赤ちゃんが孵るってこんなに幸せな事なんだね(3)
「あ! 卵がカタカタ揺れ始めたよ!」
ハーピーちゃんが嬉しそうに、ばあばとじいじに話しかけている。
わたしを抱っこしてくれているパパが立ち上がった。
これで卵がよく見えるよ。
「ついに孵るか……」
ばあばもすごく嬉しそうだ。
男の子かな?
女の子かな?
「あ……ヒビが入ったよ」
バスケットから落ちないようにじいじが優しく卵を押さえている。
バリン……
……え?
卵の中から握りこぶしが出てきた!?
自分で割って出てくるの!?
誰も驚いていない……
これが魔族の孵り方なのかな?
でも……
わたしも孵った時に卵から手足を出してスタスタ歩いていたような……
「うわあぁ! かわいい手だなぁ。パパ! ママ! すごいよ! 赤ちゃんは自分で卵を割ったよ!」
「はは。ハーピーちゃんも自分で割って出てきたんだよ。懐かしいなぁ……残りの殻を取って身体を拭いてあげようね」
じいじが嬉しそうに残りの殻を取り除いている。
「身体がヌルヌルしているね。オレが身体を洗ってあげてもいい?」
「もちろんだよ。ハーピーちゃんは優しいお兄ちゃんだね」
「えへへっ。女の子かな? 男の子かな?」
「さあ……どっちかな? あ! 女の子だ」
「女の子!? やったあ!」
「はは。よかったね。そうか……女の子かぁ……ハデスが『カサブランカを嫁にはやらない』っていう気持ちが一瞬で理解できたよ」
「ん? パパ?」
「パパも言っちゃおうかな? 『オレを倒せない奴に娘は渡さない』って……」
「ん? パパより強い魔族なんて数えるくらいしかいないよ?」
「はは。それを言うならハデスより強い生き物なんているのかな?」
「うーん……ぺるみと……天界の家族くらいかな?」
「カサブランカも苦労しそうだね……でもオレもハデスみたいな父親になりそうだよ」
「オレにはよく分からないや。ねぇ、パパ。赤ちゃんの翼のツクツクをほぐしてもいい? これを見るとムズムズするんだよ」
ツクツク?
羽根が生える時の硬いやつ?
「はは。ハーピー族はツクツクを見るとムズムズするんだね」
「あはは! ツクツクほぐしはまだまだ先だ。今は湯浴みをさせよう。たらいを持ってきたからな」
ばあばが、たらいを持ちながら歩いてきた。
「さあ、ハーピーちゃんが一番に抱っこしてあげて」
じいじが嬉しそうにハーピーちゃんに話しかけている。
「え? いいの!?」
「もちろんだよ」
いつもは怖いもの知らずのハーピーちゃんが、どう抱っこしたらいいか分からずに困っている。
なんとか抱き上げたみたいだけど……
「うわ……ふにゃふにゃして小さくて……かわいい……」
ハーピーちゃんは優しいお兄ちゃんになりそうだね。




