53話 闇夜の死闘
「やるな~嬢ちゃん」
そう言いながら、大盾使いの男は余裕の表情をしながら私に近づいて来た。
「まさか俺の部隊がやられるとはな」
「あなたを倒して終わりよ?」
「はっ! 確かに無詠唱魔術はすげーが、それだけで俺に勝てると思ってるのか?」
「もしかして後続の部隊を期待してるの?」
「もう一度言うよ? あなたで最後よ?」
「なんだと!?」
私はファイアーアローの弾幕を放った。
「ちっ」 驚く事に大盾で全てを防ぎながら、私に向かって突進してきた。
「アースランス!」
接近してからの魔法すら防がれてしまった。
直線的な攻撃は全て防がれるね。なら……。
男は再び大盾を構えて突進してきた。
「アースシールド!」
動きが一旦とまった所へ、≪闇よ≫!
「なんだと!?」
「ポイズンアロー!」
暗闇のなかに数十発の毒の矢を叩き込んだ。
これなら1発ぐらいはかすめるだろう、でもそれだけで致死の毒にかかるから終わったかな?
そう思った瞬間、またゾクっとした。
私は慌てて後方へ飛びのいた。 そしてさっきまで私がいた所を、剣が通り過ぎていった。
「ちっ、これも避けるのか」
そう言って男は瓶を後ろに投げ捨てた。
あれは解毒薬? この男、強いね。
でも、もう終わり。
「私の準備は終わったよ? 何か言い残す事はある?」
「俺の盾は魔法も防ぐ、てめえの攻撃は効かねぇよ」
「あ、そう」
私は無色化して待機させていたダークアローを視認できるようにした。
「なんだと!」
男を中心に、ほぼ360度にダークアローが出現した。
「直線的な攻撃は防げるのだろうけど、360度からの一斉攻撃をその盾一枚で防げるの?」
「ま、待て!」
待てと言われて待つわけがないでしょう?
「ダークアロー!」
ズダダダダダダ!! 弾幕が消えた後には、地面に倒れ伏した男がいた。
「ぐっ……」 まだ生きているの? とんでもない防御力ね。
まあ、盾も手放しているし動けなさそうだからエアカッターで終わりね。
念の為に、近づかずに魔法を放とうとした。
ゾクッ!!
え? 何で?
私は状況を確認する前に魔法を発動した。
「アイスシールド!」
ガキィン!!
その瞬間、金属同士がぶつかる大きな音がした。
そして大柄な戦士風の女性が私に剣を向けて立っていた。
「何こいつ? 隠密スキルを使って死角から攻撃したのに防いだわよ?」
「ラベェール! お前も来ていたのか!」
「俺に回復薬をくれ!」
「情けないわねスカ、幹部の一人なのに、なんてざまよ?」
「いいから俺を回復しろ!」
「ふん、あんた、その手と足じゃあ、もう自慢の盾も持てないよね?」
「防御だけが取り柄のあんたが盾を持てなくなって、生きている意味ある?」
「なっ、俺はまだ……」
「もういいわ、死になさい。目障りよ」
「や、やめろ!」
ザシュッ。 ラベェールと呼ばれた女は、スカと呼ばれた男に止めをさした。
仲間割れ? いや、粛清か。
やばい、この女もヤバイ。
自動回復があるとはいえ、魔法の連発しすぎでMPも減ってるし、今この女と戦うのはヤバイ気がする。
「あなた何?」
「何って言われても、盗賊に答える気はないよ」
「そう。でも伝説の無詠唱魔術に氷魔法、更には大規模な殲滅魔法」
「そして絶対的な防御力を誇ってたスカさえ、押し切ってしまう魔法力」
「私の専用武器を持ってきていない今は、戦うべきじゃないわね」
「まあ、その顔は覚えたから再戦はまた今度ね」
「逃がすと思うの?」
「逃げて欲しそうな顔をしてるわよ?」
私達はしばらくにらみ合った。
図星だ。今の私には彼女を確実に仕留める余力がない。
「冗談よ」
「私は、『ヴァントス盗賊団』のラベェールよ。覚えておいてね」
女はそう言って、背を向けて闇へと去って行った。
はあー……助かった~。 自分から首を突っ込んだとはいえ、今回は疲れたよ~。
すっかり忘れていたけど、助けた人からお礼を言われたけど、適当に受け答えをした。
それに倒した盗賊の後始末はやってくれるとの事なので、任せて私は馬車に帰った。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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