45話 癒しを求めて
「ブルーナさがって、私がやるから」
私が**「ブルーナ」**の名前を呼んだ瞬間に、男達の顔色が見る見る変わっていった。
「え? ブルーナ?」
「ブルーナだって?」
「この子が? いや違うだろ?」
「でも確かによく見ると似てるかも?」
男達が動揺している間に、ブルーナは懐から笛を取り出し、突然吹き鳴らした。
「ピィーーーーーーーーッ!!!」
え? ブルーナ? 何をしてるの?
答えは直ぐにわった。 四方八方から、厳つい男達が走ってきてバカな男達を取り囲んだ。
「!!!!!」
状況が理解できたのか、男達は全員、顔面蒼白で土下座しだした。
「す、すいませんでした~! 許して下さい!!」
だけど慈悲はなさそうだ。 ブルーナの護衛達が冷たい声で言い放つ。
「お嬢様に手を出して、ただで済むと思ってるのか?」
「ちょっと来い」
彼らは全員、屈強な男たちに連れて行かれた。
まあ、私の知ったことではないけど。ざまあみろ。
「あれって、ブルーナの護衛?」
「うん、似たようなものかな?」
「護衛と違って私についてきてるわけじゃないけど、この笛を吹くと笛の音が聞こえた護衛だけが集まって来るの」
「お父さんは過保護だから」
「ああ、なるほど」
しばらく歩いていると、オープンテラスの店の前に繋がれた小型犬を見つけた。
この街ではペットを見かけないから珍しいね。
「可愛いね~」
私は近づいて店の人に声をかけてみた。
「この子、触ってもいいですか?」
「ああ、かまわんよ。お店のマスコットだしな」
「触ってもいいんだって、ブルーナも触る?」
「……私はいいよ」
「そう?」
私は犬を撫ぜていっぱい可愛がった。 うん、癒されるね~!
ブルーナは私の後ろで立っていたけど、子犬の方はあまり見ていなかった。
ペットはあまり好きじゃないのかな?
でも私は一人で癒しをたっぷりと堪能した。
お店のおっちゃんも、お店の客もこちらを見てないけど、邪魔しちゃ悪いからね、そろそろ行こう。
「ありがとうございました」
「ああ、いつでもおいで」
「ブルーナ行こう」
「うん」
「ブルーナってペットはあまり好きじゃないの?」
「可愛いのは好きだよ?」
「そう? 興味がないのかと思ったよ」
「今回はユイに**『独占で癒しをプレゼント』**したんだよ」
「そっかー、ありがとう」
その後もお喋りをしながら歩いていると、目的の図書館に着いた。
「ここの二階にあるけど、二階は靴を脱いで入らないとダメだからね」
「そうなんだ、わかった」
私はカウンターでカードの提示をすると、全制限解除の鍵を渡された。
「私はしばらく本を読みあさるけど、ブルーナはどうする?」
「私も本を見てるよ」
私は数冊の本をもって、窓際のベンチに座って読む事にした。
最初はブルーナも私の隣に座って読んでいたけど、いつの間にか目の前の窓にもたれ掛かりながら読書をしている。
「座って読まないの?」
「うん、日向にあたりながら読むのが好きだから」
「そっか~」
私は気にせず再び読書を続けた。
……。 …………。
「じゃあ、今日はそろそろ帰ろうか」
「は~い、じゃあ本を返してくるね」
「制限解除した本はいいのあった?」
「うん、なかなか為になる内容が多かったよ」
「どんな内容だったの?」
「え? あ、うん。今日は薬品の調合とか、かな?」
「そうなんだ、見れてよかったね」
「うん」
「ただ、全部読むには時間がかかるから……ブルーナの家に1カ月ほどお世話になるかも」
「やったー!!」
ブルーナは飛び上がって喜んだ。
「じゃあ、しばらくは一緒にいられるんだね!」
「うん、ロスさんにも伝えておいてくれる?」
「わかった~! 任せて!」
「じゃあ帰ろう」
私たちは再び、手を繋いで(恋人繋ぎで)家路についた。




