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戦極結承 ◇◇ ~バッドエンドへ向かう少女の物語~  作者: 空斬しゅう


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16話 番外編  ~苦労人のある冒険者~

俺の名はバルロス。27歳。 Cランクの冒険者だ。


メイン武器は片手剣だが、たった1つの**闇魔法(Lv1)**だけ使える。

攻撃力は皆無。 俺の出来る魔法は、ただ「影」を作る事だけ。


「使えね~」なんて思わないでくれよ?

室内以外の日中なら、意外と使えるんだぞ?


対人、対魔獣、どちらでも戦闘が始まれば、俺はタイミングを合わせて自分の周りに影を作る。

明るい所から急に暗い所に入ると、一瞬視界が効かなくなるだろ?

俺はそれを利用して、相手の距離感や視覚を潰して戦闘するスタイルなんだ。

まあ、室内とか曇っている日は役立たずだけどな……。


しかし俺は、仲間と共にそんな地味な魔法を駆使してCランクまで登り詰めた。

本来はタンクと魔法使いの仲間二人と王都を中心に活動しているが、依頼を連続でこなしているうちに、結構遠くのこの町まで来てしまった。

まあ、しばらくはこの町で休息をする事にしたので、今は各々自由に行動している。


俺は特にあてもなく街を歩いていると、広場の方がザワザワしている事に気づいた。

何かあったのか? 喧嘩か? 野次馬根性でその場所に行ってみると、ざわめきの原因は、ある一人の少女だった。


彼女の着ている服が、この世界のものとは思えないほど鮮やかだったからだ。



「……あの子は!」



俺はその少女を知っていた。

隣り町のナルイラでの仕事で1ヶ月ほど滞在した時に、何度か彼女を見かけたからだ。


確かに初めて見たときは衝撃だった。 だが、ナルイラの町の人達は彼女の奇抜な恰好を奇異の目で見ることなく、温かく見守っている感じだった。

何人かの住人に教えてもらった話では、彼女は小さい頃から一人で「色の研究」をしてたらしい。

最近、研究の成果で多彩な色を作れるようになって、近所の人達にも無料で染色した生地を配っているそうだ。


ただ……少し重い事情もある。 一年前に母親が盗賊に殺されてから、**「男に対する拒否反応」**が見受けられる様になったらしい。 その詳細について、俺は深く聞かなかった。 だが、そういう事なんだろう。この世界では、残念ながらよくある悲劇だ。


彼女の母親は、ただ殺されただけでは無いと思う。

そして恐らく彼女は、その時に男達が欲望を満たす為の行為を目撃してしまったのだろう。


そんな彼女が1年ほどで立ち直れたのは、もちろん彼女自身の心の強さもあるだろうが、まわりの大人たちがずっと支えていたからなんだろうなと伝わって来た。

だから、関係のない俺も出来るだけ見守ろうと思った。


ただ、やっぱり心の傷は深いらしく、町の住民の男性でも一定の距離に近づくと、ビクッとして強張ってしまうそうだ。

そんな事もあって、彼女は「男」という存在を意識的に見ないか、意識から排除している様にも見えた。


……だけど今回は、それが完全に裏目に出てる。


そんな事情を知らないミリルナの人達は、彼女が歩くとほぼ全員が振り向き、凝視していた。 老若男女問わず何人かが彼女に声をかけていたが、彼女はすぐに断わって逃げていた。

それでも諦めきれないのか、珍しくて気になるのか、彼女の後を意味もなくついてく「行列」が出来ていた。


ナルイラでも、彼女は男の視線を気にせず色々な服で出歩いているのをよく見かけた。

その中には、男から見れば際どい服もあったが、住人たちが温かく見守っていたから特に問題もなかったのだろう。

しかし、ここは彼女を知らない人達ばかりだ。


そして、今の彼女の服を見ると……今までで一番危ないと思った。


「はあ……その服はヤバイよ嬢ちゃん」 俺は注意しようと近づいていく。


鮮やかで見た目も可愛い服なのは確かだが、光の加減では透けて見えて、彼女の服の下につけているブラジャーは**「情熱の赤」**だとわかってしまう。 それに、歩くたびにヒラヒラ揺れるスカートがかなり短い。 少し長い階段を上るだけで、後ろを歩く人にはスカートの中が見えるレベルだ。 しかも、見えたのは……かなり薄くて透けている生地だった。


今は後ろからだからまだ良いが、もし前からだったらかなり危険だと思う。

彼女の後を追っていく行列には、鮮やかな生地に興味がある女性や商人にまじって、「そっち」を見る事が目的でついて行ってる男達も多数見受けられた。


俺は思わずため息をついた。

「勘弁してくれよ……」


そんな時。 彼女は広場で突然、しゃがみこんで休憩をしだした。



「ちょっ!」


「やばい!!」



こっちに背を向けているとはいえ、あの座り方は正面から丸見えだ!

予想通り、これはチャンスとばかりに何人もの男達が彼女の正面に移動しだした。

ゲスどもめ!


これは声をかけても間に合わない!

俺は、既に詠唱をして準備していた影魔法を使った。

発動場所は……彼女のスカートの中!


彼女は短いスカートなのに結構無防備に足を広げて座っていたから、太もものラインが見えるのは止められなかったが、俺の作った「漆黒の影」によって、その「最深部」までは見えなかったはずだ。 (俺も見てないぞ! 信じてくれ!)


しばらくして彼女は、男たちの熱視線(覗き)に気が付いて、真っ青になって走って逃げて行った。 ふう……。


「はあ、疲れた」


彼女を見ていると冷や冷やする事が多すぎる。 精神的に疲れて、俺はもう何かをする気にならなかった。

とりあえず冒険者ギルドに行って、明日以降の情報を集めておくことにした。


しばらくすると、冒険者ギルドに彼女が現れた。

何でここに? また会うとは思わずビックリしたわ。


今度は落ち着いた色(ベージュ系)の服に着替えていた。

スカートも長めで、あれなら覗かれる事もないだろうと安心したんだが……。


今度は**「着ているシャツ」が問題だった。

さっきの服より生地が薄いのか、普通に赤いブラジャーが透けている**。

さらに胸元が大きく開いているから、彼女が少し屈んだだけで、近づいて上から覗けば服の間から谷間(あるのか?)が丸見えになるだろう。


それに気づいたギルドの野郎どもは、獲物を狙うハイエナのように彼女の周りに集まりだした。

そして彼女が少し屈んだ瞬間、男たちが一斉に彼女の胸元を覗き込んだ!


だが、甘い! 俺は予め予想していたので準備は万端だった。

彼女の服の中に「影」を作って、下着が見えるのを阻止したのだ!

今度は完璧だったはずだ。

鉄壁のガードだ。


俺はその後も、何度か彼女の「うっかり」を影でカバーする攻防をしのいでいると、受付のビオラさんが彼女に声をかけていた。

そして、周りの冒険者に向かって言った。


『それ以上、この子をいやらしい目で見たら……私、怒りますよ?』


これは効果絶大だった。

このビオラさん、実は王都ギルドの職員で多くの者から信頼され、地位が高い。

彼女に悪い評価を付けられたら冒険者人生が終わる。


その後、彼女があの**「凶悪コンビ(闘神&武神)」**の仲間だと知れ渡り、町中に「彼女に手出し禁止」の命令が密かに出ていたのを俺は知っている。


まあこれで、この町にいる間は大丈夫だろ。

でも、彼女の「男に対する脇の甘さ」だけは何とかしないといけないな……。


一応、この町にいる間は、俺がこっそり影から守ろう。

誰にも知られない、孤独な戦いだが……まあ、それも悪くないか。


読んでいただきありがとうございます。

基本は一週間ごとに更新するつもりです。

ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。


また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。


最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。

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