18話 疑惑の証明
翌日、試験課題の魔獣を持って冒険者ギルドに来た。
私を見ると、受付のビオラさんが寄って来た。
「課題の魔獣を持ってきました」
「はい、お疲れさまでした」
「じゃあこちらの台に出してくれるかな?」
「後はこっちで査定するからね」
私は言われた通りに、倒したトンボの魔獣をアイテム袋から取り出して台の上に置いた。
ドサッ。
「「「…………」」」
一瞬の沈黙の後。
「おい、おい、嘘だろ?」
「あんなの一人で倒せるわけがない」
「マジか? 嘘だろ?」
「あれって**『沼地の王』**だよな?」
「あれを討伐したなんて話は聞いてないぞ?」
ビオラさんもびっくりしてトンボをみてるよ。
「ユイちゃん? これ、あなた一人で倒したの?」
え? 疑われてる?
「はい、苦労したけどちゃんと一人で倒しましたよ」
「動きが早くて飛び回るから攻撃は避けられるし、毒は吐くし大変でした」
あれ? 皆、驚いた顔で固まっているよ? お~い?
「……そう、わかったわ、少し待っていてね」
ビオラさんは奥に引っ込んでいったので、私は一人ポツンと待つことになった。
その間、まわりがザワザワしてたけど、知らないふりをしておいた。
「お待たせしました」
「ユイちゃんのギルド登録最終試験は、**『ランクCへの進級テスト』**と同等になります」
「まじかーー」
「じゃあ、さっきのはギルドが討伐を認めたって事か!」
「ランクC! ありえね~~」
冒険者たちのざわめきは、ビオラさんがジロっとひと睨みしただけで静かになったよ。
さすが。
「じゃあ、奥の施設に来てくれる?」
「は~い」
私はテクテクと後をついていった。
そこは室内のスタジアムみたいなところだった。
「それでは説明しますね」
「この場所で試験課題の魔獣を討伐してもらいます」
「魔獣は『疑似魔獣』と呼ばれるもので、地面に書かれている白線の内側に召喚され、白線の外に出ることが出来ません」
「また、試験を受ける人も白線を超えると失格となって進級テストは失敗となります」
「疑似魔獣はランクに合わせた強さを持っているので油断しないように気を付けてください」
「基本的に出てきた疑似魔獣を倒せば合格ですが、あまりにも無様、またはギリギリの勝ち方だと不合格になる事もあります」
「この辺りは、ランクが上がれば上がるほど審査が厳しくなっていきます」
「最後に、倒せないと思ったら直ぐにギブアップをしてください。その瞬間に試験は終了し疑似魔獣は消えますので」
「他に何か質問はありますか?」
「わかりました。大丈夫です」
「それと今回に限り、2種類の疑似魔獣と二回の戦闘になります」
「2回戦の前に30分の休憩をはさみます」
「えっと、休憩はいらないので出来れば連続で出してください」
「え? そんな楽な戦闘じゃないよ?」
「大丈夫です。私は魔法使いだから、別に走り回ったりしないし、早く終わらせたいから」
「そ、そう? でも無理なら言ってね。途中で休憩ぐらいなら入れるからね?」
「わかりました~」
今から冒険者ギルド登録の実技テスト。
倒して持ち込んだ魔獣によってテストの難易度がかわるけど、基本的に登録を申請するのは初心者なので、ウサギの魔獣が多いらしい。
それで同等の疑似魔獣を倒してランクFになるのが普通だって。
でも私はたまたま倒したのが**【沼地の王】**って呼ばれる魔獣だったらしくて、協議の結果、異例のテストが今から始まる事になった。
でもいつの間にか、見物客がいっぱい見ているんですけど?
はあ、出来るだけ目立たないように早く勝って帰ろう。
「それでは、これより実技試験をはじめます」
魔法陣が光って、10匹ぐらいの疑似魔獣が召喚された。
「何? 大きな蚊?」
それはゆっくり私に向かって飛んできた。
「ん?」
蚊に見えた疑似魔獣は、直径20㎝ぐらいのボールサイズのハエだった。
「きゃあ~~~~!!」
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
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