39話 番外編Ⅲ ~正規軍の守護者と、神の奇跡2~
領主様からは労いの言葉をもらったが、衝撃的な事も教えてもらった。
**「魔法使いが一人で蛇神の討伐に向かう」**らしい。
その為、現場に近づく事は禁止だという。
バカな話だ。 魔法使いが一人で行って何ができる?
魔法の有効範囲に入る事は、敵の攻撃範囲に入るって事だぞ。
その為に俺達みたいな盾役がいるのに。 魔法使いが一人で行っても何も出来ねえよ、自殺行為だ。
だが、今後の情報を集める為に、現場から500mほど離れた所にある遠見塔に行く事を数名だけが許された。
俺も志願して許可がおりた。 そして今、遠見塔に俺を含めた3名で待機をしている。
蛇神はいまだに動く気配はない。 そろそろ魔法使いが来るそうだが。
監視をしていたやつが突然声をだした。
「来た! あれか?」
「ん? 女の子?」
「あの子は、まさか……」
「知っている子ですか?」
「ああ、例の病院で広範囲の回復魔法を使った子だ」
「ああ、あの聖女と呼ばれた……」
「あの子が今回の子なのか? 回復特化じゃないのか?」
「わからない」
女の子はまだ射程距離の外の所で止まって、ヘビに向かって手をかざした。
「何をしてるんだ? あの距離じゃ届かな……」
そう思った瞬間。 光ったと思ったら、ヘビの頭が吹っ飛び、遅れて轟音が届いた。
ドォォン!!
「!!!」
「な、なんだ今のは!」
「あれが魔法なのか?」
「あの距離であの威力だと? ありえない!」
しかし、頭だと思ったら偽装したしっぽだったみたいだ。
そしてヘビは女の子に向かって行った。
「戦闘になったぞ! 接近されて大丈夫なのか?」
今度は無数の「魔法の槍」の弾幕がヘビを押し返してる。
「すげ~~……」
「ありえねえ、なんて数だ」
その後も一進一退の攻防が続いたが、最初のような決定打がない。
あれは不意打ちでしか撃てないのか?
ならば俺がでて時間を稼ぐべきか?
そう思った瞬間、辺り一帯が**「氷の世界」**になった。
そしてヘビの動きすら止めてしまった。
「なんだこれは?」
「氷魔法だと!」
「しかもこの規模!」
「これは本当に人の力か?」
「これほどの範囲を一瞬で凍り付かせるなんて……」
「しかし、このチャンスに最初に撃った狙撃はしないのか?」
「今なら頭を撃ちぬけるのでは?」
「恐らく撃てないのだろう」
「途中から最初ほどではないが、力のこもった狙撃で頭を狙っているが大きく外れている」
「予想だが、最初の一撃はスキルで補正してたのかもしれない」
「今はスキルが使えないから、確実に当てるにはヘビに近づかないといけない」
「だが近づいたところで、ヘビの拘束がとけたら?」
「近づくリスクをとるより、他の攻撃方法を選んだのかも」
「じゃあ、今は詠唱中なのか?」
「あ! ヘビの拘束がとけたぞ!」
ヘビは女の子に向かって行く、しかし女の子はまだ動かない、まだ詠唱中なのか?
「やばい!」
「間に合わないぞ!」
「くそ! ここからでは間に合わない、俺が盾になる事もできない!」
もう女の子の目の前までヘビが迫っている。 「駄目だ、詠唱が間に合ってない? 逃げろ~!!」
駄目だ、全員がそう思った。 その瞬間。
物凄い光とともに轟音が響いた。
カッッッ!!!!
音と光が収まり、目を開けると……とんでもない事になっていた。
女の子から前方が1km近く、焦土と化していた。 そしてヘビも、明らかに死んでいた。
炭になっていた。
「お、俺は夢でもみているのか?」
「こんなの、どうやって報告するんだ? 誰も信じねーぞ」
「駄目だ、思考が追いつかない」
「・・神の奇跡か」
「何ですか、それ?」
「彼女が広範囲の回復魔法を使った後に、そうつぶやく人がいたのさ」
「なるほど。神の奇跡か。これを見ると本当にそう思いますよ」
「この判断は領主様にまかせよう」
「俺たちは見たままを報告するしかない」
「そうだな、では戻ろう」
そして俺は報告の為にその場を後にした。 (俺たちは今日、**本物の「伝説」**を目撃したのかもしれない……)
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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