10話 封印指定と成長の証明
ステータスの最下段に、不穏な文字列。
ステータスを誰かに見られるわけじゃないけど、一人で顔が真っ赤になる。超恥ずかしい。 いつから付いてたの? 思い当たる事が多すぎて、いつ付いたのか特定できないのが辛い。
考えるのはやめよう。 前向きに考えれば、えっと……そう、「病気耐性」! いずれ一人旅をするから、病気にならないのは地味にありがたい。うん、そう思おう。
で、でも「感度上昇」? まあ、付いていたの気づかなかったぐらいだし、Lv1だし? 微妙な性能だよね?
一応、備考欄を開いて見ておこうかな? ポチっと。
【極性欲】 効果時間: 永続 スイッチ: 【切】(現在)
「・・・・・・・・・・・」
【入】と【切】。 切り替えろって事ね。親切設計かよ。
「・・・・・・」
まあ5%だし? 感覚的にはきっと誤差だよ、誤差。 魔法の練習も終わったし、家に帰ろうかな~。
私は平然を装って、てくてくと家に向かって歩きだした。 途中でおばあちゃん達を見つけたので、先に帰る事を伝えておく。まだ1時間ぐらいは帰らないそうだ。 じゃあ、しばらく一人でお留守番だね。
「……」
あっ、そうだ! 丁度やらないといけない**「実験(検証)」**があったんだった。 ドタン、バタンとうるさくしたら迷惑だし、一人のうちにやっておこうかな?
そうして私は自分の部屋に籠城した。
「ちょ、ちょっとだけ……【入】にしてみようかな?」 「か、肩こりに効くかもしれないし?」
震える指で、スイッチをON。
ドクンッ。
「……っ!?」 「やばい、これはやばい。5%なんて絶対ウソ! 当社比50%増しくらいある!」 「バカになったらどうしてくれるのよ!?」
速攻で【切】!!
ハァハァ……。 これ、Lvが上がると%も上がるよね? まずくない? 死んじゃうよ? この項目だけは絶対にLvを上げないようにしないと。封印指定だ。
実験(冷や汗)で汚れたタオルは洗濯に出して、精神的に疲れきった私は、しばらくふて寝することにしました。
翌日。 私は気分転換に、久しぶりに町の外へ散歩に行くことにしました。
今日のファッションは気合が入ってます。 黒のレース生地を使った、ひざ丈のドレスっぽいワンピース。 名付けて**「ゴシック・ロリータ(控えめver)」**! ちょっと大人っぽいでしょ? 最近のお気に入りなのです。
ちなみに下着も、上下とも薄手の黒で揃えています。
これで透けないし、ラインも見えないから完璧。
足元はヒールじゃなくて黒の運動靴。だって外を歩くなら機動力が一番だし~。
「ふふ~ん♪」 久しぶりのお花畑はやっぱりいいね~、心が癒されるよ~。 鼻歌を歌いながらあっちこっちを見て回り、ついでに素材の採取もしながら優雅にお散歩。
あ~、このお花に囲まれて寝転がったら気持ちいいだろうな~。
でもやりませんよ?
これでまた寝てしまったら、捜索隊が出動して「悪夢再び」だよ。学習しました。
今日は十分に堪能したから、そろそろ帰ろうかな。 そう思って踵を返した瞬間。
ゾクッ。
背筋に悪寒が走った。 「危険感知」が反応してる。 何となく方向もわかる。
そちらに意識を向けて迎撃の準備。 目視できたら即ぶっ放すよ。
通常のアイスアローを発射直前で待機させて(ロックオン)、しばらく待つ。
「……見えた!」
草むらから現れたのは、結構大きめのワニっぽい魔獣。
なんでこんな平地にワニがいるのよ? 迷子?
私は**スキル「エイムマジック」**も発動させて、必中のアイスアローを放った!
ズドォォン!!
まだ100m位離れてたけど、見事に頭を粉砕してワンパン。 よし、素材回収しよう。
私が近づこうとした瞬間。
ガサッ! 突然、横の茂みから音がしたと思ったら、目の前まで「何か」が突進してきた! 危険感知は反応しなかったのに! なに!?
焦りながらも身構えると、その物体は私にタックル……いや、抱き着いてきた!
「ユイ~! 久しぶりね!」 「うぐっ!?」
謎の物体の正体は、マニカだった。
「マニカ~! もう、ビックリするじゃない! 用事は済んだの?」
「うん、だから急いで戻って来たよ!」
「ユイ、今日はなんか大人っぽい服だね? 似合ってるよ!」
「ありがとう」
「それと、ご依頼の物はちゃんと出来てるよ?」
「ありがと~! 楽しみだね~!」
しばらくマニカとお喋りしていると、リアやリーニさん達もやってきた。 みんなとも挨拶をして、お互いの近況報告。
あ、そういえばワニの回収をしないと。
「さっき倒した魔獣の回収をしてくるね」
「ん? ユイ、魔獣倒したの?」
「何を倒したの? この辺りだとウサギの魔獣か?」
「まあ、ついて行こう」
「そうね。ユイちゃんの魔法使いとしての成長を見たいしね~」
結局、みんなでゾロゾロと現場へ。
……あった、あった。 頭が無惨に弾け飛んだワニが。
「「「…………」」」
「え? これユイが倒したの?」
「これって、さっき逃げたやつだよね?」
「ああ、間違いない」
「凄いな、急所を一撃で屠っているな」
「え? でもさっきユイが居た所から結構離れているよ?」
「マジか」
「スゲーな」
みんなが一斉に私を見た。 え? そんなに驚かなくても、魔法使いならこれくらい普通じゃないの? それにスキルも併用しているしね~。
あと、なんか「逃げた」って聞こえたけど、もしかして倒したらダメな保護指定動物だった? ど、どうしよう。でも隠しても死体あるし。
「す、スキルを併用して魔法を放ったからだよ?」
「それと、これ倒したらダメな奴だったの?」
「いや、大丈夫だ。ここからは結構離れていたが、途中でこのワニ魔獣20匹と遭遇してな」
「殲滅していたんだが、1匹逃がして見失ってたんだ」
「危険な魔獣だから倒してくれてよかったよ」
「しかし、もうスキルまで覚えたのかよ」
「でもスキルを使った魔法でも、この一撃は凄いわね」
ふう、怒られるわけじゃなかった。よかった。 リーニさんがワニの死骸を観察して、首をかしげる。
「アロー系かと思ったけど、痕がちょっと違うわね? 焼け焦げてないし」
また、みんなが一斉に私を見たよ。
「アロー系であっているよ? **氷の矢**だけど」
「「「 【氷】ぃ!? 」」」
森に絶叫が響いた。
読んでいただきありがとうございます。
基本は一週間ごとに更新するつもりです。
ただ状況によってはきりのいい所まで連発で投げるかもです。
また今後の展開について。R15に収まるように調整はしていますが、残酷な描写や、少しHな描写が入ってきます。この事を不快に思ったり、苦手な方はここで閉じていただき、続きを読むのは控えてください。
最後に投稿へのモチベーションを維持する為にも、コメントや評価、ブックマークをして頂けると執筆を続ける励みになりますので、どうぞよろしくお願いします。




