まおうのおわかつ序
魔界
スライム、ゴブリン、オーガ、獅狼など、姿形の違う多種多様の種族が住む、人間界と並行して存在する世界。
強い者が上に立ち、弱き者は虐げられる弱肉強食の世界。
その世界の頂点に君臨する魔王は、800年以上敗北という言葉を知らない魔人族の男
これは、長きにわたり敗北を知ることのなかった魔王の最期のための奇妙な道程
「デュマよ、"おわかつ"という言葉を知っているか?」
「は?"おわかつ"、ですか?」
魔王の問いに、デュマと呼ばれた従者は聞き覚えのない言葉にただ疑問系で答えるしかなかった。
「人間界では、寿命を迎えようとしている人間がその時のために準備することを指す言葉として使われてるようだ」
それを聴いたデュマは"あ〜"という反応をして
「終活のことですか。終わりまで気にして生きてるなんて、弱き人間らしい…」
やや小馬鹿にしたような口調で話すデュマの言葉をさえぎるようにして放たれた言葉はーー
「我は、そのしゅーかつをやる」
魔界
強き者が上に立つ弱肉強食の世界。そこに800年という長い年月の間、君臨しているのが現魔王メイヘスである。その頂点に君臨する魔王が鎮座する場所といえば禍々しく大きな城というのが1番に思い浮かぶだろうが、しかしそれは先代までの話。現魔王は森の中にある2階建ての小さな洋館のような場所に腰を据えている。力を誇示せず隠遁してるかのような生活をしている魔王を"変わっている"と言う者が多いが、誰もがひれ伏す強さ、最強無敗にに憧れを感じさせるカリスマ性を持ちあわせているゆえに多くの支持を受け君臨している。
いわゆる順風満帆…そんな魔王が終活?
従者デュマリアは少し慌て困惑した様子で魔王に問いかける。
「ま、魔王様!お身体の調子がすぐれないのですか!?」
「いや」
「では、魔王様を超える逸材が現れたとか!?」
「いや」
「ではなぜ!?」
デュマの慌てふためく状態とは真逆で、魔王は淡々と返事をし、デュマの問に答える
「800年以上、この魔界の王として生きていたが、我を脅かす存在は未だに現れていない。このままではただ寿命を迎えるのみになる」
魔界に住まう者は多種族存在する。長命で約5000年生きる種族もあれば100年で尽きる種族もいる。魔王とデュマは魔人族、その寿命は長くて1000年といわれている。
「たしかに、たとえ誰もがひれ伏す強さを持ちあわせている魔王様者であってもそれは抗えない事ではありますが、なぜその思いに至ったのですか?」
デュマは次から次へと生まれる疑問を投げかけてゆく。
「微力だが力の衰えを感じた。このままさらに衰えていけばそこに付け入った輩に討たれるのは必定。それは我慢ならん!」
淡々と話していた口調は、やや強さを帯びた感情混じりのものとなっていた。それを遮るのは愚と感じたデュマは、魔王の話の流れに沿うように1番の疑問を聞く。
「な、なるほど。では具体的にどういった終活をされるので」
「我は……我を超える人間を育てあげ、そしてその者との闘いの果てにこの命、終わらせる!」
小学生低学年レベルですがゆっくり続けていきます。




