19話 ドン引きの実技試験
見た瞬間、悪寒が走るほど気持ち悪かった!
虫はダメだってば!
だから何も考えず無意識に、一番近くにいたハエをエアカッターで両断してしまった。
スパァン!
当然のように騒ぎだす会場。
「バカな! 今、詠唱してなかったぞ!?」
「え! 無詠唱魔術!?」
「伝承でしかない無詠唱魔術だって?」
「嘘だろ、おい」
あ~、やっちゃった~……。
でも、いきなりあんな気持ちの悪い物を出すから悪いんだよ!
本当、気持ち悪いからさっさと燃やそう。
私は近づいて来たハエの群れに向かって魔法を発動する。
「ファイヤーサイクロン!」
今回は服を乾かす温風ではなく、集まって飛んでいたソレを、まるごと高熱の**「ピンク色の炎」**で焼き尽くした。
「……あ」 忘れてた~。
火を染色してピンクにしたままだった。
案の定、また会場が騒ぎ出した。
「いや、いや、いや、ありえね~だろ!」
「あんな一瞬であの規模の炎をだされたら避ける事もできねーぞ!」
「なんで炎がピンク色なんだ!?」
「あの規模の魔法が無詠唱?」
「やばい! あの子もやばい子だぞ?」
何か酷いことを言われている気がするけど、ここは無視しておこう。
そう思っているうちに、また魔法陣が光りだして次の疑似魔獣が召喚された。
今度は5匹の蜂の疑似魔獣だった。
今度は集まらずに、間隔をあけて私に迫ってきた。
「エアカッター!」
あ、避けた!
今度は連続でエアカッターを撃ったけど全て避けられた。
うん、早いね~。でもあのモグラ程度かな?
私は9つのエアカッターを同時に放ったけど、1つがちょっと掠っただけで致命傷にはなってない。
速さは予想通りだけど、やっぱり空中を立体的に動かれるのは面倒だね。
でも私もこれに対する対策は考えている。
私は前面に**20個ほどの「石の弾」**を並べて待機させた。
会場はどよめきに包まれていたけど無視をする。
そして標的に一斉射撃開始!
撃った瞬間には、もう次の石の弾を並べて待機している。
ズダダダダダダダダ!!!
それを連続で発射を繰り返して、**ストーンブレットの弾幕**が次々と蜂を屠っていく。
そして最後の1匹を倒して魔法を解除した。
「すげ~~……」
「何なのあの子?」
「あの子もヤバイ子だぞ」
「ああ、アカン子だ!」
「俺はあの凶悪コンビと仲がいい理由がわかったよ」
「あれは手をだしちゃダメな子だ」
「ああ、ダメな子だ!」
「ダメな子だな!」
ちょっ、その言い方だと、私が**「痛い子」**に聞こえるじゃない?
やめて欲しいのだけど!?
実技試験が終わって受付窓口に戻って来た。
すると直ぐにビオラさんに呼ばれた。
「お疲れ様でした」
「ユイちゃんの実力は想像以上だったけど、嬉しい誤算だったわ」
「これからも頑張ってね」
そういって冒険者ギルドカードを渡されて、よく見ると……。
「ビオラさん、ランクがBになってますよ?」
まわりがまた騒ぎ出すけど、ビオラさんがチラっと周りを見たので静かになった。
「はい、一回戦に勝利した時点でCランクが確定し、本当に【沼地の王】を倒したか確認の意味も含めて、2回戦の疑似魔獣だったのだけど……
そのBランク相当の魔獣も倒したので**『ランクB』**となりました」
「あとは、こちらが【沼地の王】を倒した懸賞金です」
「え? 依頼はなにも受けてなかったですよ?」
「【沼地の王】討伐依頼は常時出ていたのけど、挑戦する人が少なくてね~、困っていたのよ」
「それに【沼地の王】のせいで北側に行く最短の街道がふさがれていたからね」
「そのお礼も含めて懸賞金は通常より多めに入っています」
「そうでしたか、ありがとうございます」
「何か困った事があったら、いつでも私に言って下さいね」
「はい、わかりました」
そして私は、思わぬ**「ランクB」のギルドカード**を手に入れて、宿屋に帰った。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。




