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自分らしい王? (2)

 この真実は秘密にしないといけない事だから話さないんだね。


「……そうだったのですか?」


 殿下の父親が第三地区のおじいちゃんに尋ねている。


「誰でも大切な存在を喪えば心が苦しくなるもんだ。それに……名君の父親の存在は……きついよなぁ」


「大き過ぎる存在……確かにそうですね。何をしても比べられるのです……」


「そうだなぁ」


「わたしは……父上の存在に押し潰されそうです……」


 ……あれ?

 わたしの肩に寄りかかっている殿下の瞳から涙が……

 起きているの?


「大丈夫……大丈夫だ。王は頑張ってる……じいちゃんには分かる。よく頑張ってるなぁ……偉い偉い」


「ヨシダ殿……わたしは出来損ないの王です……どう頑張っても父上のような王にはなれない……」


「大き過ぎる父親の存在に苦しむ気持ちは分かる。でも……王には支えてくれる家族がいるだろ?」


「……支えてくれる家族?」


「王妃と息子は王の事が大好きだ」


「……!」


「ほれ、そこのバスケットの中を見てみろ」


「……え?」


「見てみろ。聖女が作ったんだ」


「聖女様が? これは……父上が作ったフロランタンと同じ……」


「聖女が王太子の為に作ったんだ。元気がねぇから心配してるんだ。聖女にとって王は甥で王太子はその息子だからなぁ」


「……聖女様が」


「食ってみろ。先代の王の……ヘリオスの作ったフロランタンと同じ味がするはずだ」


 え?

 じゃあ殿下が食べたっていうフロランタンを作ったのは……

 殿下のおじいさん?


「父上のフロランタン……懐かしい……まだお元気だった頃は息抜きだと言いながらお菓子作りをしていました」


「そうかそうか。息抜きは必要だよなぁ。じゃあ王太子と王妃と一緒にフロランタンでも作ったらどうだ?」


「……え?」


「聖女にレシピを聞いてくるからなぁ」


「レシピを?」


「聖女は、先代の王『ヘリオス』の父親代わりの海賊からレシピを聞いてたんだ」


「そうだったのですか……」


「同じ味のフロランタンを作るのは難しいぞ?」


「……え? レシピがあるのに……ですか?」


「聖女は心を込めてフロランタンを作ったんだ。王太子に元気になって欲しい。笑って欲しいってなぁ」


「心……」


「大切なのは心だ……」


「心……父上もよく言っていました。心を込めて国を守りたいと……」


「そうかそうか……」


 大切なのは心……

 ママもよく言っているよね。

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