82話 疑惑の視線と追跡者たち
今日は朝から冒険者ギルドに行ってきたけど、オーガに関する最新の情報はなかった。
その後に、図書館に行って本を数冊借りてきた。
今は昼食を食べるために、椿さんのおすすめのレストランに来てるんだよ。超楽しみ。
お店は満席に近い状態だけど、落ち着いた感じで、いい雰囲気の店だったよ。
でも案内されて席に座ったんだけど、隣の席の人達がジロジロ私を見て来た。
はあ、チョットだけお洒落したのが仇になったかな?
今日はラベンダー色の膝丈ワンピースに白色の羽織りをしてるぐらいだから、そこまで目立たないと思うのだけど。
隣に座っているのは30代ぐらいの女性二人だけど、一人は**冒険者風(剣士)**でこちらをチラッと見るぐらい。
もう一人は目を輝かせて私をガン見して、今にも話しかけてきそうな雰囲気だった。 (やめて、話しかけないで……)
私は話しかけてこないように本を読んで知らんぷりをして、視線は無視した。
しばらくすると、突然ガタッと音がして冒険者風の女性が立ち上がり、「きさまっ」って声が聞こえたけど、もう一人の女性に止められていた。
え? 私に言ってた? 何かこっちを見てる気がするんだけど?
私は 気づかないフリをして無視したけど、やっぱり何か凄い睨まれているよね?
料理は美味しかったけど、隣の人のせいで、落ち着いて食べれなかったよ。
店を出てしばらく歩いていると、ふと気づいた。
これは……つけられているね。
私は知らないフリをして、人気が少なく広い広場にわざと向かった。
そして、『危険感知』が反応している場所に向かって声をかけた。
「それで、私に何の用ですか?」
「そこの角に隠れている、冒険者風のお姉さん?」
角から予想通りの女性が姿を見せた。 さっきの剣士の人だ。
「それをどこで手に入れた?」
は? そんな事を聞くだけで、あんなに殺気を放って後をつけてきたの?
「教えるわけないでしょう?」
「やっぱり奪ったものか」
「きさまは盗賊の一味だな?」
「そんなわけ無いでしょう」
何を言ってるのこの人? 被害妄想?
「それを置いていけ! さもなくば痛い目をみるぞ?」
剣を私に向けて脅してきた。
「痛い目を見るのは、あなたかもよ?」
私は**「オリハルコンの盾」**を取り出して構えた。
「それは、お前がつけていいものではない!」
この女は一瞬で私まで接近してきて剣を振るった。 速い!
私は盾で受けるつもりだったから衝撃に備えたけど……衝撃なんて全然こなかった。
女は凄まじい連撃を繰り出しているけど、私の盾はその衝撃すら完全に吸収し、弾き返していた。
うわ~、この盾、思ってる以上にエグイかも。完全無効化だよ。
段々と女の顔に焦りが見え始めてきた。
必殺技みたいなのを放っても、私は微動だにせずに軽々と弾き返しているからね。
でもこの女も結構強いよ。でも何でこんなに怒ってるのだろう?
私も少し冷静になってきて、この人が何か勘違いをしてるのがわかってきた。
う~ん、魔法だとやり過ぎてしまうし、どうしよう?
あ、そうだ!
「え~っと? これは最初で最後の警告です」
「恥ずかしい思いをしたくなければ、負けを認めてください」
「このまま何も出来ずに負ける方が恥ずかしいわ!」
駄目だね、これは。聞く耳持たずだ。 じゃあ、やっちゃうよ?
私は盾に隠れながら、女を指定してスキルを発動した。
≪染色取り消し(オール・リセット)≫
シュワンッ!
……あ、やり過ぎたかも?
彼女は気づかず私に攻撃を続けているから、教えてあげた。
「私は今、あなたに攻撃をしましたよ?」
「何を言ってる?」
「自分の姿を確認して下さい。あなたは今、全裸ですよ?」
「は?」
彼女は視線を下に向けて自分を見た。
「え? 裸? え?」
「え? どうなって・・・」
「きゃあああああああああ!!!!」
彼女は剣を捨てて、その場にへたり込んだ。
「マティルダ!」
もう一人の女の人が走ってきて、マティルダと呼ばれた人にマントをかけてあげた。
「すまない、サーラ……」
「少しは冷静になった?」
「あ、ああ……」
サーラと呼ばれた人は、私に向かって頭を下げてきた。
「ごめんなさい。あなたのつけているブレスレットが知人の物に似ていたので」
「盗まれたと思って取り返すつもりだったの」
え? ブレスレット? 染色した服の事じゃなかったの?
「これですか?」
私は腕のブレスレットを見せた。
「ええ。知人はもう亡くなったのだけど、そのブレスレットは特注品だったから同じものは無いはずなの」
「突然攻撃をして悪かった。それを見て頭がカッとなってしまった」
「いえ、わかってもらえればいいです」
「しかし、本当によく似ているな」
「それはどこで買ったの?」
「これは母の形見です」
「形見?」
「はい、母は2年ほど前に亡くなりました」
「え? 2年前?」
ん? なぜ、そこに反応するの?
「ごめんなさい、あなたの母親の名前を聞いてもいい?」
「母の名は……**結月**です」
「!!!」
二人とも、物凄く驚いた顔をして私を見ている。
え? もしかしてお母さんの知り合い?
「何度もごめんなさい。あなたの年齢と出身地が知りたいのだけど」
「私はナルイラ出身で、15歳です」
「!!!」
サーラさんは突然、私を抱きしめて泣き出してしまった。
「あなたは……あの時、ユヅキのお腹の中にいた子供なのね」
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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