51話 闇夜の襲撃
王都までの街道を、ユラユラと揺られながら空を眺めている。
私は、当然歩いて行くつもりだったので、気合を入れて例の山越え用のミリタリー装備をしていたの。 でも出発当日、ロスさんからプレゼントをもらいました。
**「私専用の一人用馬車」**を。
御者は私なのだけど、基本的には何もしなくても勝手に街道を進んでいくみたい。
街道の分岐点でだけ指示をすれば、勝手に人や物を避けたり止まったりする賢い馬(魔道具付き?)なんだよ。
なので今は、ミリタリーブーツとブラウスは脱いで、荷台の簡易ベットの上に寝転がっております。
ずっとゴロゴロしています。
最高だよ~。
「あ、そろそろ分岐点かな?」
私は慌てて靴を履いて運転台に戻って、ロスさんにもらった地図を見た。
「次の分岐点は左だね」
私は馬を操って左側に寄せるように走らせた。
他の馬車には追いついたり、追い抜かれたりはしないけど、馬で移動している人にはさすがに追い抜かれるし、運転台に座っているとすれ違い様にジロジロ見られる。
まあ無視だね、無視。
またしばらく進んで行くと、前方がガヤガヤしているのに気付いた。
とても広い場所で、多くの馬車が停まっている。
ここは馬車の休憩所かな?
もう直ぐ夕方だし、ここで一泊する人がほとんどみたいだね。
私はこんな所で泊まる気は無いので、素通りしようとしたんだけど、何件か食べ物屋を見つけてしまった。
私は空いている場所に馬車を停めて車輪をロックした。
でも目立つね。馬車は夜に紛れるよう真っ黒に染色したからね。まるで霊柩車だよ。
まあいいや。何か食べ物を買いに行こう。
ミリタリー装備だから目立たないと思ったけど、そんな事はなかった。
歩いている間、ずっと見られているね。
はあ、さっさと買って出発しよう。
私はさっきから良い匂いがする店に向かった。
そこには、香ばしい香りのするお肉を挟んだパンが売っていた。
ケバブサンドかな?
「これ1つ下さい」
「はいよ~……うおっ!?」
私を見た瞬間、お店のおっちゃんが変な声を出した。
「え?」
「あ、いや、すまん。少し驚いて声がでてしまった」
私はお金を払って商品を受け取った。
「ありがとよ~」
「でも何に驚いたの?」
「突然視界に嬢ちゃんのセクシーな姿が目に入って驚いたのさ」
「は? セクシー?」
全身ミリタリー装備だからセクシー要素は欠片もないと思うけど?
どちらかと言えばカッコいい系じゃないの?
私はそう思って自分の姿を確認してみた。
「……あっ!」
やってしまった~。
荷台でゴロゴロする前にブラウスを脱いだのを忘れていた。
しかも、今回はもともとキャミも着てなかったから、今の私は、黒色のクロスバックのスポーツブラだけだった。
似たような格好で歩いている女性は見かけるけど、私的にこれは駄目なやつだ。
露出狂だと思われちゃう!
私は悲鳴を上げそうになるのをグッと我慢をして、馬車まで走って帰った。
「あああああ、恥ずかしかった~!!」
でも後からよく考えたら、アイテム袋から服を出せばいいだけだったね。
パニックだった。
とにかく早くここから出よう。
私はこの場から逃げるように馬車を走らせた。
しばらく走った所で降りて、一度馬車をアイテム袋に入れた。
馬を引いて街道から森の中に入って、少し離れた死角になった広い場所に再び馬車を出した。
馬も繋げてから結界用の魔道具を起動させた。
「これで安心な寝床が完成だね」
私は馬車のベットに横になった。
「はあ~、何か一気に疲れたよ」
今日はもう寝よう。
「おやすみなさい」
……。 …………。
それから数日間は順調に街道を進んでいた。
でもその日の深夜に、私の**『危険感知』**が反応して飛び起きた。
地図の様な表示が出来るようになった危険感知スキルで、周囲を確認した。
馬車に向かって100名近くの敵が移動してきていた。
読んでいただきありがとうございます。
【完全版】の校正作業中ですが、モチベーションが急降下したので、気分転換にこっちの続きを投げにきました。
わかってます。これをすると【完全版】のゴールが遠ざかる事は・・・
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