不思議な白い猫
妄想が爆発した。
だが、後悔も反省もしていない。
どうも、RENです。
メインの小説に行き詰ったときにちょくちょく書いたりするので気長に待っていてもらえると助かります。
俺の名前は星月晴夜 (せいや)、普通の高校1年生だ。
今日は午前中で学校が終わり、自宅へ続く道を歩いている。
季節は秋の半ばごろになり時折冷たい風が吹く日もある。
俺の住んでいる町は都市としては今ひとつだが、田舎よりは全然発展しているなんとも微妙なラインの町だ。
晴「さ~て、授業も終わったしこれからどうすっかな?」
普通の高校生なら放課後は部活に勤しんだり、友達と遊びに行ったりするのだろうが俺はそうではない。
もっぱら、アルバイトに行くのが日課になっている。 それもほぼ毎日だ。
理由は簡単。 高校を卒業したら一人暮らしを始めるための頭金を稼ぐためにバイトの掛け持ちをしていた。
そんな生活を半年以上続けているので、ほとんど休みなんて無い。
でもたまに一日、どのバイトも休みの日がある。 それが今日だったのだ。
晴「今日は特にやる事もないし、久々に散歩に出かけるか」
そうと決まれば、急いで家に帰って私服に着替える。
親は共働きで夜遅くまで帰ってこない。 それにどちらかというと放任主義なのである程度の家事はこなせる。
自分の事は自分で出来るようにならないとね。
財布と夕方になると冷えるので厚手のコートとマフラーを持って家の戸締りを確認する。
晴「さーて、今日はどこに行こうかな?」
俺の唯一の趣味と言えるのが、遠くまで自分の足で歩いていく事である。
その土地その土地の景色や雰囲気をのんびりと歩きながら眺めるのが好きなのだ。
晴「今日はそうだな・・・コスモスが綺麗に咲いている場所でも探しに行こうかな?」
今日の散歩の目的はコスモスを探す事に決まった。
玄関で愛用のスニーカーを履き扉を施錠して、外に出る。
晴「さ~て、今日はどこまで行けるかな?」
俺は意気揚々と歩き出した。
このときはまだあんな事になるなんて思いもしなかった。
歩き出してから、すでに一時間くらい経っただろうか?
今は、小さな公園のベンチで一休みしているところだ。
やはり歩くのは気持ちがいい。
これで、誰かと一緒なら文句は無いんだけどね。
今の時代、自転車や自動車が増えて自分で歩く若い人はあまり見掛けない。
ましてや、散歩が趣味の高校生は自分くらいのものだろう。
晴「ま、一人なら一人でメリットもあるんだけどね・・・ん?」
強がりに近い独り言をつぶやいていると、足下に一匹の白い猫が座ってこちらを見上げていた。
首輪がついていないのでおそらく野良だろうが、その毛並みには艶がありとても綺麗な顔立ちをしていた。
カレンダーとかに使われてもおかしくない、可愛らしい猫だ。
おそらくメスだろう、身体のラインがとても綺麗でしなやかだ。
晴「お前もひとりかい? ・・・こっちにおいで」
喉に手を当てくすぐってやると気持ちよさそうに目を細め、自分のひざの上に乗ってきた。
その毛並みは良く手入れをされているかのように柔らかくとても暖かかった。
頭から腰にかけてゆっくりと撫でる。
30分位そうしていたが、そろそろ歩きださなくちゃ日が暮れてしまう。
そう思い、ひざに乗っていた白猫を降ろす。
晴「ありがとね。 とても気持ちよかったよ」
最後に頭を撫でてやり、再び歩き出した。
あれから2時間ほど歩いたところで今日の散歩の折り返し地点とした。
これ以上は、流石に帰るのが遅くなるのでやめておこう。
陽はとっくに傾き、綺麗な夕焼けが見えた。
晴「今日はここまでだな。 ま、白猫を撫でる事が出来たしそれでよしとしますか」
それから家に帰るため、歩いてきた道を辿るように歩き出した。
しばらくすると、先ほど休憩した公園の近くを通った。
さっきはここに白猫が居たけど今はもう居ない。
そりゃそうだ、いつまでもじっとしているわけがない・・・
少し残念だが、さっさと帰るとしよう。
再び歩き出すために前を向くと、
晴「・・・居た!」
さっきの白猫が道路を横断していた。
しかし、向こうからトラックがかなりのスピードで走ってきていた。
このままじゃ、あの白猫が轢かれてしまう。
そう考える前に、すでに身体が動いていた。
ガードレールを乗り越え固まっている白猫を抱きかかえる。
誰かが叫んでいる声が聞こえたが構っている場合ではない。
しかし、トラックはすでに目の前まで迫ってきていて猫を庇うようにトラックに背を向けた。
音が聞こえない・・・
辛うじて目と右腕だけは動かせる
視界には、横転しているトラック
困惑している人々
そして、血にまみれている自分の身体・・・
そこでさっきの自分の行動を思い出す。
――ああ、そっか・・・白猫を助けるために庇ってトラックに轢かれたのか――
別に、後悔はしていない。
ただ、自分の両親を残して先に死んでしまうのが少しだけ・・・申し訳ないと思った。
ただそれだけ。
人は死ぬ間際に走馬灯を見るというけれど、あれは迷信だったんだな。
だって、自分は今にも死にそうなのにこんなにも落ち着いて死を受け入れようとしている。
そういえば、あの白猫は無事だろうか?
何とか目を動かして探す。
白猫はすぐに見つかった。
自分の顔の横にちょこんと座ってこちらを見ている。
――良かった、無事だったんだな――
右手を白猫の頭に移動させ出来る限り優しく撫でる。
そして、最後の力を振り絞って声を出した。
晴「・・無・・・事で・・・・・・よ・・・か・・・・・・・った・・」
猫の頭から力なく手がすべり落ちる。
意識がなくなる直前、
?「そなたを死なせはしない」
声が聞こえたような気がした。
前書きではああ、言いましたが期待してくださる方がいらっしゃったら更新速度が上がるかもしれません。