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赤ちゃんが孵るってこんなに幸せな事なんだね(2)

「ハーピー……これから五か月、子育てが落ち着くまでまた一緒に暮らせるんだね」


 じいじが嬉しそうにばあばに話しかけている。


「そうだな。五十年前に戻ったみたいだ」


「今は幸せの島は誰も暮らしていないからハーピー族の家で家族四人で過ごせるんだね」


「ハーピーちゃんは族長の仕事をしながら夜は幸せの島で寝泊まりするし、オークは族長代理に仕事を任せてずっと島にいてくれるんだよな」


「そうだね。オーク族の皆も子の誕生を喜んでいたよ。離乳食作りは任せてね。あぁ……楽しみだなぁ……」


「あはは! そうだな。赤ん坊は小さくてふにゃふにゃで心配になるけど、かわいいんだ! ハーピーちゃんとぺるみは大きくなってもかわいいけどな!」


「はは。そうだね。子供達の成長は早いからあっという間に大きくなって……でもずっとずっとかわいいよね」


 じいじがハーピーちゃんを見つめながら話している。

 すごく幸せそうな表情だ……


「ハーピーちゃんが産まれる時は大変だったんだぞ? なかなか腹から出てこなくてな」


 ばあばが昔を思い出しながら、懐かしそうにハーピーちゃんに話しかけた。


「そうだったの?」


「ママは子を授かれない身体だった……でも……ハーピーちゃんを授かれて本当に嬉しかった。あの時、皆がハーピーちゃんの誕生を喜んでくれたんだ」


「皆が……」


「あの頃のハーピーちゃんはぺるみとつがいになるって言って大変だったんだぞ?」


「オレが? 覚えていないよ」


「あはは! そうか。覚えていないか。あれから五十年……か。月日が経つのは早いな」


「ママは……この五十年幸せだった?」


「もちろん! この広い世界には多くの生き物がいる。でも、わたしより幸せな奴なんていないさ! わたしはぺるみのママでハーピーちゃんのママで……これから孵る赤ん坊のママなんだ。こんなに幸せな奴が他にいるか?」


「ううん! いないよ! えへへ……オレがいるから幸せ……か。嬉しいなっ!」


「あはは! ハーピーちゃんが嬉しいとママも嬉しいぞ!」


 ハーピーちゃんとじいじとばあばは仲良しだね。

 赤ちゃんが孵ったらもっと賑やかに楽しく過ごせるんだろうなぁ。

 わたしは人間だと一歳くらいの大きさらしいけど、これから孵る赤ちゃんはどれくらいの大きさなんだろう。

 わたしよりも小さいといいなぁ。


 あ、でも……

 じいじとばあばは、ママの『パパ』と『ママ』だから……

 これから孵る赤ちゃんはわたしの叔父さんか叔母さんになるんだよね?

 じゃあわたしが小さい方がいいのかな?

 でもわたしは本当は五十歳だから……

 うーん……

 難しいよ……

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