83話 母の正体と、天才の血筋
私は今、サーラさんの自宅にお邪魔している。
私や母の事を聞きたいって事だったし、私もお母さんの過去を聞きたかったからね。
テーブルの向かいにはサーラさんとマティルダさんが座って、お菓子や飲み物をいただきながら話をした。
ある程度、予想はしていたけど、お母さんはやっぱり冒険者だった。
お母さんと、サーラさん、マティルダさん、他に男性2人を含めたパーティで、サーラさんは、そのメンバーだった男性の1人と結婚をしてここに住んでいるみたい。
主に王都で活動をしていて、当時は有名なAランクパーティで……お母さんだけがAAランクだったって。 今の私と一緒だね。ちょっと嬉しいよ。
そして、お母さんは王都で知り合った男性と結婚し、王都で暮らしながら冒険者を続けていたみたい。 それから2年程した時に、私を身籠ったけど、夫が事故で亡くなってしまい実家に帰る事になった。
その時に、サーラさん達のパーティが護衛をしてナルイラの町に帰ってきて、出産後は月に一回程度、冒険者として一緒に活動をしていたみたい。
うん。なるほど、そう言う事だったのね。
確かにお母さんは、基本的に月に1回、一週間から10日程度、仕事に行って家にはいなかったんだ。
それに町にいる時でも、お昼から2時間程は必ずどこかへ出かけていたから、冒険者の仕事をしていたんだね。
そして今から半年前に、元メンバーだった男性がナルイラに立ち寄った時に、母が亡くなって子供も行方不明と知ったらしい。
「でもユイちゃんだけでも生きていてくれて安心したわ」
「あのユヅキが殺されたって聞いた時は信じられなかったけどね」
「しかも盗賊ごときにね」
「母は魔法使いとして優秀だったのですか?」
「ええ、とってもね」
「ランクAAは伊達じゃなかったよ」
「6属性を全て使えてたし、魔法なんて**『略式魔法』**だったのよ?」
「略式魔法?」
「魔法の詠唱を半分近くカットして魔法を発動する技術よ」
「へぇ~」
「ユイちゃん、あんまり驚かないね? 見た事があったの?」
「いえ、私は母が魔法を使える事すら知らなかったです」
「母の遺品からこのブレスレットを見つけて、もしかして魔法が使えたのかな? って思っていましたが」
「ユイちゃんは魔法使いじゃ無くてタンク(盾役)なの?」
「そうだな、あの防御力はとんでもなかった」
「違います。私は魔法使いの冒険者です」
「そうなの?」
「はい」
「そのわりには、略式魔法を驚かないね?」
「あれは魔法使いの防御力じゃないしね」
う~ん、この人たちなら言っても大丈夫かな?
「私も6属性を全て使えますし……魔法は無詠唱です」
「「はい?」」
サーラ達はポカンとした顔をしてユイを見つめた。
「ちなみに冒険者ランクもAAです」
「「えっ?」」
「無詠唱? AA? 冗談だよね?」
私は冒険者カードを提示した。
「嘘……本当にランクAAだわ」
「この年齢でAAだって?」
「天才の子は天才か?」
そして私は自分の周囲に数個のアイスアローを発動し待機させた。
ヒュンッ!
「!!!」
「本当に無詠唱だ! しかも氷!?」
「ユヅキ……あなたの子供はとんでもないわね」
「ユイちゃんって生まれた時から魔法が使えたの?」
「魔法が使える様になったのは、1年ほど前です」
「「ええええ!?」」
「私はちょっと思考が追いつかないわ」
「大丈夫だ、私もだから」
「しかし、あの天才と言われたユヅキ以上の逸材だね」
「当時、ユヅキに魔法を使わせたら右に出るものがいないとまで言われたのにね?」
「まあ、あえて弱点を上げるとしたら……運動がからっきしダメだったところね」
「ああ、そうだな。何もない所でよくコケていたしな?」
うん、それは私もよくわかる。お母さんは、そんなところがあったよ。
「でもユヅキは本当に盗賊なんかに殺されたの?」
うん、この人たちには話しておこう。 私が封印した、あの日の記憶を。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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