28話 さよなら、私の黒歴史(ふるさと)
私が魔法を知ってから、もうすぐ一年。
来月、私は15歳になるよ。 一年て早いね~。
でも私の成長は頭打ち。あれから全く何も成長しなくなってしまった。
あ~、**「魔法」や「スキル」**の事だよ?
……「身体」の方は、逆に急成長中です。
今、身長は169cm。
この世界でも女性にしては高身長でしょ?
でもそれ以上に、**「胸」**が急激に成長したよ~。
歩けば揺れるし、下手したらリーニさんを追い抜いたかもしれない。
町の人は私が小さい頃から知ってるから、そんなに気にならないみたいだけど……町の外から来た旅人や商人達は、無遠慮に**「私(の胸)」**をジロジロ見るようになった。
「正直、本当にキモイ!」
だから最近は、体のラインが出る服は避けて、目立たない色の服か、ダボっとしたジャージを着ることが多くなったの。
可愛い服を着るのは、一人で誰もいない森をお散歩する時ぐらいかな?
でも、ただ引きこもっていたわけじゃ無いよ~?
私も旅に出る準備(助っ人探し)はしていたよ。
旅の心強いお供が欲しかったから、動物に話しかけたけど、私にテイム能力は無かったみたい。
強い召喚獣が欲しかったけど、召喚魔法陣は作れなかった。
木や水や大地に話しかけたけど、精霊からの返事はなかった。
なので……「助っ人計画」は諦めました。 所詮、私はボッチです。
でも一人旅でも安心して寝れるようにしたいから、**「結界魔道具」**は鋭意改良中です。
問題は魔法とスキルの成長だよね。 久々にステータスを開いてみる。
【ステータス】 名前: 結衣 年齢: 14歳 HP: 200 / MP: 3200
【魔法】
全属性 Lv5 (MAX)
【スキル】
全生産系 Lv5 (MAX)
極エイムマジック Lv1
【特性】
極危険感知 Lv4
極性欲 Lv1
病気(菌・ウイルス)耐性
感度5%上昇
はぁ、全く上がってないよ。
何かこう、マニカ達と初めて会った時のような**「刺激」**が欲しいよ、刺激が。
はあ。刺激が……。
そうだ。 前から思っていた**【アレ】**の更新をしておこう。
私はアイテム袋から、大事な相棒である**「秘密の魔道具」**を取り出して、付加情報を一部変更する為にスキルを発動。 **【振動スキル(弱)】から……【振動スキル(中)】**へバージョンアップ!
最近、肩も凝るし、実験勉強で疲れも溜まってるしね。
ちょっと試してみよう。
おばあちゃんは今、家にいるけど、私は、気にせず実験開始。
スイッチ、オン。
ブゥゥゥゥゥゥゥン!!!!
「うわああああ!!」
やばっ、予想以上だった!
ドタドタドタッ! 駆け寄って来る足音が!
「ユイ~、どうしたの? 何かあったの?」
「だ、大丈夫だよ~! ちょっと実験を失敗しちゃっただけだから!」
「そうかい、気を付けるんだよ」
「うん、わかった~」
ふう……危なかった。 私はそくさくと片づけて、逃げるように家を出る事にした。
どこかいい所ないかな? いい所は?
いや、あくまで**「肩こり」**だよ? 肩のマッサージだよ?
でも、あまりに気持ちいいと変な声がでて紛らわしいからね?
誤解を招くからね?
あ、そだ。いいところがある。
私は目的地に向かって足早に歩いて行った。
着いたのは、以前牛の魔獣から逃げる時に見つけた、崖の下にある**「大きな木のくぼみ」**。 ここなら誰も来ないし、死角になっていて周りからも見えない。
さっそく、**「肩こりは振動(中)で解消されるかの検証実験」**を始めます。
変な声がでても【肩のマッサージ】なので誤解のないようにね?
……。 …………。
今回の実験は、ほぼ成功でした。
ここは当分、私の**「郊外実験室」**にします。
今回は久しぶりに達成感に包まれたので、町へ帰る事にしました。
そだ、ステータスのスイッチを**【切】**に戻しておかないとね。
ポチっとな。
【ステータス】 名前: 結衣 年齢: 14歳
【特性】
極危険感知 Lv4
極性欲 Lv2 (UP!)
病気(菌・ウイルス)無効
毒・麻痺耐性
感度10%上昇
「うわっ……」
病気無効!? 毒・麻痺耐性!? ……そして、10%……。
「もしかしてLv3になると、毒・麻痺も無効になるの?」
「こんなところで習得するような特性じゃないよね?」
「これは凄いよ……」
「10%……うん、まあ、これは、ね?」
「・・・・」
はい。 もう一度、実験室にこもってから帰る事にしました。
私、もうダメかも。 病気無効もっているのに、頭がバカになる病気かも。 (でも、毒無効は欲しいから頑張る!)
今日は私の誕生日。
15歳になりました。 (この世界では15歳が成人と見なされることが多い)
先日やっと、一人旅でも安心して寝れる「結界魔道具(完成版)」が出来上がりました。
いつでも旅に出かける準備はこれで整ったけど、タイミングはまだ決めてないよ。
まあ、何かいいきっかけがあれば町をでて一人旅をするつもり。
ここ最近は、日課の散歩をしながら素材の採取をして、**「郊外実験室(例の木のくぼみ)」**に向かう日々です。
「ふう、今日の実験も終わったし、町に帰ろうかな」 すっきりした気分で帰り支度をする。
そう思った時。 カラン、コロコロ……。
頭上から、小石が落ちて来る音がした。
「魔獣!?」
でも『危険感知』は反応していない。
ここは30mほどの崖の下に位置する場所。
私は音がした方を見上げたら、何かがサッと動いた気がした。
私は攻撃魔法を待機させながら、少し離れた側面から崖の上に登って行った。
登りきると、そこには何もいなかったけど……反対側の遠くの方に、数人の人影が見えた。
「あれは、うちの町の**『魔獣狩りの人達』**だ」
「近くを偶然通りかかっただけだよね?」
私は、小石が落ちてきたと思われる崖の端までやってきた。
そこから下を見下ろすと……。 私の「郊外実験室(木のくぼみ)」が、正面から丸見えのアングルだった。
それに、この場所とさっきの人達が去っていった方向は、ほぼ直線だ。
「・・・まさか、ね?」
私はふと、足元に残る**「変な痕跡」**に気が付いた。 周りの草むらに、白い液体のようなものが複数個所に……。
!!!!!!!!!
「これって、あれだよね?」
「彼の記憶(前世の知識)にあった、あれだよね?
」 「男の人の……」
私は、全身の血の気がサーっと引いて行くのがわかった。
「ってことは……見られてた!?」
「ずっと……私の実験を見られてた!?」
「しかも、それを見て……?」
「いや~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」
消えたい。 死にたい。 町に帰りたくない。
どんな顔をして町の人に会えばいいの!?
私は決心をした。 このまま旅に出よう。今すぐに!
おばあちゃん達には悪いけど、このまま町まで帰る精神状態は私には無い。
しばらくして落ち着いたら、手紙を出そう。
幸い、必要な物は全てアイテム袋に入ってるしね。
さようなら、ナルイラ。
さようなら、私の黒歴史。
私は元気にやって行くから、絶対に探さないでね。
本当に、本当に探さないでね!!
そして私はその日、 過去を全て捨てて、新しい世界に向けて旅に出たのでした。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。




