した。

神奈子の前に立ち、冷ややかに相手を見据える。


?「ふん、この前の人間か? 少しは力があるようだがこの大群を前にしてあの時と同じ態度でいれるかな?」


随分と余裕のある顔だな。

まあいいさ、全員ぶっ飛ばす事に変わりは無い。

諏訪子をミシャクジ様に任せて前を向く


晴「お前ら、諏訪子を馬鹿にしたな?」


まずは、霊力を開放する。

普通の人間と比べると異常なほど多いが、性能で勝る神力を持った大群はその程度では歯牙にもかけない。


晴「俺の大事な家族を・・・実力に差があるのが分かっていても、全力を尽くした小さな神を馬鹿にしたな?」


次に魔力を開放する。

二つの力は螺旋を描くように自分の体から溢れている。

初めて魔力を感じるのか、少々戸惑っているがまだ余裕は消えていない。

そうでなくちゃ困る。この程度で怯まれていたら、本気を見せる前に終わるじゃないか。


?「唯の人間と思って侮っていたようだな。 だが所詮は一人、この人数を前にしては無力も同然」


ごちゃごちゃ、うるせーな。

さっさと、かかって来いよ。

こっちは、腸煮えくり返ってんだ!

その場から全速力で移動し、右翼にいる神兵の一人の腕を刀で切断する。

リーダー格の神達からは、俺が消えたように見えただろう。

そして、腕を斬られた奴はようやく自身の腕が無い事に気付いた。

そして、


?「あ?アアアアアアアアアアァァァァ!!!」


腕を斬られたことによる激痛で、絶叫した。


?「なっ!?貴様、いつの間に!?」


おいおい、今のも見切れていないのかよ?


晴「弱いな。こんなのが神だなんて、呆れて笑えもしない」


だけど、手加減はしない。

それ相応の報いを受けてもらう。

霊力と魔力を包むように神力を開放する。


晴「命までは取らないが五体満足で帰れると思うなよ?」


?「それは、神力!? 何故だ? 何故、唯の人間が神力を持っている!? それに何だ、この量は!?」


ようやく、自分が誰に喧嘩を売っているのか理解したか。

今更謝っても許さないけどな。


晴「(やるぞ、美桜! こいつら、絶対許さねぇ)」


美桜「(うむ、全力で行くぞ)」


最後に、美桜を憑依させる。

自分の姿が髪は白く猫耳が生え、尻尾が生えた。


晴・美桜「覚悟しろよ? 雑魚共!」


二人の怒りを象徴するかの如く背後に巨大な桜の木が出現した。











私は今、夢でも見ているんだろうか?

目の前では、信じられない光景が広がっていた。

たった一人に、大和の国の神々で編成された大群がまるで赤子の手を捻るが如くあしらわれていた。

周りには大群を取り囲み、逃げ場をなくすように桜の木が生えており、これは晴夜が出した物だろう。

晴夜は、次々と手に持っている刀で神々を切り捨て、火と水の弾幕をばら撒き、周りで舞っている花びらに神兵が当たると小規模な爆発を起こして吹っ飛ばしていた。

本当にあいつは何者なんだろうか?

彼は、自分は人間だと言っていた。

だが、人間にしてはこの力はおかしすぎる。

明らかに、人間の範疇ではない。

そういえば、彼はあの砦でなんと言っていた?


――最近では、『猫神様』なんて呼ばれているけどな――


猫神・・・猫神の名前なら何度か耳にした事がある。

人間だろうと妖怪だろうと助ける白い髪に猫の耳が付いた神がいると。

情報では、男とも女とも言っていたが。

それが、彼だったのか。

あの時はいまいち、ピンと来なかったが今なら納得できる。

しかし、分からないのはあの巨大な神力の出所だ。

私でさえ、あれほどの神力は持っていない。

それに、何故あれほどの神力を持っているにも関わらず最近まで名前を聞かなかった?

考えれば考えるほど謎が深まる。

どうやら、そろそろ終わるようだ。

立っているのは、リーダー格の5人と晴夜だけ。


神奈子「なんにせよ、本人の口から聞くのが一番手っ取り早いかね?」


これが終わったら、いろいろと聞いてみよう。

そう思いながら、意識を晴夜達へと向けた。











?「貴様はいったい何なんだ!?」


目の前のうちの一人が叫ぶ。

既に腰は引けており、先ほどの威勢は微塵も感じられない。


晴「答える義務は無いが、あえて言うなら『猫神』と呼ばれている」


それを聞いて、驚いたように目を丸くする。

あぁ!一挙手一投足がいちいち腹立つ。

俺こいつら、とことん好きになれねーわ


晴「そろそろ、終わりにするか。 飽きたし」


こいつらと言葉を交わす必要性を感じないし。

右手を上げると、周りから花びらが集まってくる。

それら全てが相手に向けて飛んでいく。


?「ま、まってk」


次から次へと花びらが被弾し、もはや爆発で悲鳴さえ聞こえない。

あ~、すっきりした。

ああ、でもここの後処理はどうしよう?


神奈子「ここの片付けは私達がやっておくから、あんたは洩矢のところに行ってやりな」


すると、何時の間にか神奈子が隣に立っていた。


晴「そうか?なんか悪いな、俺が散らかしたのに」


神奈子「気にするな、もともとこちらが挑発したのが原因なんだ」


苦笑しながら、言う神奈子。


晴「そっか、それじゃあ頼んだ」


途中で、ミアと姫音を森まで送ってから神社へと戻った。

ミアと姫音は目をキラキラさせながら森に着くまでの間、俺が戦っていた時の事で盛り上がっていた。











場所は変わって、洩矢神社。

部屋では諏訪子がすやすやと眠っていた。

あれだけ無茶をしたのだ。

外傷は治せるし、霊力、魔力、妖力は回復する事が出来るのだが神力だけはどう頑張っても出来なかった。

今は、回復のために眠っている所だろうか。

明日には目が覚めるだろう。

諏訪子の頭を優しく撫でる。


晴「全く、頑張り過ぎだよお前」


美桜「まったくじゃな。 じゃが、其処が好ましいところでもあるがの」


晴「ははっ、そうだな」


本当に諏訪子は信者を大事にしている。

どんな些細な事でもそれが願いなら出来る限り叶えようとする姿勢は目を見張る。


諏「せ・・・い・・やぁ・・、・・み・・・・・お・・・」


びっくりした、いきなり名前を呼ばれたから起きたのかと思ったがどうやら寝言のようだ。


晴「どうした美桜、顔が赤いぞ?」


見ると、美桜の顔が若干赤くなっていた。


美桜「そういう晴夜こそ」


鏡が無いので確認できないがどうやらお互いに顔が赤いようだ。

そりゃあ、寝てる相手に名前を呼ばれたらなんだかこっぱずかしいじゃんか!


晴「どうする? もう寝るか?」


特にやる事も無いし、このまま寝てもいいんだが・・・


美桜「いや、もう少しだけ諏訪子の顔を見ていたい」


晴「そっか、じゃあ俺は寝るからな。 おやすみ、美桜」


美桜「うん、おやすみ晴夜」


俺はそのまま寝室に、美桜は諏訪子のところに残った。


今回は、晴夜がキレてしまう回でした。


感想・要望・誤字指摘等ありましたらよろしくお願いします。

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