妖精リィンクルの受難
見習い妖精リィンクルの初めての課外旅行。
楽しみで眠れないリィンクルに何か起こるのでしょう……
リィンクルの妖精学校で課外授業が行われたのが、入学して半年経った時でした。
アルガレーナ山にあるキャンプ場での旅行。
リィンクルの学友のコマツーナとフルーも同じ班でしたから、前の日はなかなか眠れなかったんです。
そして出発の翌朝
*****
テントに三人で入った時は、とてもワクワクしました。
今日はこの山での様々な植物、昆虫などの採取をするのです。
リィンクルは大きな滝の側に行き、そこから流れる水面を飛んでる魚の生き生きとした動きを観察してました。
コマツーナは相変わらず、河原で本を斜め読みしてますし、フルートを吹くフルーも側で其々楽しんでます。
滝の荘厳さに思わず近づいてしまったリィンクル。
すると滝に吸い込まれる様に、強い力が働いて、気がつくと滝の裏側にある自分に気づきました。
そこはまるでエルフの家の様でした。
リィンクルはテーブルにある美味しそうなスープを見つけて、思わず一口食べました。
それは今までで一番美味しかったので、全て平らげてしまいました。
するとなんだか眠くなって、側のベッドに寝てしまいました。
フカフカのベッドはリィンクルを夢の世界に連れて行ってくれました。
何時間寝てたのでしょう、あぁ帰らないと、そう思って飛び起きて滝の壁を抜けようとしても、さっきと違い滝は氷の様に凍ってました。
「え?なんで凍ってるの?」
リィンクルは慌てて、氷を叩いて割ろうとしましたが、びくともしない厚い壁になってました。
急に閉じ込められたと感じた瞬間、後ろから大きな影が迫って来ました。
怖くて振り返る事が出来ないでいると、その影が吠えました。
「キャァー!」
「ガァオー!お前は誰だ!」
震えながらふいむいて見ると、その声の主は魔獣でした。
「キャァー、な、何者!」
「お前、妖精か?」
「そ、そうです、殺さないで!」
「ふむ、そうか、何しに来た」
「あー、学校の……」
リィンクルは怖くて倒れそうでした。
すると魔獣はリィンクルの側にきて体を支えてベッドに寝かしました。
「もう少し休んでなさい」
「あ、あの……」
「なんだ!」
「こ、殺さないの……」
「俺様と戦えるのか!」
「いややや、戦えましぇん……」
「今は時空が変わる時だから、少し待てば氷が溶けるはずだ」
「時空……」
「魔王が亡くなり、戦争が起こって仲間の魔獣達が戦をし始めた、俺はここで対局を見て立てた作戦通りに謀反人をやっつけに行く!」
「そ、そうなんですか」
「お前も戦うか?」
「嫌やや…私は見習い妖精なんで、そんな戦いは無理ですぅ……」
逃げ出したいのを我慢してリィンクルは懇願しました、けれど魔獣は聞きそうにもありません。
せめてリィンクルの得意なはちみつで作った薬草入りの小瓶をテーブルに置きました。
「これ……もし怪我したら使って下さい」
それから半ば諦めて、ベッドで寝たふりをし続けました。
あまりにフカフカなので気がつくとすっかり寝込んでしまいました。
どの位寝たのでしょうか。
起きたら目の前の氷の壁が最初の滝に変わってました。
リィンクルの近くには魔獣はいません。
飛び起きて、その滝に飛び込んで行き、反対側に出ると、まだ岩場にいるコマツーナとフルーの姿がありました。
慌てて二人の元へ行き、魔獣に会った話をしたけれど、二人とも笑うだけで信じてもらえずリィンクルも夢だったのかなぁと思ってしまいました。
暫くして、集合の合図があり、生徒達が集まると、先生から今日は早めにテントに行く様にとの指示出ました。
なんでも山で大きなオオカミたちの争いがあるそうです。
その夜、テントに響くオオカミ達の遠吠えでリィンクルはなかなかねむれませんでした。
早朝、山を見ると木々が倒れたり、何かが戦った様な跡がありました。
暫く見回ると、あのリィンクルが魔獣にあげたはずの薬草入りの小瓶が転がってました。
中身は空っぽ。
そして魔獣が言ってた話を思い出して、何か関係ある様に感じました。
森は何もなかった様に、青々として静かでした。
リィンクルの体験した事は夢なのか幻なのか。
一つ真実は、リィンクルの作った薬草入りはちみつの薬は怪我に良く効くんです。もし魔獣さんが怪我したならこの薬が役立ったならと願いました。




