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ヘリオスにお世話されたら大変な事になりそうだね

 パパの作った離乳食を食べ終わると、ママとパパと第三地区に行く。

 思った通りパパはわたしを一秒も離さない。

 この様子だとベリアルと聖獣王の護衛は必要なくなるね。

 

「うわあぁ! 赤ちゃんだ!」


 ヘリオスが嬉しそうに近づいてきたけど……

 わたしがカサブランカだとは分からないみたいだ。


「ふふ。ヘリオス。この赤ちゃんはカサブランカだよ?」


 ママが優しく微笑みながらヘリオスに話しかけている。


「え? カサブランカ?」


「タルタロスのおじい様が赤ちゃんにしたの」


「おじいちゃんが?」


「カサブランカと一緒にベットでゴロゴロしようとしたんだけど……カサブランカが急に成長したから同じベットに入れなくなってね。それで赤ちゃんにしちゃったの」


「うわあぁ! おじいちゃんはすごいね! でも、これでカサブランカはずっとゴロゴロしていられるんだね。よかったね!」


 さすが双子のヘリオスだよ。

 わたしの気持ちをよく分かっているね。


「もう……ヘリオスまで……でもママはカサブランカが赤ちゃんになっても毎日歩かせるからね」


 うぅ……

 嫌だなぁ……


「赤ちゃんだけど歩けるのかな?」


 ヘリオス……

 残念だけどしっかり歩けるんだよ……


「カサブランカとヘリオスが生まれた時もすぐに歩いたでしょう?」


「あ! そうだね。皆で貝殻拾いをしたんだよね」


「でもさすがに赤ちゃんだから一日五十歩じゃなくて十歩にしようかな?」


 一日十歩!?

 やったぁ!


「あはは! カサブランカよかったね」


「うんっ! ヘリオスのおかげだよ」


「うわあぁ! 普通に話せるんだね」


「うん。身体が小さくなっただけみたい」


「これからはオレがカサブランカを守るからね!」


「え?」


「大人は赤ちゃんを守るんでしょ? オレは成長したからもう大人だよ!」


「……あはは。そうだね……」


 嫌な予感しかしないよ。

 まさか……

 わたしを抱っこしたまま海の上を走ったりしないよね?

 わたしを抱っこしたまま巨大魚の口の中に入って海を移動しないよね?

 わたしを抱っこしたまま空を飛ぶグリフォン王の背中から飛び降りたりしないよね?


 ……あれ?

 ヘリオスは毎日とんでもない暮らしをしているような……


「じゃあ早速お出かけしよう? 無人島を見つけたんだ! 見た事ない真っ赤な花がいっぱい咲いて綺麗なんだよ! 一緒に海を走って見に行こう? 抱っこしてあげるから!」


 うわあぁ!

 絶対嫌だよ!


「わたしはいいよ……それに、わたしは赤ちゃんだからすぐに離乳食を食べる時間になるし……」


「そっかぁ……残念だなぁ……じゃあもう少し大きくなったら一緒に行こうね!」


「……あはは……うん……」


 ずっと赤ちゃんのままでいないと大変な事になりそうだよ……

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