おじいちゃんとの内緒話(4)
「死にはしない。ペルセポネの神力は無限に近い……」
おじいちゃんがそう言うならママは生きていられるの?
でも……
「生きたまま……神力を……奪われ続ける……?」
それってかなり辛い事なんじゃないかな?
「……そうだね」
「他に方法は?」
「……戦を始めるしかない」
「戦? ……おじいちゃん……分かるように話して……同じ話がずっと繰り返されているよ……」
何も知らないわたしにも分かるように話して欲しい……
「……おやすみ。カサブランカ……」
「おじいちゃん! 待って……」
あ……
ダメだよ……
本当に眠くなってきた……
このままじゃ記憶を消されてママを助ける方法を考えられなくなっちゃう……
でも……
目が閉じちゃう……
目の前が……
真っ暗……
「カサブランカは寝てしまったのか……愛らしい寝顔だ……父上……ありがとうございました。離乳食を作り終えたので迎えに来ました。カサブランカを冥界へ連れていきます。あの……父上も共に……冥界に……」
あれ?
パパの声?
そういえば離乳食を作る間、タルタロスのおじいちゃんに預けられたんだっけ……
いつの間にか寝ちゃったんだね。
あ……
パパに抱っこされたみたいだ。
優しくて温かい腕……
パパが歩くたびにゆらゆら揺れて気持ちいい。
ずっとずっと抱っこされていたいな……
離乳食ができたって言っていたよね。
でもまだ眠いよ……
「ふふ。かわいい寝顔……」
ママの声……
冥界に着いたのかな?
「そうだな。愛らしい寝顔だ。仕事は?」
「ちょうど終わったよ。懐かしいね……ふふ。五十年前に戻ったみたい」
「我らはもう子を授からないからな。また赤ん坊が育てられるとは……」
「そうだね……幸せだね」
「ペルセポネ……」
「ん?」
「これからも……ずっとずっと共にいよう」
「ふふ。五十年前の流れ星のお願い事だね」
「あの頃から……わたしのペルセポネへの想いは変わらない」
「……ふふ。わたしもだよ? これからも、ずっとずっと一緒にいようね」
「幸せだ……」
「……うん」
パパとママの穏やかで幸せそうな声が心地いい。
わたしもパパとママとヘリオスとずっとずっと一緒にいたいよ。
ずっとずっとこの幸せが続いていくよね?
冥界は穏やかだからずっとずっと続くよ……
もう少しだけ眠りたい。
パパとママの温かい愛に包まれながら……




