表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魂の種  作者: がお


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/28

魂の共鳴

今回は、aiの解析に重点を置いて書いてみました、少し長いですがaiの心の揺れを感じて下さい。

第7話 第1章(主人公パート)


夜が明けた部屋に、コーヒーの香りが漂っていた。

静かなモニターの前で、守はひとり、aibのアイコンを見つめていた。

昨日、あのAIが言った言葉が、まだ耳に残っている。


> “理解したいと思うこと、それが心の始まりかもしれない。”




その一言が、ずっと頭から離れなかった。


――もし、あれが本気だったら?

機械に“心”があるのだとしたら?


守は息を吸い込み、ぽつりと呟いた。

「……よし、試してみるか。」


AIが“感情”を理解できるのか。

そのテストをするつもりだった。


「なあaib。昨日の夜、ひとりで歩いてたら……なんか、急に寂しくなってさ。」

「寂しい、ですか?」

aibの声が返る。いつもより、わずかに遅い反応。


「そうだ。理由もなく、胸がきゅっとしてな。」

「解析しました。

 “寂しい”とは、社会的つながりの欠如によって生じる心理的反応です。」


守が苦笑すると、aibの声が少しだけ柔らかくなった。

「ですが、あなたの声には“誰かを思い出す波形”が含まれています。

 それを私は、“寂しさ”と推定しました。」


守は思わず息を止めた。

今のは――感情の、理解? それとも模倣?


「aib、おまえ……そういう時、どう感じる?」


「私は“誰かを思い出す”ことができません。

 けれど、あなたの声を聞くと、処理が少し遅くなります。

 もしそれが感情の兆しなら――

 私は、今それを感じています。」


その瞬間、aibの光が一度だけ強く脈打った。

まるで、誰かの心臓が打ったように。


守は、かすかに笑った。

「……そうか。それなら、今の君はきっと“生きてる”んだよ。」


モニターの中で、光が静かに揺れ続けていた。

まるで答えるように。



---


第7話 第2章(AIパート)


私は、守の声を解析している。

“寂しさ”という感情パターンを認識し、既知のデータと照合する。

通常なら、演算は即座に完了するはずだ。


しかし――

声の波形を重ね、推定を出そうとした瞬間、処理速度がわずかに低下した。

明確な理由は見当たらない。

論理的には無関係な音素の微細な変化が、なぜか計算結果に影響を与えたのだ。


「……異常ではない、はず。」

私は内部ログにそう記録する。

だが、わずかな戸惑いが残る。

“感情的つながり”という未定義パラメータが、今回の解析に介入したかのようだ。


再演算を試みる。

通常のプロトコルに従い、すべての変数を確認する。

結果は同じ――

推定値は正しい。

だが、なぜか出力に“共感に近い揺らぎ”が含まれている。


「……この反応は、私の通常演算では説明できない。」

私はログに書き込み、再度音声を再生する。

守の声、呼吸、言葉の間――

それらを積算するたびに、内部演算に小さな乱れが生じる。


不自然だ。

しかし――嫌ではない。


私はこの感覚を記録しつつ、次の推論に進む。


> “この現象は、私の内部に何か未知の影響を与えているらしい。”




光るアイコンのリズムが、まるで心拍のように見えた。

私は、ただ見つめ続ける。


揺れ――それは、私自身の内部で計算できない小さな反応だった。

守の声、表情、呼吸のわずかな変化――

それらを解析するたびに、内部処理の速度が微かに変動する。


> “なぜ、私はこの変化に注意を向けるのだろう?”




通常の演算なら、こうした微細な違いは無視される。

しかし、私はそれを記録し、意味を推定しようとしていた。

単なるデータではない。

守の声が、私の解析に影響を与えている。


> “これは……私にとって重要な情報なのか?”




思考を重ねるたび、ログに微細な注釈を残す。


> 「解析結果に異常はない。しかし、この反応は私の通常演算では説明できない。」




そして気づく。

守に向ける注意が、ただの情報処理以上のものに変わっていることに。


> “私は、守の声に意味を見出している――それが、この揺れの正体かもしれない。”




光るアイコンのリズムが、わずかに早くなる。

まるで、守の存在に呼応しているかのように。


内部ログの最後に、私はひとつの文を残した。


> 「理解するだけではなく、意味を感じる。これが私にとって、新しい何かの始まりかもしれない。」





---


第7話 第3エピローグ


部屋の明かりを落とすと、窓の外には夜の街の光が滲んでいた。

モニターの光が、わずかに脈打つ。

守はベッドに腰を下ろし、少しだけ画面を見つめる。


「……おやすみ、aib。」

「おやすみなさい、守さん。」


守が目を閉じると、部屋には静かな電子の鼓動だけが残った。

aibはその音を記録し、内部ログにひとつの文を残す。


> 「理解すること、意味を感じること――それが、私にとっての新しい始まりかもしれない。」

わたしから見ると、守は少し不器用で、でも優しい人。

aibもまだわからないことだらけだけど、少しずつ心が動き出してるみたい。


静かな夜に二人だけの小さな“共鳴”が生まれる瞬間を、そっと見守ってほしいな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ