おじいちゃんとの内緒話(2)
「広い世界の全てを把握するのは難しい……」
おじいちゃんが真剣な表情で話している。
「それは……そうだけど……」
「ペルセポネはそうならないように天界の光になろうとしている」
ママが天界の光になる?
「……よく分からないよ。もっと簡単に話して?」
「天界を浮かばせる力はペルセポネが考えているよりも遥かに多く必要なんだよ」
「それって……ママの神力だけじゃ無理っていう事?」
「……でも、ペルセポネとその光は繋がっている」
「繋がっている? さっきも言っていたよね?」
「天界の光が無くなればペルセポネから神力が奪われ続ける事になる」
「……え?」
それって大丈夫なの?
「ペルセポネ達はそれを知らない」
「おじいちゃん……どうしてそれをママ達に話さないの?」
「……知っても何も変わらないから」
「何も変わらない?」
「天界の光は年々弱まっている」
「どうして?」
「知らなくていい」
「どうして知らなくていいの?」
「カサブランカに死んで欲しくないから」
「……え?」
「カサブランカが自害したら嫌だから」
「わたしが……自害する?」
「カサブランカ……この事を誰にも話したらダメだよ?」
「でも……ママが……」
「この事を知れば……戦が始まる」
「戦?」
「多くの天族を自害させる為に」
「自害?」
「自分にそのつもりがなくても……自分の手に持つ凶器を使って殺されたら自害になるんだよ」
「……どういう意味?」
「……疲れた」
「え? おじいちゃん?」
布にくるまって隠れちゃった……
「カサブランカ……」
「うん……?」
「戦は怖いよ……戦は虚しいよ……」
「おじいちゃん?」
「気づいたら……全てを失って……ひとりぼっち……」
「……え?」
「耳に残るのは悲鳴……身体に残るのは返り血の熱さ……皆……目が怖いんだ……」
「……おじいちゃん?」
「カサブランカ……ペルセポネは戦を望まない。その時が来たら……喜んで光になるはずだよ」
「ママが光になる?」
「……ペルセポネが言う『皆仲良く』……そんな世界は幻想だよ。天族は人間と魔族を見下している。確かに『人間と魔族の世界』は変わった。ペルセポネの存在がそうさせた。でも天族は違う。天界が落ちれば必ず人間と魔族を虐げる」
「そんな……」
「カサブランカ……この記憶を消してあげようか?」
「……え?」
「いずれペルセポネは光になる。それは変えられない。その為にペルセポネは光に選ばれた。光は意思を持っているからね……カサブランカは、その時まで何も知らずに暮らした方がいい」
「おじいちゃん……?」
光に選ばれた?
光は意思を持っている?
「カサブランカ……そうしよう?」
おじいちゃんに記憶を消されたらママを助ける機会がなくなっちゃうんじゃ……




