赤ちゃんが孵るってこんなに幸せな事なんだね(5)
「ふふ。ついに孵ったね」
ママが嬉しそうに赤ちゃんを見つめている。
「ぺるみ! オレとぺるみの妹が孵ったよ!」
ハーピーちゃんが満面の笑みでママに赤ちゃんを見せている。
「うん。かわいいね。ハーピーちゃんが孵った時みたいにかわいいよ」
「えへへっ。オレ、世界一幸せな妹にするんだ!」
「あははっ! ハーピーちゃんならできるよ!」
「うんっ! パパ! オレが湯浴みをさせるね?」
「まだ首がグラグラするから気をつけてね」
「うんっ! えへへっ。かわいいっ! えへへっ。かわいいっ! ぐふふ……堪らないね……」
……!?
今ハーピーちゃんがママみたいな事を!?
しかもあり得ないくらいニヤニヤしている。
「あれ? ははっ! ハーピーちゃんはずっとぺるみに吸われてグフグフ言われていたから赤ん坊に同じ事をしているね」
じいじが嬉しそうに笑っている!?
自分の息子が孵りたての娘をグフグフ言いながら抱っこしているのに!?
このままじゃハーピーちゃんがママと同じ、ど変態への道を進んじゃうよ!?
「あはは! 確かに。さすが姉弟だな!」
ばあばも楽しそうにしている!?
嫌じゃないの!?
「ぐふふ。気持ち良さそうに湯浴みをする妹がかわいい……」
うわぁ……
もう完全に変態の笑い方……
さっきまでは『えへへ』って笑っていたよね?
こんな一瞬で変態になるものなの?
「ぐふふ。魔法石の風で髪を乾かして気持ち良さそうにしている妹も超絶かわいい……」
『超絶かわいい』?
ママを見ているみたいだよ……
血の繋がりが無くても姉弟だから似ちゃったのかな?
怖いよ……
わたしもいずれこうなるの?
ハーピー族は孵ってすぐに肉を食べさせるらしいからハーピーちゃん達は幸せの島に行った。
わたしはパパに抱っこされて『カサブランカがお昼寝する島』に向かっている。
えへへ。
赤ちゃんになったからママは前みたいに『種族王に会いに行け』って言わなくなったんだよね。
一日十歩は歩かされるけどそれくらいならすぐに終わるし。
赤ちゃん最高っ!
『カサブランカがお昼寝する島』は一年中適温で快適なんだよね。
小さい家に入ると小さいベットにソファー、テーブルもある。
暖炉の前にはロッキングチェアがあるんだけどわたしは座らないから今はママが置いたベリアルのぬいぐるみが座っている。
チェストの上にはガラスで作られた飾りが置いてあるんだけど、これは前ベリス王がベリアルのガラス細工を作ろうとして失敗した物なんだよね。




